SDGs は製品を選ぶ大事な指標 ふるさと納税 で 関連のお礼品登録数 が 約6.9倍
最近、ものの付加価値が随分変貌していて、製品自体の良さに加え、企業なり自治体なりの「姿勢」も見られているから、“SDGs”も大事な選ぶ基準なのだと思っている。その証拠に、さとふるによれば「 ふるさと納税 」で“SDGs”絡みのキーワードを用いているのお礼品の登録数(2020年5月~2021年4月)が、昨年同期比で約6.9倍まで増えている。
そもそも「SDGs」というのは「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」。今生活している私たちの欲求を満たし、将来の世代が必要とする資産を、損なうことのない社会を目指したもので、例えば、貧困、環境、労働問題まで、多岐にわたる。それは17のゴール・169のターゲットで示されているのだ。
知ってるよ、CSR活動の一環でしょ?という具合に、「企業のイメージ向上」という側面だけで受け止められがちであるが、実はそれらの要素が多くの消費者にとっての判断基準になっているという現実に目を向けるべきだと思う。
意外と、知られていないが、楽天リサーチのデータによれば「サスティナブルな買い物をする傾向が強まった人」の数は20代女性の全体の41.8%を占め、これは40代〜50代男性の20%前半に比べると倍近く意識の差が現れていて、この数値は無視できないと僕は思っているわけである。
だから、自治体などもお礼品を通して、その姿勢を打ち出す動きが見られるし、利用する人もそこに信頼を抱いて、寄付するというわけである。
SDGs に絡む ふるさと納税 の返礼品
具体的に、どんなものがあるのか。例えるなら、山梨県山梨市の「食のサスティナブルに貢献するアイスクリーム『KaiCream』8個入り」である。
わざわざタイトルに持ってくるほどでこの背景には「甲斐国物語のフードロス削減 エシカルプロジェクト」というプロジェクトの推進がある。 つまり、ぶどうの季節になると、毎日たくさんのぶどうを箱に詰めて発送するのだが、中には形が不揃いなどの理由で贈り物に使えないぶどうも数パーセント出てくるわけである。
そこで、“丹精込めて作られたぶどうを1粒でも無駄にしたくない”という想いでレーズンやピューレに加工してすべてアイスクリームの原料にすることで、廃棄を未然に防ぐということで、そこに関連して、ふるさと納税のお礼品に入れているのである。
熊本県小国町では「【阿蘇小国杉】森をつくる木製A4ファイル2枚セット」をお礼品に入れている。脱プラスチックもできるA4ファイルではあるものの、見た目も含めて洗練された作り。自分がそのお礼品で寄付することの充実感とともに、おしゃれさも伴って注目されているわけである。
「【フードロス製品】野辺山ほうれん草カレーペースト」は、野辺山高原で作られるほうれん草の規格外品を使用している。これ製品自体2020年秋、クラウドファンディングを行って実現したものである。
そのクラウドファンディングでは目標達成率が500%弱で、全国から530名以上の支援が得られたほどの熱狂ぶりであり、事業者だけでなく、一般消費者の側も「フードロス」に目を向ける時代になったからこそ生まれたお礼品といえるだろう。
それ以外にも、SDGsの広がりと共に、ものづくりの価値観も変わってきており、岩手県宮古市の「Re帆バック」などは、東日本大震災で被災したヨットのセールを再利用して製作したトートバックである。
元々、自治体がそうした動きに積極的なところは言うまでもなく脚光を浴びていて、例えば秋田県横手市。「横手J-クレジット 横手の森林をもっと身近に! CO2削減 250kg相当」という一風変わったお礼品であるが、簡単にいうと、寄付すれば緑が守られるというわけである。まちの魅力である森林をまもり、豊かな森を次世代に残したいという想いが具現化されたお礼品なのである。
SDGsを示す事で、より寄付の意思を高める
「ふるさと納税」は自治体が寄付してもらう際に、使途(寄付金を何に使おうと考えているのか)を選択肢にして明らかにして、寄付者に選択してもらっているのだが、この項目にもSDGs関連が増えている。
つまり、SDGsが入っていることでユーザーが寄付への気持ちをより前向きにさせるという要素があるわけである。こういう双方の意識の高さが、先程の数字などにも表れているのではないか。
もはやSDGsは、会社や自治体のパフォーマンスではなく、一般消費者が、商品なりお礼品なりを、選ぶ上での重要な基準になっているという現実。企業や自治体においては今一度、その自分たちの理念に立ち返るのもいいだろう。今の時代の文脈で自らの製品を通して、それらを示すことが長い目で見て、企業価値を高めていく。僕はそう想うのである。
今日はこの辺で。