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機会損失とは ? 小売 でそれが大事な理由 楽天 が物流を重視する意味も

 小売 においてはここぞ!というときに勝負をかけて、売り切りたい。だから 機会損失 は避けたいものだ。一番売れるときに売り切る店舗の参考事例。今は夏真っ盛りで勝負期の「ところてん」を扱う栗原商店 代表取締役 栗原 康浩 さんに話を聞いた。改めて 機会損失とは 何か。それを考えてみよう。

小売 で避けたい 機会損失とは 売れる時に売り逃さない

1.アクセス殺到 けれどそれを売上に繋げられない

 非常に興味深いのは、コロナ禍に入って最初の夏はさぞかし売れたのだろうと話を振ると、実は反省しかないと、彼は振り返り、ここに勝負期、売り切る難しさを感じさせるのである。2020年は130%増であったが、もっと伸びたはずだと悔やむ。

 一言で言うならば、「機会損失」である。栗原商店が運営する「ところてんの伊豆河童」においては夏ともなると、テレビなどにも取り上げられて、その分お客様が殺到する。まさに栗原さんが口にした去年もメジャーなテレビ番組で取り上げられて、サイトへのアクセスが殺到した。

 ところがその注文数は見込み数を大幅に超えるほどのものであって、予定数を終えてしまい、多くのお客様に「到着まで3週間程度待たせてしまう」状況に陥らせてしまった。納期が遅くなるとわかるや否や、殺到していた注文は落ち着きを見せ始めてしまい、そこで取り返すことなく、番組の影響力がなくなってしまう。もしも、ここでちゃんと出荷できる体制が整っていれば、もっと売り上げを伸ばせたはずだというのである。

2.「出荷をスムーズにさせるために」反省のもとに取り組んだこと

 勿論、一定数は売れているものの、企業として右肩上がりをしなければならない。アクセスした分のお客様を獲得し切れていないこと、そこに加えて、彼が反省したのは「それがお中元前に放映されたことで、いつもこの時期に買ってくれる常連客にまで、待たせてしまった」ということである。

 そこで深く反省をした彼は何をしたのか。

その秋、『TOC理論』を学ぶこととなる。それは、一言で言うなら、ボトルネック(その企業における一番の問題点)を洗い出し、会社全体の業務フローを見直して、会社の一つ一つの工程をどう行動すれば、それらの課題が解決するのかを考えるようになったのである。ここで変化の兆しが見えてくる。

 この会社で言えば、上記の通り、出荷をスムーズにさせること。作業場の改革に至るまで徹底して、全てを整理整頓して、完全に見直しをしたのだ。また、コロナ禍における「小規模事業者持続化補助金」をそこに当てることで、会社として投資すべきタイミングをちゃんと見極めた上での行動だから、奏功した。

 例えば、ところてんの製造はまだ良いとしても、「ところてん突き」というところてんを押し出す器具がセットになっているので、これがなければ成立しない。こういった具合に、生産体制を徹底して追いかけて、作りすぎず、欠品させないよう担当者が動き始めた。

3.受注に対応できる物流環境もまた大事なフェーズへ

 中でも楽天スーパーロジスティクスの活用に関してのくだりが、なるほど、と思わせるものであった。言われてみれば当たり前だが、彼らの商品の中でも、賞味期限の長いものは少し多めに、全てこの倉庫に預けてしまったのだという。まとまっている分、生産性も高く、配送コストも抑えられる。

 以前も記事にした通りだが、ある程度、ネット通販で売上が伸びてきた時のネックは物流であり、すぐに出荷できて流通させられるところにまず最初の物流としての価値があると、リンクスの小橋さんが話していた。つまり出荷できる体制を作るために、モールの物流を使うことは確かに「あり」なことを僕は栗原さんの話から思ったのである。

関連記事:通販企業が“物流“を理解すれば“利益“も “売上“もUPできる理由 高山氏&小橋氏

 その上で、彼らは商品を「決め打ち」した。元々、このお店ではところてんのタレのバリエーションが豊富であったが、これらの注文が集中する時期においては、あらかじめ、そのタレのバリエーションを絞り込んで、そこに集中させたわけである。

 これが今の倉庫の話と連動すれば、いいのである。突然、お店自体にアクセスが増えたとしても、商品は絞られており、かつ出荷の体制もスムーズになっている。その需要に応えるバックヤードの対応が整っているから、必要なタイミングに必要な全ての商品が揃って、必要に応じて出荷できる。生産と出荷が両方機能することで、機会損失をなくしていったというのである。

 言うまでもないが、今までは自社で注文の入ったものから手作業で出荷していたのに対して、倉庫を使えば、入った注文を均等に即時出荷できる環境にあるので無駄がない。注目すべきは「出荷できる体制が整う」ことで広告施策も打ちやすくなるということ。そうか、広告の費用対効果も良くなる。なるほど、こういう効果もあるのかと思った。

4.出荷がスムーズになれば、広告投下のタイミングも見える

 それまでは広告を打っても出荷できない事態も考えて、広告施策を打たない場合もなくはなかったが、出荷できることがわかった以上、広告を打って、きちんとそれを回収しているわけである。

 商品を絞って生産性を高くし、出荷の体制も整えることでお客様のニーズに応えて、それが磐石だから、広告施策も打てて、その価値を最大化できるというサイクルが生まれたことで、機会損失はなくなり、今年は昨年の売上に対して150%増で推移しているのだという。

 驚きなのは、先日、ここでも記事にさせてもらったが、彼らはこんにゃく米を展開しており、これにおいてもこの業務改善が奏功している。一言で言うなら、普通の米よりもカロリーが少なく、当然ながらダイエットを意識できるものであるが、これらも楽天スーパーロジスティクスに預けてしまったわけである。

関連記事:“こんにゃく米”で先見の明 伊豆河童

 これらこそ、「ところてん」以上に、継続的に購入するタイプの商品なので、定期購入へと誘い、その受注数に応じて、倉庫を利用すれば、その波動が小さくて極めて生産性の高いものとなるわけである。スムーズに出荷できるようにと考えて動いた一つ一つは、結果、新規の商材を伸ばすことになって、会社自体の成長にも大きく寄与する形になっているのだ

今日はこの辺で。

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