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【徹底解説】Shopify×ウォルマート連携が“ポストAmazon戦略”を実現する理由

ウォルマートがShopifyと連携しAmazon打倒

 いまやネット通販といえば「Amazon」を思い浮かべる人は多いだろう。しかし、近年ではその“Amazon一強”の図式が少しずつ変わりはじめている。その中心にあるのがShopify。Shopifyは、自社ブランドを前面に打ち出すためのプラットフォーム(EC構築サービス)として急成長を遂げ、「Amazonには入り込みづらい領域」を確立してきた。ところが、そんなShopifyを取り込む形でウォルマートが自らの通販サイトを“マーケットプレイス化”しはじめたのである。

 これは一見するとAmazonの後追い。だが、ウォルマートは、持つリアル店舗と物流網の優位性をかけ合わせることで、Amazonの牙城を脅かす存在になり得る。本記事では、このShopify×ウォルマート連携がAmazonキラーとして期待される理由。そして、そこから一般の中小店舗が学ぶべき戦略について深掘りしていこうと思う。

1. Shopifyが生み出した“Amazonに入り込みづらい”領域とは?

「店のカラー」を最優先するShopifyのビジネスモデル

 Shopifyは、徹底して“店舗側のブランド力”を重視したEC構築サービスである。

 Amazonは「ひとつの巨大店舗」に統合することで利便性を追求してきた。それに対し、Shopifyはあくまで“裏方”に徹して、自社店舗それぞれが独自ブランドを確立できる仕組みを提供している。

参考:Shopifyが進化し続ける理由──Amazonとは異なる“裏方”モデルの強み

• Amazon: お客様にとっての利便性・圧倒的集客力

• Shopify: 出店者が自社ブランドを前面に出しやすい仕組み

 この対照的なスタンスが、“Shopifyが得意とする領域”を生み出した。大量出品や無数のカテゴリーを扱うAmazonでは埋没しがちな個性を、Shopifyでは存分に活かせるのである。

なぜAmazonは入り込みづらいのか?

 Amazonは自らが「巨大店舗」を運営している。ゆえに、個店のブランド力を高める方向性とは相性が悪い側面がある。ショップごとのブランディングを尊重すると、Amazon自体の優位性(品揃え・検索・プライム配送など)が際立たなくなり、結果的にAmazonの事業モデルを侵食してしまいかねない。

 一方のShopifyは、自らが前面に立つ必要がない。そのため、小規模であっても差別化を図りたい企業には最適解となり、Amazonとは異なる市場を開拓できているのである。

2. ウォルマートがShopifyを選んだ理由―巨大資本が徹底して“裏方”に頼る意味

従来からのリアル店舗強み×Shopifyの柔軟性

 ウォルマートは言わずと知れた世界最大級の小売業。リアル店舗を軸にして長年の物流ノウハウを持ち、強固な顧客基盤を築いてきた。しかし、オンラインでの覇権を握るAmazonに対抗するには、ウォルマートもまたEC戦略を強化する必要があったのだ。

 そこで採用したのが、Shopifyのプラットフォーム。

ウォルマート自身が“マーケットプレイス”になる

 Shopify連携により、ウォルマートは自社ECサイトのブランディングと充実した品揃えの両立を実現してきた。そして今度は、中小メーカーや他社店舗にも“出品”を促し始めた。つまり、ウォルマートのオンラインストアを一種のマーケットプレイスにしようとしているのである。

 これは、「Shopifyを使う=小さな店舗がブランドを立ち上げる」 。そんな一般的なイメージを超えた使い方といえよう。

3. マーケットプレイス化するウォルマート:Amazonモデルとの共通点と差異

共通点:マルチ出品者を取り込む仕組み

• 共通点:

  • • 出品者を募集し、ウォルマートが運営するオンラインモールに商品を出品できるようにする。
  • • 多様な商品が並ぶことで集客力が増し、さらに出品者を呼び込む“循環”が起こる。
  • • エンドユーザーは“一つのサイトで何でもそろう”利便性を享受。

これはまさにAmazonの“マーケットプレイス”と同じ考え方である。

差異:ウォルマート独自の“リアル店舗による物流ネットワーク”

 ウォルマートとAmazonの最大の違いは、リアル店舗を起点とした物流網をすでに持っているかどうか。

  • • ウォルマート: 全米各地に展開する実店舗と配送網がすでに整備されている。
  • • Amazon: オンライン完結型の販売網を自前で拡大しながら成長。

 こうした差異がある。そのため、ウォルマートは、実店舗との連動や“店舗受け取り”などのオムニチャネル戦略を迅速に進めやすい。例えば、オンライン顧客をリアル店舗に誘導したり、逆にリアル店舗からオンライン購入への流れを作るなどの、多角的な施策が可能となる。

4. ウォルマートが持つ付加価値―リアル店×物流網の強みとは?

