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時代の変遷 Choosy 成功術に見る現代アパレルの中身

Choosy が ファッションで、 流行る理由

 アパレルは変わった。エッジの効いたものこそが脚光を浴びていた。そこにはデザイナーが色濃く反映されて、流行を生み出していたのである。でも、それも過去の話。今、大事なのは顧客を理解して、ニーズにどこよりも早く応えられるか。それを「Choosy」というブランドを例にして話そう。

SNS で“デザイン” を決める Choosy

1.もうデザイナーすらいらないアパレル

 Choosy」の重要性を挙げたのは、アパレル物流の専門家リンクスの代表取締役 小橋重信さん。このブランドを通して、アパレルの流行る理由が変化していることを説明してくれたのだ。

 さて「Choosy」というブランドについてだが、創業者はマサチューセッツ工科大学出身の女性で、デザイナーではない。

 「Choosy」はネット通販のサイトであるが、小売と言っても、そのやり方が異なるのである。

 まずInstagramで流行っているものをクローリングして、それをユーザーに見せて『今は「これらの服」が見られているけど、「皆ならどれが欲しい?」』そう問いかけるのだ。問いかけた相手から、どれかの洋服が200枚、買う声が集まれば、そこで一旦、完了。

 商品化され、販売されて、その購入希望した人のところへと届けられるのだ。できるまでの時間はわずか2週間。最短速度で、お客様は、トレンドを手にすることができる。デザインの仕方から作り方、届けるまでのスピード、全てが異例である。

※クローリングとは:インターネット上のリンクを辿ってWebサイトを巡回し、Webページ上の情報を複製・保存すること

2.皆が表現するインスタでマーケティング

 考えてみれば、わからなくもない。今はInstagramのなかで皆、自分を表現している。

 だから、これを利用しない手はない。それで、200枚集まる商品が続々できてくれば、そのファッションと同じ価値観を持ったユーザーを集めることができる。また、それをベースにまた、このサイクルで問い掛ければ、常に、好みに合ったものが提案し続けられるようになる。

 ある意味、それはファッションのサブスクリプション(継続顧客を生み出す構造)である。

 自らのユーザーがどういう傾向の可愛さを求めているのか。その部分だけわかれば、そのユーザーの求めるホットなタイミングで届けることだけを意識して、それ以外にかかる一切の余計な工程はカットすればいい。顧客第一に基づき、ファッションを徹底的にシンプルにして、効率化を図ったまでの話だ。

Choosy が  ファッションで、 流行る理由
Choosy が ファッションで、 流行る理由

3.トレンドを素早く反映する

 語弊を恐れず言えば、素材などよりデザインから入るのが、メリットになる。例えば、大手の高級ブランドで1着10万円するようなものを皆がいいと言ったとしよう。仮に、ユーザーはその金額感に達していない場合でも、Choosyはその素材などもそれ相応のレベルに合わせてしまう。それでいて、デザインはそのテイストを取り入れ値段を下げて提供するわけだ。

 果たして、ここまでくるとパクりなのではないか。そんな気もするが、ある意味、こういうことを今までの企業が誰一人やったことがないと言えるかと言えば、そんな事はない。売れているデザインを参考にして作っているはずだから、あながちパクリとは言えない。中国などのインフルエンサーが自分ブランドで販売して、自分たちのファンを作っていくのは、まさにこのノリであるという。

 物流の専門家である小橋さんがChoosyをピックしたのも、うなづける。というのも、彼が強調するのは、生産から届けるまでのスピードが2〜3週間だと言っている点にある。

4.トレンドを逃さない強みに物流が活かされている

 生産にかけるスピードも約40時間であり、これを生かすために届ける部分で最速を追うために、物流は大事な要因なのである。「いいなと思ったらそれに近い商品が近日中に手に入る」という発想の中には、物流を加味して提案してこそ、サービスとしての強みが発揮されるという点なのだ。

 ここにあるのは徹底した顧客視点であり、顧客を理解できる手段がテクノロジーによって増え、かつそれを重視すれば、それこそ、誰がデザインするか、どこで売られるかは重要ではなくなってくる。従来のメーカーの発想とは全く異なるから驚きだ。

 テクノロジーが進化すれば、購入のきっかけも、その買い方も変わってくる。すると販売する側のやるべきことも異なり、これまでの固定概念にとらわれていると、気がつけば取り残されてしまう。

AI がない時代の アパレル は デザイン を作ってから世の中に問うた

1.完全なる縦割り それぞれの役割分担で売っていた

 そもそもChoosyが過去の発想と全く違う発想なのか。それを明らかにするために、ファッションの過去から今に至る流れについても、小橋さんに聞いてみた。

 まず最初に1970年代~80年代についてである。

 この時代はマスファッションが主流。メーカーはメーカーに徹して、ナショナルブランドが隆盛を極め、故に百貨店は売りに徹した。いわば、百貨店で売られる事こそ、ブランド価値を高めて全盛の時代だった。大手百貨店が凌ぎを削って、今のブランド価値を作ったと言っても過言ではない。

2.お客様が集まる小売店が起点となった

 それが1980年〜1990年となると、リテイル型アパレルとなる。

 メーカーがデザイナーを立ててコンセプトを作り、自らお店も持つようになった。つまり、自ら小売にも参入するようになったわけだ。これで「DCブランド」ブームの到来を迎えることになるわけである。

 しかし、1990年〜2000年となると、ガラリと変わる。

 一流デザイナーといわれる人の中で、新しい名前を耳にしなくなっていく。つまり、小売がメーカー化して、その売上データなどに基づき、自分たちのお客様に向けて自ら商品提案するSPAが主流になってきた。今のファッションを牽引している「ユニクロ」や「ZARA」はまさにこの時に台頭してきた代表格だ。

※SPAとは:製造小売業。自社商品を自前の小売で販売していく事。

3.完全に顧客起点となる

 そして、2000年から現在に関してだ。

 ネットにより個が顕在化。その個性と近い価値観を紐付けして、相応しい商品を提案するようになった。まさにデザイナーも工場も持たない新興勢力であり、「Choosy」はここに相当する。いかに過去とは全く違った発想であるかがお分かりいただけるだろう。

 ちなみに現時点においてはどうだろう。「ZARA」が世界ナンバーワンの地位についた。1990年代でSPAの業態の礎を作った。そして、2000年代で一気にそれをグローバルに通用する仕組みを推し進めてきたことで勝ち組となったのである。

関連記事:ZARA を世界一へ導う 戦略 高い 利益率 の秘訣 に続く

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