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美容サロンだけでなく、コスメキッチンなど専門店にも浸透する THE PRODUCT の勢いの理由

 髪の毛を整えるヘアワックスなのに、それを唇につけて潤いを与えるリップとしても。商品開発も例えば、オーガニックなど今の時代を取り入れた価値観重視のゆえの魅力が出て、それが、そのまま、販売戦略の変化をもたらすのだと思った。ヘアバームというジャンルで先駆けの「THE PRODUCT」はこれまでとは違ったコスメの広がり方をして、今のブレイクを掴んでいるのである。

THE PRODUCT の魅力と広がりの理由

1.ヘアワックスでありながらリップにも?

 「THE PRODUCT」は元々、ヘアワックスとして販売。ただ、その素材にはシアバターやミツロウなどを使っているので天然素材を使った優しい商品である。特徴として、ヘアワックスにありがちな、手にべとつく感じがこの商品にはない。ガチガチに固めるわけではない代わりに、濡れ髪のような自然なまとまりを演出するという内容になっている。その用途は結果、ヘアバームと呼ばれるに至る。

 ナチュラルな美しさを訴求しているので、男女のどちらか一方が使うことを意図していない。この辺に商品作りが変わってきているなという実感を抱く次第。良いものは性別、年齢関係なくいいものであり、すると戦略も変わってくるわけだ。

2.地道に裾野を広げる

 戦略の変化は結果、売り先の変化にも影響をもたらすのかもしれない。僕が着目したのはこの商品が美容サロンと一般店の両方で展開している事である。

 主に美容サロンで美容師がオススメして多くのファンが生まれたものではあるけど、その割合は70%。残りの30%は、コスメキッチンやロフトなどの市販のお店であり、そこで裾野が広がっているのだ。

 何気なく「ああそうなんだ」と聞き流してしまいそうな文脈であるが、通常ではあまり考えられない広がり方なのである。なぜか?

3.美容サロンと市販が本来相容れない理由

 美容系商材というのは、美容サロン向けと、市販のものが分けられていることが多く、どちらか一方に絞って展開することが多い。それはお客様の求めるものと製造過程を考えると当然な話である。

 美容サロンの場合、美容室などに来るお客様が、美容師からそのお客様の求めるニーズに合わせて、おすすめするものなので、その内容を詳しく理解した上で購入することが多く、それゆえ単価は高い。その分、成分にこだわっていて、実際に、その使用感が受け入れられて、継続購入となることも多い。

4.専売には意味がある

 だから、美容室も自らの店舗の継続に寄与する付加価値であり、客単価を上げる要素でもあるから、メーカーと卸先の美容室のともに、ウィンウィンでそれはそれで存在し、逆にいうとターゲットを絞っているからこそ、成立するビジネスである。

 対して市販の商品は価格にシビア。単価の安い中で、どんな特定の機能性をもたらすかが勝負となっており、多く売るために、販売促進などに力を入れて、必要な要素を取り入れるものとして、存在する。そう考えると、製造過程が異なるから、価格が違うのは当然なのだ。だから、それらが一部の店舗とは言え、3割も広がっていることには深い関心を持ったのだ。

ヘアバームというジャンルの開拓から始まっていた

1.「1980円」??

 それを紐解く上で注目するのは、「1980円(税抜)」という安さにあるだろう。

 思わず、どういう原価の構造になっているのだろうと思ってしまった。それで言えば、まず海外から火がついていて、そこでのブレイクを土台としていて、大量生産をかけることができるから、一つ一つのコストが下がって具現化できている。

 大量生産はなんら過去の仕掛けと変わりないが、注目すべきはそのオーガニック的な要素。特に、リップにも使えるヘアケアという「ヘアバーム」という新しいジャンルを確立して、それ自体は価値観を商品に落とし込んだだけではなく、ターゲットを細かく男女、髪の毛、リップなど、セグメント分けせず、その価値観に共感するユーザーを集めたことにあるだろう。

2.価値から訴求して

 だから、ある程度の数量を見込み、美容商品ならではの継続性もあって、拡大戦略をしたら、それが当たった。

 では、日本国内のマーケティングとしてはどうあるべきだろうと。だから、(安いけど)安さ勝負ではなく、そのオーガニックという切り口に注目が集まるように、敢えて、美容に対して深い関心を持つ美容サロンのお客様から実際に使ってもらい、それでその価値を実感してもらっている。

 内容が良ければ、継続につながるので、そこでその裾野を広げてブランド力を高めた上で、一般でもそういう感度の高いお客様が集まる拠点に狙いを定め、商品を販売して、広がったというわけなのである。

3.世界を視野に価値観を訴求すると数は見えてくる

 なるほどな、と。

 だから、逆にそれを念頭に置いて、日本だけの流行りを生み出すような大きくセグメントわけして、そこにマス的な仕掛けをするのではないと考えたわけだ。

(これは海外から発生したブランドだけど)同じ価値観を持つ人たちに呼びかけていけば、その価値観が受け入れられたことは海外で実証されているから、そのパイは大きくするだけ。それは継続性を持っているから、一度浸透すれば盤石です。それを固めた上で、その先に、リアルの専門店を展開することが重要であったということになる。

 この背景には、価値観を重んじた戦略で、セグメントわけして大きくマスで仕掛ける方法ではない形が徐々に浸透してきていることがある。一度、受け入れられた価値観は、限りなく世界がボーダレスになっているこので、結果、全世界で言うと、かなりのスケールメリットになる。すると、これまでの商習慣とは違った形で、ビジネスを構築することができるのであって、このような仕掛け方が可能になることをこのブランドは教えてくれているように思う。

新作のチークなども登場して、世界的にその価値観を広げて、更なるシェア拡大を狙うわけだ。

 今日はこの辺で。

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