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韓国トレンドに見る“自分らしさ”の再定義 モデル・ハンチが語る、いまを生きるリアルな感性

 トレンドは、誰かを参考に自分に取り入れるものから、自分にフィットさせるものへ――。韓国出身のモデル・HANJJI(ハンチ)さんの言葉からは、そんな時代の空気がはっきりと浮かび上がる。服も、足元も、インナーも。目立つためではなく、“自分がどう在りたいか”。それを大切に選ばれていく。ハンチさんの視点を通じて、変わりゆくトレンドの本質。そこに映し出される今の時代の“感性のリアル”を紐解いていく。

HANJJIという存在――韓国と日本をつなぐ、リアルな声の発信者

 1994年、ソウル生まれ。韓国では「NIKE」や「MCM」「JOYRICH」などのブランドでモデル活動を展開し、2020年に日本に拠点を移したハンチさん。

 ボーイッシュなショートカットと、カジュアルながら洗練されたスタイルで、若い世代から熱い支持を受けている。

 モデルとしてだけでなく、YouTubeチャンネルでの情報発信や、Instagramでの日常のシェアなど、その活動は多岐にわたる。韓国語・日本語・英語を自在に操るトリリンガルとして、韓国と日本のカルチャーの橋渡し役も担っている。

 今回のトークは、(株)ハースト婦人画報社/ハースト・デジタル・ジャパン「エル・ガール」コンテンツマネージャーの石塚愛さんが聞き手となり、ファッションワールド東京の場で行われたものである。

 そんな彼女が今感じている“リアル”な感性は、まさに時代の温度そのものだ。

“主張”から“調和”へ──トレンドが映す価値観の変化

 かつての韓国では、「周りにどう見られるか」が重視され、完璧に揃ったコーディネートやブランドアイテムで固める傾向が強かった。だが今、韓国の若者たちはより柔軟に、自分の気分や体型にフィットするファッションを選び、楽しんでいる。

 トラックジャケットにレーススカート、ヴィンテージ感のあるフーディーにボリュームパンツ。甘さとストリートを行き来するミックス感覚にこそ、自分らしさが宿るのだ。「かっこよく着てないけど、かっこいい」が、今の美学なのかもしれない。

心地よさと個性を両立するインナーとリゾートウェア

 かつては“盛れる”ことが前提だったインナーやリゾートウェア。それも、韓国では大きく変化している。

 体型を強調するより、リラックスできて可愛い、ナチュラルに写真映えするデザインが人気を集めているのだ。

 「おしゃれは我慢」ではなく「おしゃれ=私らしさ」。

 そんな空気が広がり、レース付きのソフトなインナーや、洋服のように着られる水着などが主流に。隠したい部分をさりげなくカバーしながらも、自分にフィットするものを選ぶという感覚が、トレンドの中心にある。

ロゴを捨てることで、見つけた“自分に馴染むもの”

 トートバッグやスニーカーといったグッズにも変化が見られる。

 かつてはブランドロゴが目立つバッグが人気だった。だが、今はロゴを極力控えた、ナチュラルな佇まいのアイテムが主流に。「一人歩きしないデザイン」の方が、コーデにも馴染みやすく、日常に自然に溶け込む。

 “誰かの目”から、“自分の気分”へ。その視点の変化が、プロダクトの選び方にも確かに現れている。

ユニセックス、サステナブル、手に届く価格――“賢く選ぶ”という美徳

 ユニセックスブランドが増えている。その事実も、韓国のトレンドらしい進化だ。

 性別にとらわれず、サイズや形も自由に選ぶ。“自分に似合えばOK”という価値観が広がっている。

 加えて、フェイクレザーのバッグや、おしゃれで実用的な中価格帯ブランドが支持されている。その背景には、“賢く選ぶ”という意識があるのかもしれない。ファッションは自己表現でありながら、日常と寄り添う“暮らしの一部”になっているのだ。

韓国のファッションカルチャーが進化し続ける理由

 韓国のファッションが強いのは、ビジュアルだけじゃない。ポップアップを効果的に活用した販売戦略や、インフルエンサーとのコラボ、SNSでの感度の高い拡散力。そして英語教育などのベースとなる“自己発信力”。

 それらが総合的に絡み合い、ファッションが“文化”として機能している。

 ハンチさんが語るように、韓国のブランドは今、日本市場にも強い関心を持っている。日本の空気をどう読み、どう馴染ませていくか。その試みの中に、新しいカルチャーの交差点が生まれていくのだろう。

 ハンチさんの話から見えてくるのは、見せかけではなく、“自分の心地よさ”を主軸に置く時代のトレンド。その背景には、ファッションが自分らしさを映す「鏡」であり、誰かと比較するための「記号」ではなくなったという意識の変化がある。

 今の時代を理解するヒントは、こうした“さりげない感覚”にこそ宿っている。

 ハンチさんのようなリアルな声を受け止めながら、私たちもまた、自分の「ちょうどいい」を見つけていく旅を続けているのかもしれない。

 今日はこの辺で。

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