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越谷レイクタウンから始まる b8ta 日本独自で 新たな一歩を

 もはや海外の動きとは別の新しい一歩を踏み出したのか。僕はb8ta Japanでの発表を聞きながら思ったことで、「b8ta」と言えば、リアル店舗でありながら「売らない店」として、脚光を浴びた店である。b8ta Japan 代表の北川 卓司さんの話はこの春、オープンする「越谷レイクタウン」の話にとどまらず、米国全店閉店と報道された「b8ta」そのものの日本での展開を熱意をもって語るものであったのだ。

b8ta 日本 で羽ばたく

1.売らない店のパイオニア

 b8taは販売することなく商品を陳列し、お客様の反応などをデータ化するなどして、売上とは違った形で、メーカーに価値を提供して、収益を上げていく新しいタイプのお店である。

 まさに「売らない店」というコンセプトは同社が先駆け。その後、西武・そごうなど一部の百貨店に広がるなど、これらはリアルにおいては注目される手法となった。その一方で、「b8ta」の起源である海外のお店は、現在、コロナ禍で全て閉店となっており、今後の展開についての彼らの姿勢に僕は注目していたわけである。

2.気になる海外b8taでの動き

 その点、会見で改めてわかったのは、米国発祥と言いながら、コロナ禍でその状況は一変していたのである。日本で最初の2店舗(有楽町と新宿)を展開したのちに、既に「b8ta」との関係性はそれまで子会社としてその連携を模索するスタイルから、その名前の使用料を支払うライセンスの形態にチェンジをしていたのだ。決定的なのは、その後、b8ta.incの株式はV.Cへと譲渡された事で、早い段階でほぼ日本の北川さんを軸とした日本独自の体制に変わっていたというわけである。

3.東芝テックとの親和性の高い連携

 なるほど、ここでこの会社の名前が上がるわけか。それが東芝テックの存在である。

 独立したものの、その個性を発揮する為には引き続き、資金を得てチャレンジを続けていかなければならず、その意味での連携を強めたのは東芝テックなのだ。同社をリードインベスターとして第三者割当増資を行い、そこで資金調達をすることで、b8ta Japanはその発祥とは全く違う活路を見出した。なるほど。

 「東芝テック」その名を聞いて、納得した。というのも、彼らがPOPシステムにおいては業界一で、言うなれば「いつ・どの商品が・どんな価格で・いくつ売れたか」単品単位で記録し、集計するPOSデータに関してのプロフェッショナルだからである。

3.買う心理と買うまでの心理の両面から

 考えてみてほしいが、全く未知なる商品をはじめとして、その商品を陳列する事でお客様の反応をデータで捉え、その後の商品開発や仕掛けに活かすというb8taの強みはその東芝テックと親和性が高い。つまり、買う心理と買うまでの心理の両面を抑えたものだからこそ、棲み分けしてお客様の反応をビジネスに繋げる良き関係性にある。

 さて、今回の資金調達に対しての具体的な行動は、と言えば、2025年までに、8〜10店舗の「b8ta」の多店舗化を目指していき、「売らない店」としての認知拡大と収益の向上。また、常設に限らず、ポップアップストアも展開していくことも明らかにした他、タイ、台湾、韓国といった海外にも出店していくことを明らかにして、寧ろ彼らは彼らなりの新しい道を感じて、可能性を感じさせるものとなった気がする。

 こんな言い方すると怒られるだろうが「ピンチはチャンス」なのだ。b8ta Japanはかえって動きやすくなった気がする。心なしかだが、最初の頃より、(話したことはないが)北川さんの表情が良い。

新風を背にして越谷レイクタウンに出店

1.これまでとは違ったカラー

 さて、そういう会社自体の話に関しては、そうやってケリをつけた上で、越谷レイクタウンで国内4店舗目を立ち上げることとなった。これまでそれぞれに違ったチャレンジをしてきており、3店舗目の渋谷からは自らバーカウンターのようなものを設置して、よりカジュアルに新鮮な商品の体験を心掛けていたのが印象的だ。

関連記事:売らない店 b8ta 渋谷 で新たな革命 ベレアラボ がこの店でフレグランスを並べるBestな理由

 今回のチャレンジは、よりリラックスな空間として、また場所柄、ファミリーがくつろげる空間を念頭に置いているわけで「売らない店」の幅を自ら広げようという意気込みを感じる。特にそれが顕著に感じられるのは、同一区画内にはスターバックスの店舗を構えている点であり、これまでとは明らかに違ったカラーが見られる。

2.レンティオの商品も陳列

 僕個人としてはレンティオが出品を表明したのが興味深く、ご存知ない人のために言うなら、家電商品を約3000種類も抱えてそれをレンタルするビジネスモデル。最近、躍進を続けている企業なのだ。

 日常で見られるお馴染みの家電を「使ってみたい」とは思うものの、それが自分の考えるイメージと合致しているのか「買ってみないとわからない」というのも事実でそのニーズを受け止め、自らレンタルすることで、そこで体験できるようにした。勿論、お客様が望めば、それを販売もしてくれると言うわけである。

3.b8taとレンティオの強みを上手に調和

 要は、レンタルという部分であらゆるもののプラットフォーマーになれば、商品の垣根を超えて、同じ目的を持ったユーザーを束ねて、付加価値をもたらすことができ、純粋に、メーカーにも提供できない価値である。この会社単体については近日、取材することにしているので、それは追ってみてもらえたら、幸いだ。

 ここで面白いのは、両社共に「基本は売らないこと」でビジネスが成り立っている事。b8taが全く新しい切り口の商品を体験を通して、その価値を提供しているのに対して、レンティオは比較的イメージが出来上がっているものをレンタルして、それを体験して価値を創造しているという意味で、似ているようで異なるスタイルである。

 これは正直、会見上でも話していた事だが、正直、話をしていたのは今から2年ほど前まで遡り、そこには「似ている」という部分であり、下手すれば競合になりうる要素も持っているからだった。

3.上手に価値を棲み分け

 でも、ここまでの話を聞けばわかるが、話せば話すほど、組むことによっての意味を感じたわけである。つまり、レンティオ自体もデジタルを通して恐らくコストを抑えて、そのレンタルを軸としたビジネスを構築してきた。

 それは別にリアルを必要としなくてもやってこれてきたわけだけど、そろそろ違った展開をするべき時を迎えて、これまで培ってきた信頼を土台に、より多くの人にリアルの体験を添えて、レンタルへと導く必要性も感じ始めたというわけである。その意味で、逆に変に「小売っぽい」お店であれば、その価値は訴求できないけれど、b8taであれば、未知なる体験を求めるユーザーが多く集まるわけで、そこで訴求することの意味を身懐いたというわけだ。だから、今こそ、その価値を訴求していくフェーズに来たと判断して、彼らは、今回出品を検討したというわけである。

 b8taは「売らない店」という部分のパイオニアであり、ほかの百貨店などと違って、既に多店舗展開とその可能性の深掘りをしていく流れになるし、こういうレンティオの事例然り、これまでにない「売らない店」のポテンシャルをどれだけ、他の事業と連携して、その価値を引き出し、今まで以上に、違った企業に対しての新しい付加価値をもたらすかという段階にきたようである。

 「売らない店」b8taの革命は、この日本を軸に、新しい一歩を踏み出したというわけである。

 今日はこの辺で。

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