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お客様を知る秘訣とは トランスコスモスのデジタルマーケティングの真髄

 昨今、デジタルマーケティングに関連して、トランスコスモスの名前をよく耳にする。本来、彼らの祖業はコールセンターなのに、である。どういう変遷を経て、彼らはデジタルマーケティングでも評価されるに至ったのか。その点に着目してみた。

ビジネスモデルを提供する場面は変わっている

1.目先の目的にとらわれない視点

 トランスコスモスのビジネスモデルは変わっていない。けれど、ビジネスモデルを提供する場面は変わって来ている。元々、トランスコスモスという会社は常駐という形で、社内にある事務方の役割をアウトソーシングしていた。ただ、それが変わってきた。そこで事務の仕事をすることよりは、その業務でいかに効率化をはかれるか。その視点に重きが置かれていたので、請負の仕事と捉えていない。ここが彼らの原点にある。

 10あることを10やるのは意味がない。10あることを全部を説明することなく3で済ませられる仕組み。それを考えることが彼らの真骨頂である。

2.コールセンターもデジマも同じ

 例えば、企業ごと、抱えるお客様の問い合わせ対応。それは訪問することなく、コールセンターという形にして一括すれば、効率化を図れる。そうなれば、取引企業にとってコストを抑えられて、利する部分は多い。この発想の仕方は今も変わっていない。

 コールセンターで言えば重きを置くのは顧客の声。

 そこで別の価値に活かすには何をすればいいか。そう考える先にデジタルがあった。顧客の声を生かす彼らの知見は、徐々にデジタルマーケティングの中で発揮される。コールセンター業務を経て、彼らは「対話を最大化」させることを着想するのである。

本質的な価値への投資

1.他とは違う成長の仕方の理由

 コールセンターを例にとって考えれば、こうなる。先ほどの10あるものを3でという発想に近い。

 「例えば、100件レベルの問い合わせに対処しよう。それ自体を目標にしてしまえば、それが出来次第、それで完結して人は考えようとしません。しかし、そこでたかだか一件、二件のニッチな声を深掘りして、ビジネスを拡大できないかと考えることで、新しい視点が生まれます」。

 そこで生まれたのがリサーチの事業である。お客様がその悩みに絡んで、自ら情報を色々明らかにしてくれている。だから、マーケティングリサーチをするよりも有益であると捉えて、自らの飛躍に繋げた。そのコールセンター事業の内容に、リサーチを兼ねて、業務をすれば、両方重んじて、企業価値を高められる。

2.対話の最大化

 自らの立場をを利用しての「対話の最大化」。それは彼らの強みであって、これを個々の企業が別々でやろうとしても難しい。加えて、コールセンター専業であっては踏み込めない。だから、考え方を柔軟にして、頭一つ、飛び出すことになった。そこで見出したデジタルマーケティングの発想である。

 声を活用していく。その視点で考えれば、宝の山。コールセンターはコストセンターどころか売上に直結する付加価値をもたらす部門となる。するともはや価格競争に入らずに済むわけだ。

 デジタルマーケティングの部隊がコールセンターの横にいれば「そのお客様のログを活用できるのではないか」と気付ける。そう視点を変えるだけで、何も考えていなかったオペレーターが色々考えるようになって、現場も変わっていく。自分達の仕事の価値も高まる。

 コールセンターとマーケティングが寄り添って、その企業の最大化に努める。彼らはもはやコールセンターではない立ち位置なるのは言うまでもない。彼らに寄せられる相談は多岐に及ぶわけだ。

未来は何を見据えるべきだろう?

1.真にお客様を知るとは?

 彼らは時代と共に「お客様を知る」専門家で、それに関して、どんなことを留意して未来に向かえばいいのだろう。確かに、データが溢れるからこそ、そのログばかりを捉われ過ぎることの危険性も指摘する。確かに、問い合わせの声は宝の山ではある。でも、そこで俯瞰してみる。

 例えば、その問い合わせをする人のステータスの方をデータ化してみてはどうだろう。言葉で見えない真理が見えてくる。

 その人がどのような属性なのか。これまで何回、電話をしてきたのか。購入前なのか後なのか。電話をかけて来ているのは本人か。何時なのか。

 言葉以外のデータを取りに行くわけである。その要素の方をデータ化をしていくことで、その「言葉の真意」が見えてくると。価値あるこれからのデジタルマーケティングデータは、そういう風に人間像を浮かび上がらせることで、最大化すると説明するのである。

2.コミュニケーションの質を高める視点で攻める

 簡単な例を挙げよう。「いいです」と言われた時がそうだ。「良いです」なのか。「もう結構です!」なのか。その人の属性、背景を知らないと、そのどちらかすらも見えない。だから、これからはお客様と寄り添い続ける価値がある。言葉の字面とその背景を組み話せることで、本質が見えてくるからだ。

 この辺が彼らが最近、CSよりもCXを追う姿勢ともリンクしてくる。

関連記事:コールセンター の進化は“スマート家電”にあり? トランスコスモス 未来絵図

 見えない価値を拾い上げて来た彼ららしいアプローチであり本質的である。デジタルはやっぱりより人間的になっていくのだと思った。

 これが、「ビジネスモデルを提供する場面が変わって来ている」。

 でも人は変わらない。その時々で視点を変化させながら、その時々の手段で、一番最適なアプローチを考えるのである。こうやって、新しいビジネスを模索し、投資も行えばよいのだと。このサイクルが結果、コールセンターを祖業にしながら、顧客の声をフックに多岐にわたる事業内容を生み出すことができた所以である。ある意味、プラットフォームを握る今の時代の発想に近い。

 今日はこの辺で。

参考記事:“プラットフォーム”を利用して 自ら“プラットフォーマー”になれ 製造も小売もDXを推進すべき理由

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