伸びた ふるさと納税 6,725億円 対前年度比約1.4倍 返礼品 も変貌
ネット通販では最初の緊急事態宣言を境目に拍車がかかり、売上が伸びたが、ここで読者に質問。「 ふるさと納税 」はコロナ禍、どれだけ変わって、伸びたのだろうか?自治税務局の発表によれば 2020年の 返礼品 の受入額は約6,725億円、受入件数は約3,489万件。実に、受入額は対前年度比約1.4倍、受入件数は同約1.5倍と大きく伸び、2020年はふるさと納税にとっても転機となった。
ふるさと納税 返礼品 寄付者側が変わった
変容する「ふるさと納税」を返礼品の数字で紐解くべく、さとふるの方々に協力してもらい、色々質問をしてみた。
「コロナ禍ならではの返礼品って何かありますか」。そう問いかけると、「今年前半までくらいにかけては、色々調べてみたのですが、家で過ごす時間が増えたことで、パジャマとかルームウェア、そういった返礼品もあって、そういうものが伸びています」と。
「パジャマ?実際、それらはどれくらい伸びたのですか?」そう聞くと、約2.8倍くらい(2020年1~2月と2021年1~2月の比較)だという。約3倍ではないか。
この背景には「『ふるさと納税』は安いものというよりはしっかりしているものを求める傾向があるので、その基準でこういうアイテムが選ばれているみたいですね」と話す。
それと在宅時間が増えたことで伸びたものでは、アロマ関係のものの伸びも、2倍以上だという。
察するに部屋の環境を良くしようとしているのであろうが、寄付件数で約2.1倍に増加(2019年4月~2020年3月と2020年4月~2021年3月)である。
ここで、アロマという話を聞いて僕はふと「ふるさと納税でも、女性が決定権を持って品物を選ぶ傾向が以前より増していて、それが返礼品のラインナップが増えているということはないか」と思い、聞いてみた。
すると「明確なデータがあるわけではないけど、家族名義でも奥様が選んでいる傾向が高いということはあるかもしれませんし、そういう方々が新たに『ふるさと納税』をやり始めたということもありえますね」
そして「全体で見ればフルーツ、魚介類、米の寄付が多いことは間違いありません。ただ、そこの伸びは例年並みであって、でも特定のカテゴリーごとで、見てみると昨年よりこういうものが伸びているという傾向があります」と続けた。
そうか。実は、数字上は変わっている。けれど、基本的には『ふるさと納税』の取り組み自体はそこまで大きく変わっているわけではない。けれど、マーケットはコロナ禍もあって大きくなっている中、出ている品目に変わりはないけど、今まで選ばれることのなかった商品が選ばれて、多様化が進んだということになるわけである。
選ばれることのなかったジャンルが、全体の受入額の伸びの牽引役になったということにもなりそう。
「その他の商品でも増加傾向にあるのですか?」そう尋ねると「『花・観葉植物』もその傾向があります」と。
『花・観葉植物』カテゴリーへの寄付件数は、2019年3月~2020年2月と2020年3月~2021年2月の比較で前年比1.6倍。
驚きなのは、お墓参りや親孝行、空き家の見回りなどの『代行サービス』。この寄付件数は前年比約2.4倍に伸長(2019年6月~2020年5月と2020年6月~2021年5月)していて、何もふるさと納税にしなくとも、と思ってしまう。
上記はかなり特別な例かもしれないけど、実は食品でも選ばれる傾向に変化が表れていて「瓶詰めとか缶詰のお礼品が伸びていて、16.5倍です(昨年夏と今年の夏比較)」と。
保存が効くという要素が受け入れられているようで、例えば、震災の復興に絡むところで「復興感謝企画品『さば水煮』」など。国内で水揚げされた高鮮度のさばを原料として、作り上げたさばの水煮。東日本大震災で被災した、岩手缶詰と重茂漁協が共同開発したものである。
物流環境の変化で利便性の向上
品目は受入額の増加に伴い、多様化を見せる一方で、実はさとふるの足元でも変革が起きていて、彼ら自身が最近、注力しているのが物流。
ネット通販さながらに、指定日配送サービスを早くから取り入れており、もともと再配達率が約21%だったのに対して、指定日配送では約11%と再配達率が10%減少して、成果が出ている事を明らかにした。
ここに加えて、今年3月から『時間帯指定』も導入。寄付者がより確実にお礼品を受け取れるようになったと胸を張る。
そう考えれば、結果的に、そういうインフラ面の地道な改善がこのコロナ禍でのネットシフトにもプラスに作用した可能性はある。今のネット通販の台頭は25年前には想像できなかったように、人々の価値観もインフラも変わって、ふるさと納税もごく当たり前に使うものへと変わっていくのだろう。多くの企業がここも一つのマーケットと位置づけ、チャレンジしていくのもいいだろう。
増えれば、増えたでこの市場は更に触発されるわけだし、リピーターも多いそうなので、大いに発展する可能性を感じさせるこの一年であったように思う。
今日はこの辺で。