店舗集客力+既存のインフラを最大活用

 ウォルマートはすでに各地の大型店舗に安定した顧客を持っている。だから、その物流体制を使うことで配送コストや在庫リスクを分散でき、店舗を倉庫としての役割で補完できる。そのため、“顧客が欲しい商品を近い店舗から素早く手に入れられる” というメリットを創出しやすい。

中小メーカーや個店にとっての魅力

 中小規模のメーカー・ブランドにとっては、これまた、好都合だ。ウォルマートの巨大な顧客基盤や物流網を活かしながら自社商品を売れることが大きな利点だから。コスト削減と販路拡大の両面で魅力的だ。

5. 一般店舗への示唆:最初はプラットフォーム利用者でも、いずれ自らがプラットフォームになる

「みずからプラットフォームになる」という発想

 ただ、ここで注目すべきは、それだけではない。見るべきは、ウォルマートが「Shopify利用者」から「自らがマーケットプレイス=プラットフォーム側」へ転身した点である。実は、この発想は規模の大小を問わず、どんな店舗にも応用ができる。つまり、これを読んでいるあなたもだ。

• ステップ1: 最初はShopifyやその他のプラットフォームを活用。コストを抑えて自社ブランドの世界観を築く

• ステップ2: ある程度ブランド力やファンベース、物流・運営のノウハウが整ったら、自らがプラットフォームになる可能性を探る。

 特に、商品セレクションや顧客コミュニティ、SNSでの発信力など。“自社ならではの個性”を活かした小さなマーケットプレイス化は十分に可能なのである。

差別化やブランド力が土台にあればこそ

 プラットフォームとしての魅力を高めるためには、「そのお店で買う理由」 。つまり差別化要素が必須だ。

 ウォルマートにとっては実店舗と物流網の存在が巨大な強みだった。中小店舗であれば、専門性の高さ・コミュニティとのつながり・SNSでの発信力 といった形で個性を築き上げることが重要であろう。

6. まとめ:ブランディング力とプラットフォームの関係をいかに活かすか

・ウォルマートはAmazonと同じ視点で戦略が組める

 ウォルマートがShopifyと連携。さらに“自らがプラットフォームとなって出品者を募る”。その展開は、Amazonが長年築いてきた巨大マーケットプレイスの牙城に挑む、大きな一歩だといえよう。

• Shopifyの独自性(個店のブランド最優先) に加え、

• ウォルマートの既存インフラとリアル店舗の強み が結集した。そうすることで、

“Amazonが苦手とする領域” と “Amazonが得意とするマーケットプレイス” の両方を取り込む戦略を実行できたのである。

・ウォルマートの様な巨大店舗でなくとも誰でも応用可能

 この事例から学べるのは、規模が小さい店舗やメーカーでも、可能なことだ。まずはプラットフォーム(Shopifyなど)を活用してブランドを育てる。その後、プラットフォームとしての機能を部分的に自社に取り込む。この過程を組むことで、ビジネスをスケールさせる道筋がある ということだ。

 たとえ小さなショップであっても、良い。自分たちが提供できる付加価値やファンコミュニティがしっかり育てば、“マーケットプレイス化”という選択肢は夢物語ではない。

 ネット通販の競争が激化するいま、「裏方の力を借りながらも、自社のブランド力や個性を如何に伸ばすか」が大きな鍵を握る。

 ウォルマートの事例は、私たちにプラットフォーム活用の新たな可能性を示している。ぜひ、自社の強みを活かしたEC戦略を考えるうえで、ウォルマート×Shopifyの動きを参考にしてみて欲しい。

 今日はこの辺で。

参考)“プラットフォーム”を利用して 自ら“プラットフォーマー”になって覇権を握るべき理由

参考)Amazonを世界企業へと押し上げたベゾスの成長理論

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