楽天 ドローン 都市部の上空を越えて 物流の可能性を乗せ いざゆかん
ネット通販では物流の重要性が高まっていて、事業者はそれらに準ずる費用を込みした上で施策を重ねている。とはいえマーケットは拡大しているのに、一方でドライバー事情など問題山積なのである。そんな時代の中で、人が集中する都市部のインフラが大事である。もはやそれは公理と一体で物流の課題を考えなければならず、その意味で立ち上がったのは、物流会社ではなく、楽天グループ( 楽天 )であったのだ。そして彼らが主張したのは「ドローン」を用いた取り組みである。
楽天 ドローン 都市部で羽ばたく意味
1.過疎地域ではなく都市部でドローン活用
楽天はドローンに関して2021年12月に実証実験を行っている。今まででいうなら大抵そのようなものは過疎地域で行われていた。だが、今回は違う。千葉県という比較的、都市部で行ったのである。
説明を聞いて初めて知ったのだが、楽天はドローンによる物流サービスを日本で初めて「一般に」提供した会社だという。「完全自動飛行」のドローンを使って注文商品を配送する。未来のネット通販を予見させる話である。
「完全自動飛行」という話をした。けれど、それはどういうものか。
2.完全自動飛行のドローンが商品を運ぶ
簡単に説明するなら、ドローンに物資を積載して、離陸ボタンを押すだけ。残りは自動で行えるというものだ。離陸をして目的地へと飛行するわけだが、当然、着陸も行って、物資を切り離すところまで、全て「自動」である。勿論、受け取った側は何もすることもない。なにせ、自動で帰っていくのだから。
もう人間さながらである。機体については下記の通りで、積載量も7kgでそれなりに詰める。
3.まずは災害時の利用を念頭に
今回の実証実験で運んだ物資は救急箱や非常食、医薬品。それはECというよりは災害時での利用を意図しているようである。具体的な場所は、プロロジスパーク市川という千葉・市川にある倉庫から海浜幕張の高層マンションまでの約12kmである。
市川からは倉庫の担当者がその箱に該当商品を入れて、ドローンに積載。ポチッと離陸ボタンを押すと、ドローンは軽快に障害物のないところを通り、千葉の臨海を羽ばたいた。 都市部の超高層マンションに向けたドローンによる配送は国内初。17分で届けられたという。
4.ドローンを使ったショッピングとは?
では、ドローンを使ったショッピングってどんなものなのか。
参考までに楽天がアプリでやっているフローを示してみようと思う。実は、彼らは自ら手がけるドローン専門のショッピングサイトとアプリも手掛けているのだ。実際、商品も販売してきた実績もあって、写真のような流れである。(今はやっていない。)
なるほど。スマホ上で、重量インジケーターがついている。確かに運ぶ際に、その重さが重要。なので、それが商品選びと直結している。デジタルらしくそのドローンがどこを飛行しているのかも確認できる。
物流環境も刻一刻と変化しており、必ずしも今のインフラが維持されるとは限らない。
例えば、2024年問題をご存知だろうか。働き方改革で年間の時間外労働時間の上限が、960時間に制限される。そういう話もあって、配送環境も変われば、省人化然り、これから色々なことで何らかの変化が求められる。まさに備えあれば憂いなしなのだ。
まだ先の話。とはいえ、少しでも利用の幅を広げられるよう模索すること。それは、プラットフォーマーとしての急務である。そして語弊を恐れずいえば、こうした物流側のイノベーションは物流サイドから生まれるものではなく、荷主サイドから生まれるものなのだと思った。
物流が抱える課題は色々あれど、荷主である店舗の意向を束ねる楽天のようなプラットフォーマーによるチャレンジが求められていて、それが物流における課題の突破口になっていくことを祈りたい。
今日はこの辺で。