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次世代に残る商品開発で “女性”のあした を考える

 見えないものが色々見えてきた。先日、HERSTORYが主催する「女性のあした大賞」に参加して、感じたことだ。例年は“女性”目線に立った商材やサービスを表彰するこのイベント。変わったのも時代の節目か。今回は商品や企業はこうあるべき、そう未来に対して思いを馳せたプレゼンの声が響く。複数のチームによるそういう提言に対して表彰する。女性らしく次の時代をへと紡ぐ内容へと変化したのである。

女性 の気持ちに答える 商品開発

1.女性の心理で10年先の商品が見える

 かねてより、HERSTORY 代表取締役 日野佳恵子さんは、女性の心理を掴む事で10年先の商品が見えてくると話している。それも顕在化されるのに時間を要していた。が、今やSNSやネット通販によって発信し、その多様化が受け入れられて、具現化される速度が早まっている。

 女性という視点で見ると、実に興味深いデータがこの中でも話されていた。

 家庭を持つ世帯数は1811万世帯ある。そのうち、約70%(1240万世帯)が共働きという実態なのだ。また、一人親世代においても、142万世帯あって、そのうち123万世帯が母子世帯という。

 つまり、既に存在する商品はこの部分に対して応え切れているだろうか。こういう実態に即して、何を提案するか。そこにビジネスチャンスがあって、だから、今回のような未来の商品を語る必要性が出てくる。

2.離乳食に関して世の女性は悩んでいる

 中でも僕が関心を抱いたのは、bouquetというチームの「離乳食」に関する商品プレゼン。「離乳食」というのは、ミルク以外から栄養を摂る練習のための食事のことをいい、大体、生後、5ヶ月頃から始まる。1日1回の10倍粥から始まり、約2ヶ月ごとに幼児食に切り替わるまで一年続くものである。

 実は「離乳食」という言葉自体はよく聞くものだが、実際、それはすりつぶしたり、柔らかさを整えたりと、それ自体が手間のかかることであり、7割の人がそこに負担を感じているというデータもあるそうなのだ。

出典:【管理栄養士さんに聞いた】離乳食作りが大変! ママ・パパにおすすめな簡単解決方法

出典:6月20日は父の日「パパの育児参加状況」実態調査

 ただ、その割には父親側が離乳食作りに参加するわけではない。確かにオムツ交換などはそのイメージはあるが、離乳食を手伝うイメージはなく、そういうところから夫婦間に距離感が生まれることもあるというわけなのである。

3.商品で離乳食にまつわる課題を解決

 そこで提案するのはただ、それを主張するのではない。商品でどう解決するか。

 とはいえ、「ただ商品を出せばいい」のではない。「家族の関係性を深める為に提案されている」ことが大事だということなのだ。コミュニケーション性に長けた女性が中心となって考えることで、“あした”に繋がる。それは、冒頭話した通り、10年先を見据えた視点が多いからだ。

関連記事:だから日本の“通販”は負け続ける 日野氏と西野氏語る“マーケティング”で 大切なこと

 そこで考え出されたのが「にっこりスプーン」。誰でも簡単に作ることができる離乳食のセット。そして情報と相談窓口を用意した専用アプリを提案していこうというもの。アプリは相互に関係性を生むことを意図している。

 実は、その離乳食に関して一番身近である夫に頼りづらいという要素がある。また、潜在的に存在する「市販のベビーフードを使うこと」への抵抗感があるという。だから、それら加味した提案となる。

 「何かに頼ることなく、抱え込まずに、その精神的なケアができないか」。そこに重きが置かれている。

徹底されていない性教育 に価値

1.徹底されていない性教育

 それ以外では、性教育が未充足であるという視点。家庭での性教育は約80%が実施していない。その上、学校での性教育にも約86%が満足していない。そんなデータもある。

 その背景には何があるのか。要は、親世代も教わったことがないので教えられない。それと同時に恥ずかしさが邪魔して、その部分から避けている。こういった要素によって生まれたことなのだ。そういう実態に対して、どこに商品企画のチャンスがあるか。

 注目すべきは、発達心理学の視点から言えば、実は、年齢ごとに伝えていくべきことが違っていること。確かに身体の進化や興味に合わせて、的確に捉えた教育が一番、自然であり望ましいという話なのである。

2.子供の年齢に合わせて内容を変えていく

 だから、まずは3歳〜6歳の子供を持つ人へと訴求していく。GENERATIONSというチームによる「kokokara BOX」という商品提案は、まさにそれであった。子供の年代ごとに必要な知識を学べるアイテムをアプリとセットにして送るというわけだ。

 具体的には、子宮などを粘土のようなもので作るなどして、自然とそのものへの理解を促したり、カラダのクイズで興味をかき立てる。今までいえば、タブーになりがちなところをソフトに提案するもので、この辺もコミュニケーションの中で商品の力が消化されていくもの。女性ならではの人との協調性というのが生かされた商品アイデアだと思った次第である。

未来を生きる先ゆく視点が大事

1.先を見越すことの意義

 何もこういう商品を作れと言っているわけではないです。ただ、後追いではその企業の発展は見込めない。先を見越して、人として何が求められるかという視点が大事なのではないかということなのだ。  

 すると、生活そのものに立脚してアイデアが出されていることが重要。そこに未来の商品開発におけるヒントがあるということ。「他では売れているから」という視点ではない。今はその商品が明確に存在していなくても、未来に必要とされる提言として受け止めれば、各々にとって参考になるだろう。

2.先を見越す上で女性目線が大事な理由

 以前、日野さんと話した際に、彼女はこんな話をした。オーガニックの必要性を30年前から女性は語っていた。けれど、果たしてそれが売れるのかというのが当時の現場の声だった。

 ところがどうだろうと。今ではそれが多くの売り場を構成している。未来を思うほどに、女性目線が大事なのは彼女の言葉通りである。

 先ゆく目線が女性にあるのはなぜだろう。それは、女性にとって『家族が幸せか』や『母として、女性として人生、真っ当に生きているか』ということを大事にしているから。

 流行り廃りではなく、普遍的で、その後の“あした”を考えると、それが共感に繋がりやすいのである。その視点は言うなれば、次世代継承型。未来に何を残すかという視点だから、先駆けているのだと思う。

 まさに、今回はそんな議論である。特に男性においては、「見えないものが色々見えてくる」時代において、女性とどうやって寄り添い、理解を示そうとするかに、全てのビジネスの「あした」があるのだと思う。

 今日はこの辺で。

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