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文具のエンタメ性 女子を魅了 “文具女子博”

 その数に驚かされた。東京・流通センターの入り口には女性が行列を成していて、今や遅しとその時を待ち構えていた。何を待っているのかといえば「文具女子博」。改めて、いつの時代も女性が消費を先行することを実感させられる。「 文具女子博 」は 2021年 も地味なイメージが先行する文具に輝きをもたらす魔法をかけて、世の女性をエンターテイメントの如く魅了しているのだ。

文具はエンタメ 文具女子博

1.文具には夢がある事に気づかせてくれた

 大事なのは、女性たちが自分達の日記や手帳を美しく“アナログ的に”デコレーションするべく、それらの素材を見つけに来ていることにあります。「今回はどれを買おう」と女性たちは顔を見合わせ、メーカーと熱っぽく話し合うのは恒例の光景である。一種、これは同じ価値観を持つ人たちによって生まれた現象だからだ。

 それゆえ、文具会社にとってもチャレンジであり女性たちの気を惹くべく、この日を目掛けて印象的な商品を準備してくるのだから、両者の高鳴りは最高潮を迎える。

2.文具女子博 で作り手の想い開花する

 思わずクスッとしてしまった。これって、、、、。「はい、忍びです(笑)」。そう言って案内されたのがその名も「シノビンセン」。ちょっと想像してみてほしい。仕事に打ち込んでいる最中で、なかなか声がかけずらい。そんな時に、そーっとこの便箋をその同僚や上司の視界に入れるのである。

 忍びだからね。その裏側に必要なメモが記されているというわけだ。こんなことを大真面目にやっている。けれど、元々はもう創業50年を数える紙の会社なのである。この手のアイデアで女性たちの関心を上手に惹きつけるのである。

 「こちらは箱なんですけど、実は折りたたみ式」という。想像してみてほしい。出張へ行った際に、ホテルには収納ケースがあまりない。しかし、小物を多く持ち歩く、女性にとってはそれが不便に感じることも少なくないわけだ。

 ならば折りたたみ式の箱をとこの会社は考えた。普段、バッグには平らな状態で忍ばせておけば、必要に応じてそれを立ちあげて使える。ありそうでない。よく考えるものだ。

3.王道を抑えてこその文具の革新

 僕が注目する理由がこの会社は別に新しいわけではなくて、「昭和39年」ということにある。名を尚雅堂といい、長らく和紙製品を手掛ける京都の会社である。友禅紙と言って着物の友禅染めを連想させる柄の和紙などを専門に扱う企業。折り紙などのイメージの方が強いのである。でもなぜ?

 そんな話をしたら、代表取締役 松尾安浩さんが出てきてくれた。「自分達の周りの職人さんのできることは限られているからこそ、自分達の提案力が大事」。その彼の言葉が心に残った。提案力か。

 つまり、何気ないものでも色味を変えるだけでも商品の表情が違って見えてくる。使い方を工夫すれば今の日常生活にも適応できる商品になる。彼らはそこに頭を働かせている。技術を持ちながらも依存しない。だからこそ、発想に貪欲でありたいとするその姿勢に敬意を評したい。ここから文具のエンタメが生まれる。

 そしてその裏側には、職人への信頼がある。その価値を最大化させるために、そのデザイン性で触発し、商品の質を高めて、お客様に届けるのである。確かに昔のままでは来場者の今を謳歌する女性の心は掴めなかっただろう。

  商品はメディアだ。それでお客様が商品を手にしてくれることで、その価値を深掘りして、その伝統に気付く。更には、その会社の取り組む想いに触れて、またこの会社の文房具を買おうという気持ちにさせてくれる。

遊び心はいつも共に「文具女子博」

1.キャラの世界を文具に活かす

 このイベントは発想が問われる。そう言って過言ではない。「女子文具博」では常連のエポックケミカルは、まさにそういうのが得意技。今回は「I’mドラえもん」をモチーフに遊び心を見せてくれた。

 例えばふせんがそうである。単なる付箋と思う勿れ。ドラえもんのアイテム「タイムふろしき」をイメージした。特徴として、両面印刷になっていて「表が青で捲ると赤」という具合に折り目をつけることすら楽しい。ふろしきという素材を通して、古くからある「付箋」で遊んでいる。

 この「小さなボード消しけし」だってそうだ。

 「リモートワークで中々伝えづらいことがあるじゃないですか。パッと書いてこれを画面に向かって見せれば、一目瞭然です。コミュニケーションを助けるためのアイテムですよね」と。

 なるほど。日常にアイデアのヒントは落ちているものなのだ。

2.来場者の想像力を触発する

 このイベントの特徴として、商品それ自体が可愛いという要素はある。しかしそれ以上に、来場者にそれをフックにその想像力を触発させるから、熱狂を生み出すのだ。

 例えば、文具の老舗ミドリが意図しているのは何だろう。来場者の女子達がいかにすれば、自分のノートや手帳をデコレーションすることを楽しく想像するかどうか。些細な事だけど「ほら、立体感を持たせて、動物ふわふわシール!」とスタッフの方。

 商品そのものはさることながら、可愛らしくカスタマイズした後のイメージを訴求する。だから来場者は皆一様に、高揚感に満ちてきて、楽しくなる。

3.実力ゆえにその舞台裏もドラマ

 だから、その延長線上にはノート自体もカスタマイズして楽しむという発想も生まれる。ナカバヤシでは「Logical W リングカスタムノート」を提案していた。自分だけのノートを「女子文具博」限定で作ってしまおうというもの。

 「表紙」を20柄から「本文」を7種から、という具合に柄を選ぶと、その場でリングノートを作ってくれる。

 何が素敵かといえば、作る工程を見せるている事にある。ものづくりを体感するのと同時に、裏側の努力を、商品への関心と共に伝えられる。しかも、それらはオリジナリティ溢れる各々のノートを開くたびに思い出される。可愛らしい商品だけではなく、こういったリアリティのある体験もこの「文具女子博」の魅力かもしれない。

4.やっぱり文具はエンタメである

 文房具というと地味なイメージもある。けれど、その常識を覆し、まるで雑貨のような華やかさとその売り場には高揚感が漂う。それがきっかけで、そのメーカーの工夫や伝統、技術と想いに触れることだってある。

 文具女子博はそんな風にして、感度の高い女性を惹きつけた。そして、良き技術を持つ企業を今にふさわしく輝くための土壌を作ってくれた。型破りという言葉は「しっかり王道を学ばずして成立しない」と聞いたことがあるが、実力のあるメーカー達が総力を結集したエンターテイメントだから成立するのだろう。

 実力のあるメーカー達がやることをやった上で、総力を結集したエンターテイメントだから成立するのだと思う。だから、これからの時代は実力を持っているだけではなく、それをどうやって伝え、心を掴んで、共感してもらえるかが大事なのではないかという意味で、このイベントの大事さに気づくわけである。​​​​​​​

 逆に、文具女子博そのものは5年目だから、まさに文具業界の心の声と女性の心理を上手に結びつけ、その着眼点で短い期間、ここまでよくぞ来たもんだ。圧巻である。

 今日はこの辺で。 

参考:【特集】文具女子博 女性的感性に触れて変貌した文房具たち

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