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2つの返礼品 ひとつの鍋で掛け合わせ 地方の価値はこうして磨かれる “さとふる”こたつdeコラボ鍋

 地域というのはコンテンツ。その地方に住む人の思いと工夫の跡があるからだ。案外、僕らはそれを知らずにいるから、ふるさと納税はあの手この手で、そこに気づかせる。ふるさと納税の本質は、その制度自体の認知だけではなく、その地方の中身をどう伝えていくか。僕は、この日、「こたつ de コラボ鍋」という「さとふる」の企画に触れて、そう思ったのである。

コラボ鍋には地方の想いが込められている

1.ふるさと納税の受け入れ寄付金額は8000億円

 「こたつ de コラボ鍋」という企画に関して触れる前に、「ふるさと納税」の現状に触れよう。いわゆる受入額と受け入れ件数での伸びを見れば顕著である。

 受入寄付金額は2021年度で8302億円、前年度は6724億円。受入件数も2021年度は4447万件(前年が3488万件)。

 思わず、僕は聞いたのだ。「客単価や年齢などからみて、誰がどのように寄付するようになったのか」と。答えてくれたのは、さとふるCOOの青木さん。寄付には上限がある。だから最初は年齢が高めで納付額も多い富裕層を軸だったと。税金は毎年払うので、一度、この仕組みを理解すれば、継続利用は増える。その付加価値がわかれば、その利用額の上限まで使う人の数が相対的に増えたという。

2.継続度の高さを背景に増加

 では客単価はあがったのだろうか。この点、面白いのは、20代から30代の利用者が増えている事である。つまり、彼らは上限までは使わないし、そこまで多くもない。すると、その利用者の数が増えるほど、若者の分だけ、寄付金額の一人当たりの平均値は下がっていく。とはいえ、利用者自体の裾野が広がっているから、客単価は落ち着いているけど、マーケットは拡大を続けていると。なるほど。

 それを踏まえて、2022年度は、9000億円以上だと予測する。

 思うに、ふるさと納税は、消費のあり方に多様性をもたらしたと言って良い。それを象徴するのは、日用品の寄付の数。2.4倍以上なのだ。昨今の原材料費の高騰が背景にある。

 外出自粛の動きが落ち着きを見せていることから、旅行券やチケットの寄付件数も2.1倍。これにしても今までは旅行代理店を活用していた人もいた事だろう。要は、人々が必要なものを手にいれる手段が、リアルのお店やECだけではなく、多様化している。ふるさと納税で言えば、それが地域の活性化を後押ししているから、意味があるというわけである。ある意味、いろいろな価値が分散されて、よく出来ていると思う。

 その多様化は、応援需要を呼び起こしている。お礼品名に「訳あり」とつく物に関しては、登録数が約18倍、寄付件数が約4.7倍。地域へのエールによって、本来なら、捨てられていた価値を拾い上げた。これも、新しい消費を生んでいる実態を映し出していると言っていいだろう。

制度の認知を背景にいかに切り口を工夫できるか

1.リアルを巻き込み、ふるさと納税の価値に触れる

 つまり、「さとふる」のようなふるさと納税のプラットフォームが、やるべきこととは、こういう形で単純に返礼品を増やすだけではない。リアルの買い物やECとは違った観点で、応援需要のように、新たな接点を作ることこそ、存在意義を発揮できる。これからは彼らの編集力、知恵が試されるところではないかと思う。

 そこで、冒頭の「こたつ de コラボ鍋」の話に戻ってくる。これは、東京・両国テラスカフェという場所を借りて、行うイベントである。実際には、ここ自体でふるさと納税の需要が生まれるわけではなく、ふるさと納税の可能性を広げる動きである。

2.掛け合わせることによって生まれる価値

 彼ら曰く、一年前から“温めていた”リアルを絡めた鍋企画。多くの寄付者は固有の自治体から返礼品を手に入れることも少なくない。しかし、彼らは全国的に見て、各地方が持つ魅力を訴求して、地域に偏りなく、寄付が生まれる環境なのだ。そこで、着目したのは、複数の自治体の返礼品を掛け合わせることの価値である。

 例えば、伊勢海老の濃厚カマンベールミルク鍋。三重県鳥羽市の「伊勢海老漁師鍋」と、北海道森町の「ピカタの森 牛乳・チーズ」を一つの鍋にかけあわせたのである。

 僕も鳥羽へ行ったことがある(ホテルは伊勢だったようだが)。その海を眺めて、都会にはない、青々とした海と、緑のバランスに、その地域ならではの自然の偉大さを感じた。また、現地で堪能する伊勢海老の料理の数々は、納得のクオリティ。

 それを知っているからこそ、その伊勢海老の横にカマンベールチーズが並ぶ姿は異彩である。でも、「どうぞ!」と手渡され、食べてみると、クリーミィな味わいは、カニとの相性が良いことに気づいた。すると、「この牛乳って???」とチーズ自体にも関心を抱くわけである。

 彼らもその原点に地域の素材を生かすというテーマがある。だから、このレシピも本格的。さとふるが、実際に、専門家の声を取り入れて作り上げているのだという。

3.サイト内ではこのような提案で満足度を底上げ

 当然、リアルでこれを実食すれば、家でもやってみたいということになる。これこそが、彼らの真の狙い。普段は、両国テラスカフェの、バーベキュー用に用意されたスペースには、こたつが設置。

 和気藹々とコタツを囲みながら、そこに配布されているチラシから、さとふるのサイトへと飛べるようにしている。当然、サイト上でもこの提案を目にすることができて、家でそれを堪能できるわけだ。

 「ふるさと納税」で全国各地の魅力的な返礼品を目にすることがあっても、都道府県の垣根を越えて、何かの取り組みをするには、それなりの手間がかかる。そこで、さとふるが率先して、その引き合わせと、ベストなマッチングシーンを演出すれば、地域にも、制度にもプラスに作用する。

 もはやその意味で、「さとふる」はメディアとしての意味合いを持つわけで、あらゆる垣根を越えて、どういう知恵と工夫で、魅了していくかということにあろう。

 彼らが追い続けてきたのはシンプル。「ふるさと納税」は魅力的。だから純粋に自治体と事業者、そして利用者の利便性と満足度の向上に寄与したいと。

 まずは「おいしい」とか「あたらしい」とか「たのしい」という商品価値の底上げは、彼らの知恵次第でさらに最大化する。まさに、毎年利用が生まれやすい土壌だからこそ、まずは、地域というコンテンツをいかに最大化できるか。そこにこれからのふるさと納税の未来があるのではないかと思う。

 今日はこの辺で。

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