マーケティングオートメーション “シナリオ”の簡単な作り方 「EC Intelligence」で紐解く
マーケティングオートメーション(MA)は、「シナリオ」に従いステップメールなどでお客様との関係構築を効率よく自動化していくもの。しかし「シナリオ?」そう言われても難しそう。そんな人も少なくない。以前、シナブルでEC特化で誰でもできるのが売りと書いたけど、本当に、紙に書いているような感覚なのだ。その方法を考え、店に明るい材料をもたらせられたらと思う。
上手にシナリオを作る秘訣
1.シナリオはフローチャートのようなもの
「ネットのシステムなのに、紙に書いて」と書いた。本当にその通りで、MAは言うなれば、方眼紙に設計図を書いていくようにして、数々の「分岐」をいろんな場面を想定して、築き上げていく。
「フローチャート」という言葉をご存知だろうか。「分岐」点をわかりやすく、プロセスの各ステップを箱と矢印で示すもの。「シナリオ」はそれに近い。
ここでは、MAのシステム「EC Intelligence」を使って、説明してみる。なぜなら、シナブルの小林さんが「誰でもできる」と豪語するものだから(笑)。確かに、やってみると直感的な操作である。マウスオーバーし、ドラックして、直感的に移動させたりして、操作できる。だから、僕は方眼紙に設計図を書いていくようだと表現したわけだ。
2.フローチャートにシナリオを当てはめてみる
さて、それでは「シナリオ」を考えてみることにしよう。その為には、まずターゲットを決めて施策を決めなければならない。
例えば、通販サイトで商品の閲覧はしてくれた。しかし、離脱をしてしまった。そんなお客様をターゲットにしてみたとしよう。そのお客様に「メールを自動で送ろう」という具合には「シナリオ」という機能を使って行う。
下の「写真2」をみて欲しい。管理画面のアイコンに「シナリオ」(上から3つ目・左から2つ目)がある。そこをクリックすると「シナリオ全体の画面」が映し出される。「シナリオ全体の画面」というのがさきほどの「写真1」の画面なのである。
3.次にターゲット設定をしてみる
ちなみに「写真1」をもう一度、見てみてほしい。フローチャートの箱のうち、黄色い箱があることに気づくだろう。この黄色い箱は、顧客セグメントするパーツになっている。だから、ここをダブルクリックすると、その「ターゲット選定」ができるというわけだ。結局、方眼紙よりも使い勝手が良くなってきた。
「ターゲット選定」に関しての別ページは下の「写真3」だ。プルダウン式になっていて、複数の条件を組み合わせていく。例えば、「過去30日間」に「注文がない」という具合にターゲットを絞り込んでいくわけだ。僕が以前から、その操作を直感的という理由がわかるだろうか。
4. 対象を決めたらそこに対しての行動を自動化
これをまず一つ一つ作っていき、そこで実績の出たものはそのまま、同じ属性のユーザーに対して実行を繰り返していく、これを「自動化(オートメーション)」するだけのことである。
写真1まで戻ってみてもらうと分かるのだが、フローチャートの箱の中の項目には「待機」や「メール配信」などがあって、深掘り可能だ。
なので、「シナリオ」をベースに細部と行き来しながら、作成できるので、これで全体感が把握しやすい。かつ、それぞれのお客様に相応しいアプローチを簡単に形成することができる。
5.直感的なメール作成
個々の項目もきちんと深掘りされるようになっていて、写真1の画面の「メール配信」で、メールのパーツをダブルクリックすると、メールを設定する画面が起動。それが下の「写真4」である。ページの遷移が、シナリオと一体化しているので、むしろ紙で書くより使い勝手がいい。
ここでは、メールの内容を書けるようになっている。上の欄には「点数」「商品」「検索」「商品閲覧」「人気商品」「レコメンド」「カート」「注文」と項目が選べるようになっている。
例えば、そのお客様が閲覧した商品に対して、おすすめ商品を提示するときは、「レコメンド」をクリックすればいい。
