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おせちは時代を映す鏡であり挑戦の舞台である 2023 おせち商戦トレンド

 なるほどね。そのこだわりに僕は唸った。それは、僕がこの日、参加した楽天グループ開催の「おせち商戦に向けたトレンド」でのこと。馴染みの店舗の商材を目にして、そのことを店の担当者に聞くと、年一番の大勝負と言わんばかりに、熱っぽく語ったのだ。会見で発表された彼らの分析をもとに、今の潮流を探りつつ、そのこだわりにも触れる。それを見る限り、おせちは、いまだ日本人の心に根付く、誇るべき文化である。

おせちとの接点を増やす新発想

1.おためしでおせちを楽しむ

 僕が口にしたのがこちら。自分のひざの上で置けるくらいにコンパクト。

 「あれ?小さくない?」そう思った人もいるだろう。実は、これこそがトレンドであり、「おためしおせち」という。写真は「ちこり村田舎の手作りおせち 手づくりお試し」だとか。

 実は、おせちを贈る前に、それらをコンパクトにまとめた「おためし」で実食するのだとか。なるほど、自ら納得した上で、「おせち」を贈るなり、買うという文化が生まれつつある。確かに手堅い。

2.おためしおせちの流通総額は26倍増

 楽天市場調べによれば「おためしおせち」の「流通総額」は2020年と2023年の比較でも約26倍。下の図の通り、そもそも「おためしおせち」の「注文件数」が2020年対比で2023年は約4倍になっている。つまり、「おためしおせち」関連の商材が増え、お客様もそれに価値を感じて、購入する人が出始めている。それと同時に、一人の人が複数の「おためしおせち」をチェックしている。だから、流通総額は、26倍にまで膨れ上がるというわけだ。

 そして、「おためし」だからといっても、その力の入れようは、本家と変わらない。さきほどの「ちこり村」の商品でもあのコンパクトな箱の中に8品も入れている。

いざ実食!そして店舗が語るこだわり

1.その地方の自慢の食材を活かした高品質

 実際に、食べてみると「おせち」ならではの濃厚な味付け。実食して、その味わいを知った以上、こだわりを聞いてみたくなり、親交がある「ちこり村」に問い合わせた。 

 まず、商品に関しては、かれいの西京焼きかれいの西京焼き、浜汐エビ、田作り、ニシンの昆布巻きなどが入っている。僕のお気に入りは、「栗きんとん」風のお菓子。

 「この左上のお菓子、美味しいっすねぇ」と。すると、ちこり村の長瀬好晴さんに尋ねたら、すごく喜んでくれて、こう教えてくれた。

 「それって、おせち料理によく入っている「栗金団(くりきんとん)」ではないんです!」

 「え?どういうことっすか?」。要するに、中津川のふるさと自慢の和菓子「栗きんとん」の上に細かく刻んだ栗の甘露煮をのせたものだという。うわー、贅沢だぁ。

2.おせちにまつわるエピソードも

 「栗きんとん」は秋になると愛知、三重、静岡など県外の人たちも、これを求めて中津川まで訪れるほど。その規模感を説明するなら、どうだろう。中津川で地元の和菓子屋が「栗きんとん」をはじめ自慢の和菓子を持ち寄り開催される「菓子まつり」には3日で10万人ほどの集客があるくらいだとか。

 だから、その自慢の「栗きんとん」の上に「栗の甘露煮」までのせた、この商品はキングオブ「栗きんとん」。「贅沢な逸品」でお目が高い!と長瀬さん。

 「ちなみに、お正月にお母さんがおせちを並べて準備していたら、子供たちが食べちゃって食べられなかった」という逸話があるほど。それで「栗くりきんとん」を増量したタイプのおせちも生まれたぐらいである。となると、「おせち」が存在することで、お菓子は自らの価値に風穴をあけるきっかけを手にしたというわけだ。

アフターコロナのおせち事情

1.おせちの購入金額にも変化が

 さて、コンパクトな「おせち」で魅了されれば、本家の「おせち」も当たり前に購入する。なぜなら、お正月などに皆が集まって、和気藹々とするその場面とセットで、それらを華やかに彩る名脇役だからだ。

 ただ、昨今においては、コロナ禍の影響で集まることを控える傾向が続いた。それゆえ、ここ数年では「おせち」も2〜3人向けと小規模なものの注文が続いた。こう書いていて気がついたが、多分、こういう傾向が、先ほどの「おためしおせち」のようなコンパクトなバリエーションを誕生させるきっかけになっていそうである。

 それに対して、今年は、新型コロナ5類感染症以降初めての「おせち」。逆に、金額も奮発する傾向がみられる。面白いのはシーンも伴って変わって、その金額を引き上げている点。それまでは少人数向けだったものが大人数となり、その金額のレベルが上がったということなのだ。

 大容量で、こんな感じなものの需要も増加中。上は、博多久松「和洋折衷本格料亭おせち『博多』」である。3段に45品目も入っている超豪華版だ。家族で湧く様子が目に浮かぶ。本来あるべき正月の姿か。

2.特定のジャンルに寄せる新感覚

 伝統的な文化とはいえ、時代と共に変容する。というのも、僕などは、正直にいえば、子供の頃、おせちを楽しみにしていたかといえば、そういう印象もない。それは、色々な料理が入っている分だけ、好みが分かれるからであろう。つまり、好き嫌いの多い人ほど、苦手意識を持って然るべき。

 そういうニーズにも的確に応えるのが最近の「おせち」。ご覧いただきたいのは、下のおせち。肉一食である。これは美味しそうだ。

 つまり、おせちの文化は尊重しつつ、特定の食材に寄せたわけである。

3.おせちは自らの価値を訴求するチャンスとなる

 ということは、逆にあらゆるジャンルをカバーしていなければ、おせちを作れないと言うことは無くなって、チャンスが生まれる。例えば、下記の「Saika」はフルーツで重箱を作った。一見すると、おせちのイメージはないフルーツで、その市場に参入するわけだ。

 その食べ頃の果物で敷き詰められた、フルーツ重おせちを提案するなどして、新しい視点で臨んでいるのだ。

関連記事:仲卸の老舗 船昌の挑戦 は“青果”愛ゆえの“食べ頃”革命『Seika』100年先を見据えて

 彼らの強みは仲卸という立場を活かして、最終的な届け先に最適な「食べ頃」を提案することを意図している。必ずやそれらの青果が、その集まる人たちの心を掴むと信じているわけだ。その上、青果ならではの彩りを最大化させるべく、元々パッケージへのこだわりは強かったから、それを重箱に見立てて、作成したというわけである。

3.多様性で新しい時代の扉を開けた「おせち」

 おせちの文化は今も日本人の心に深く根付くと共に、生活の変容に伴い、新しい切り口でもその価値が見出されているというわけだ。

 これはイレギュラー中のイレギュラーかも知れないが、「家族も大事だけど、同じくペットも大事」ということで、最近はペット向けのおせちもあることを教わった。

 そうすると、より一層、店ごと、地域ごとの個性を活かすバリエーションが豊富になって、この文化は良い意味で“進化”する。文化に幅が出ているわけだ。

 そして、多くの人にとって身近になったネット通販は、その背中を後押ししている部分もある。実際に、おせちの買う場所としてネット通販をあげる人の数が、増加しており、新たな文化を創造してきた店長たちの挑戦がそれをプッシュしているのかも知れない。

 おせちは新しい笑顔を生み出す源泉なのだ。

 おせちの美味しい料理とその切り口で、もたらされる笑顔と共に、素敵な年の幕開けを。改めて「おせち」は日本が誇るべき大事な文化である。

 今日はこの辺で。

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