いざ、次世代ECの大海原へ 店が変わる MakeShop が変わる 刷新プロジェクト発表
「テセウスの船」とはよく考えたものである。「MakeShop byGMO」は今秋からじわじわと、でもドラスティックに変貌を遂げる。とはいえ、店舗の事業者においてはそこまで慌てる必要がない。それは、まさに、その「テセウスの船」という言葉に集約されているからだ。
MakeShop がなぜ次世代EC 刷新プロジェクトを掲げるのか
1.ハウルの動く城のよう
そもそも、MakeShopが産声を上げたのは、2004年のこと。下の写真を見て分かる通り、シンプルな装いである。
そこから彼らがギアチェンジしたのは、2012年。GMVで業界トップに躍り出た。そこから十年間、その首位の座を譲っていない。2021年のGMVにしても2749億円。その影響力は増している。
当然、それだけ多くの店舗のニーズや時代の要請を受けて、一つ一つ、必要な機能を実装してきた。その分、サイトが重く感じたり、不満の声も出始めていた。つまり、仕組み自体を一新する必要性が出てきたと言える。
2.では何を変えようというのか
それはやむを得ない話。元のシステムに基本、沿ってやってきた。すると、どうしても継ぎはぎをして、まるでハウルの動く城のよう。余分に負荷がかかってしまっていたわけである。だから構想から2年、この日、満を持してのリニューアルプロジェクトの発表となったのだ。
具体的にいうと、下記の6通りである。
・スケーラビリティのあるインフラ基盤
インフラを盤石なものにするため、AWSを導入。以前にもまして、拡張性が高くなり、セキュリティへの備えもできるように進化している。これにより、大型のセールでサイトが重く感じられるというような事態は避けることができるわけである。
・モダンアーキテクチャへ総入れ替え
また、D2Cなどと言われ、お客様との接点のあり方も多様化した。黎明期には想定されていなかった要素を加味した基本設計にしていくという。つまり、今の時代に相応しいアーキテクチャへと総替えしていくわけである。
・APIで広がる拡張性
そして、APIで多くのアプリケーションと連携させて、多種多様な拡張性のある仕様にしていく。開発スピードが上がり、柔軟にサイトを構築できるようにしていくわけである。
・管理画面がわかりやすく
これらをベースにして、今度は、事業者自体がそれをサイトに反映しやすいように、管理画面を一新して、自然とそういう新しいサイト運営をしやすい環境を作る。
・美しく柔軟なフロントサイト
ここまで来れば、骨子が固まってくる。ヘッダーから自由に表現力の高いフロントサイトを作れるようにする。だから、クリエイターモードという仕組みを実装して、店の付加価値を最大化させるわけである。
・トレンド感に満ちたアプリマーケット
ただ、そこで魅力的な店舗を作ったとしても、ECサイトそのものが変容している。この10年を見れば分かる通り、商品の販売の仕方などは同じECとはいえ、随分変わった。だから、彼らはそこに耐え得るように、アプリマーケットを作るのである。
つまり、開発者が時代に必要な要素をアプリで提供できるようにしていく。全部の機能をいちいち、メイクショップがやるのではなく、オープンにして時代に対応できるようにしていくわけだ。また、開発者が手がけたそのアプリが事業者にとってプラスになれば、店の発展となる。開発者の可能性を後押しし、それがEC業界の活性化にも繋がるとすれば理想である。
テセウスの船に見立てて大変革
1.必要なものから順次新しいものへ
これで、ドラスティックに変貌を遂げる、その中身をざっくりお分かりいただけただろう。ただ、そうすると、多くのEC事業者の中には、不安を口にする人たちもいるはずだ。だから、この部分に対して、彼らが持ち出したキーワードが、テセウスの船というわけである。
哲学的な表現である。みなさんは、神話のテセウスの船をご存じだろうか。
テセウスが乗る船の建材は老朽化が進んでいたけれど、その航海の歩みは止めなかった。航海を続けながら一つ一つ、新しいものへと変えて、目的地に辿り着く頃には全ての健在が変わっていたという話である。
2.激変は必要。でも負担は最小限に。
MakeShopにおいても中身が激変している。けれど、それを然るべき順序で、変わっている実感のないように、長期的なスパンで、実行に移していく。店舗にとって大きいのは、改めて店舗側がしなければならないことは基本、ないという事。また、作業を止める必要もないという事。
変わるというと、身構える。ただ、必要な変化なのだ。それは声を大にして言いたい。僕らが最近、気付かされるのは、ECで当たり前だと思っていた事が、実は当たり前じゃないということだ。本当はお客様目線で見た時にもっと親切で、直感的であるべきなのである。
そのための備えがECサイト側にできているか。実はそうではない。寧ろ、お客様側がECの仕様に合わせて買ってくれているということも少なくないのである。
これは、発表会後、代表取締役 向畑憲良さんと話していて、痛感したことだ。
3.激変へと誘う必要性がMakeShopにある
例えば、音楽を聴きますよねと。ただそれだけのことでも、Apple Watchがあることで、iPhoneでの操作よりも直感的になって、それだけで利用の幅が広がっていると。
勿論、音楽そのものは変わっていません。でも、伝わり方が変化していますと。要は、中身の音楽の部分がお店の商品であり、その伝え方である。それらをどうやって提供するかは、時代に合わせて変化し、いかにその時代を生きる人の心を掴むか。
だから、提案する店も柔軟にそこに対して応えられるようにしていくことが大事である。だとすれば、それをインフラとして提供するMakeShopもそこに応えるべく、転換しなければいけないのだ。その様な考えを口にして、僕は深くうなづいた。
図らずもそれはMakeShopの理念にも通じる。彼らがやりたいのはトータルエクスペリエンスであり、デジタルだけではなく、お客様の手に届くまでの感動を演出したいということだ。
だから、これだけ大々的にその発表を行うのは、極力、店舗側に負担をかけることなく、テセウスの船というキーワードを使ってでも、そちらへ行こうよと誘う為の決意の表れなのである。テセウスの船、この言葉の真意は、もっと内なるところにあって、変わらないけど、変わってねということかなと。
今日はこの辺で。