話が逸れるが、この辺がまさにDXなのだ。実店舗 では曖昧になっていたであろうデータ。それが、通販サイトでは行動履歴としてきちんとログが残っている。そこで「EC Intelligence」はそれをアクションに紐づけられて、その行動が最大化されている。大事なのはデータが蓄積されていることなのである。そして、それを自らの目標のために、どのデータをチョイスして、それをどう施策に結びつけるか、ということ。
連携しあい、ネットの真価が発揮
1.ネット上での行動パターンに合わせて、アプローチを変える
ECサイトはある意味、運営全般のプラットフォームとなって、そこでの行動情報が蓄積されている。だから、お客様が集まり、履歴が残るほど、「EC Intelligence」に引き出される情報量もよりきめ細やかにセグメント設定できるようになってくる。
ゆえに、お互いの強みを相互に生かしながら、個々のお客様に効果的なアプローチができる。ここに人が介在する部分はない。ネットの素人でもできるというのはこういうわけである。
当然、こうなると通販サイトの担当者はお客様とのやりとりに、人対人を意識する。そうすると、コミュニケーションを楽しむように、慣れるにつれ、自分で操作したい度合いが増えてくる。不思議な話だが、自然とオンラインにおける必要なデジタルな知識も、伴って身についてくるわけだ。
2.人と人との生身の関係に近づく
それは面白いように、反応として返ってくる。例えば、メールを送ったけれど、開封した人で、リンクをクリックしていなかった人がいたとしよう。それであれば、そこをセグメントわけして、ファイル抽出ができる。
すると、そのセグメントは元の分岐をベースにして、新たな分岐を生み出し、どうやって、このお客様を振り向かせようか、という本質的な視点で考えるようになる。
しかも、前の仕掛けを一部アレンジしようと思えば、パーツごと選んで、コピーをできる。別のセグメントでわけられたお客様のシナリオに、そのコピーを楽に貼り付けができれば、手間はかからない。すると、そのチャレンジの幅は広がって、結果、それはきめ細かなケアとなって、売上の上昇に寄与するわけである。
こうなると、スタッフもショップ運営が楽しくなる。商品でトップスなのかボトムスなのかで、そのシナリオをわけてみることもするだろう。それが、その店としてのオリジナリティが追求されることになる。いうまでもなく、それは顧客をファンにする要素となり、リピーターを形成していくのである。
3.実店舗 の戦略で eコマース 運用 すれば、小売の未来はきっとある
思うに、分岐をしやすく、シナリオ作りを円滑にしてくれる操作性が大事である。MAツールの中でも特に、eコマースに関わる度合いの多かったスタッフにより、作られたシステムだから、UI UXが良いのはその為だ。
これであれば、ショップの中で、自分たちで、仮説と検証を立ててやる事ができる。企業成長において、肝心なところである。また、スタッフには戦略に基づいて施策を打っていれば、なんとなく売れたのではなく、「当たった!」という実感が生まれ、自分の価値に気づき、社内に活気が生まれることになるわけだ。
ここまでの行動で分かる通り、オンラインストアの運営者に必要なのは、デジタルの知識ではなく、紙に設計図をかける頭脳の方なのである。
4.誰にどう売りたいか、人間の頭脳で勝負ができる
店自体に、何をどのお客様にどう売りたいのかのイメージがあるのであれば、それを起点にして、さっさとシステムを利用すればいい。ただ、リアルとの明確な差は、それがデータで蓄積されていることにあることを認識して、戦略をよりロジカルに、適切にアプローチできるように考え方を変えていくのである。自分自身のデジタル化ではない。
だから、ポリシーを持つ店こそ、ステップアップできる土台がある。昨今eコマース の真価が発揮され実店舗 と差が出てきたのは高い生産性のもと、戦略を立てられるようになったからだが、実は、それを動かしているのはアナログ思考での運用であると書いたまでだ。実は、デジタルシフトと言われる昨今であるが、世の中を動かすのは、大多数のアナログ思考なのである。
今日はこの辺で。