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地味な中にもきらりと光る燻し銀の中小企業の努力と個性 ギフトショー2023秋

 展示会の中ではまさに、老舗であり、王道を行くのが「東京インターナショナル ギフト・ショー」である。毎年、ギフトと言いつつ、新商品の発表会の場となっており、百花繚乱。2023年秋も、色々なジャンル問わず、商品が集まっている。

創意工夫の無限大パワー

 まず僕が惹かれたのは、こまむぐという会社のシンプルな商品。動く馬の木製玩具。でも馬が前進するだけではない。前へ進む度、首を上下にして、まるで馬が歩いているように見えるのである。

 大事なのは学校で言うところの図画工作の話なのだ。つまり、人間の創意工夫のなせる技という点であり、至って構造はシンプルなのだ。ポイントは前輪にあって、車輪の軸をあえて、真ん中にしていないことにある。

 車輪は回ってそのまま前へと進む。だが、軸が真ん中ではないから、軸の位置は上下にぶれるのである。だから、軸と接着している本体もそれに釣られる形で、上下に揺れる。

シンプルなのにリアルである

 この上に木製の人形が置けるので、こんな感じ。

 馬の頭が上下するたびに、人の頭も釣られてカクッとなるから、本当に乗馬している雰囲気が伝わる。シンプルなのに、リアルに再現されており、秀逸。これこそ、おもちゃが追うべき姿じゃないかなーと。

 最新のテクノロジーを使うのもいいけど、人間の創意工夫一つでこれだけ人の気持ちを触発できるのだから。ちなみに、あらゆるもので、人間の頭脳の可能性にチャレンジしている。だから、これもそう。

 用意するのは、積み木のトラックと建物。建物には四角い積み木を入れておく。トラックに最初荷台がついていないのに、建物の入り口に、カチッとはめると、トラックが出てくる時には、荷台が着いた状態で出てくるのである。

 見た目は、他の木製玩具と変わらないだろう。でも、設計を工夫することで、付加価値が生まれていく。

中小企業のいぶし銀の才能

 ギフトショーでは、こういう中小企業で地味ながらきらりとひかる企業が多くて、それぞれの強みや個性を活かした努力を見ることができる。

 例えば、これはタオル。

 実は圧縮しているのだ。圧縮なので、水につけると、すぐに解けて、タオルになって使えるわけです。これを手がけたのは、広島の光という会社で、元は粗品のタオルを扱っていたそう。

 それらをやる過程で、思いついた。粗品なので、よりコンパクトにしようと、圧縮させているうちに、いろんな要素を組み合わせれば、特殊な形状にできることに辿り着いた。

 いざやってみると、それは「誰でもできることではない」。それで、シュウマイなどで、タオルとかけ離れた形状にできないかと、その圧縮を試した。それが成功して、脚光を浴びることになり、今回、ギフト・ショーのお披露目に合わせて、メロンパンに着手したのである。

表舞台に出てリボンの価値を知らしめる

 続いては、リボンの会社で矢地繊維工業という会社が「しおり」を作った。「リボンの会社でしょ?」と耳を疑ったが、本気。その名も「SEE OH! Ribbon」だ。

 矢地繊維工業は代々、ひたすらリボンを作り続けてきた会社。今から10年ほど前、一念発起でオリジナルブランドでこのブランドを立ち上げ、展開している。彼らには豊富なリボンの素材がある。また、レーザーカッターの機械を自前で持っている。そこで、きめ細やかにカッティングすれば、「しおり」として受け入れられる。かくして独創的な自分たちの強みを活かすアイデアは具現化された。

 職人技だと思わせるのは、ただカッティングするのがレーザーカッターではないということ。

 (右写真)右側の手で添えている手の部分、表と裏で色が違うのだ。裏の濃いめに出ている青はそのカッターで削ったことで出てきているのだとか。

 つまり、それらを掛け合わせることで、より深みを増したグラフィカルなしおりが完成できたと。素晴らしいのは、この説明をしてくれた小川柚希さんがこの商品に一目惚れして、入社したという話。なるほどー、商品で販売することもさることながら、それで未来を担う社員を引き寄せるとは。商品力は会社にとっての最大の武器である。

ネットにより広がる商品の可能性

 埋もれていた価値の発掘という部分で、「キーパーバッグ」を取り上げる。ギフト・ショーでキッチン&ダイニングコンテストで大賞を受賞した商品でもある。それで、担当するエミナルの脇谷由香さん曰く、ネットをうまく利用することで、これまで無かった切り口も裾野が広がっている。

 実際、同商品もクラウドファンディングで脚光を集めたもの。プラチナシリコンという素材が売りになっている。プラチナとついているくらいなので、頑丈なのだ。それ自体をレンジに入れても、冷凍庫に入れても、更には洗う時、食洗機にいれても壊れない。

 密閉の度合いも強力。カレーを入れてもこぼれないほど。(カレーを入れるかどうかは別として(笑))。でも、野菜などの栄養も閉じ込めるので、新鮮な状態で堪能できる。

 でも、これらはクラウドファンディングがあるおかげで発掘できたと語る。これは海外で発見し、自らが代理店を兼ねて売っている。他にも商材を扱っているけど、クラウドファンディングの恩恵を受けての展開。

 同商品とは違うが、こう語る。「まだ製造中なのに、そこに出品してお金を集めることができるということはある程度、受注を読むことができます。手堅く、販売へと繋げる一手になります」と。

 実に業界ごと、さまざまな視点で商品が日夜作られている。もっと、あっぱれ、いぶし銀の中小企業。こういう埋もれた価値に光が当たればと思う。

 今日はこの辺で。

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