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楽天 BEAMS そうめんの池利 それぞれの革新 伝統に敬意を評して

 伝統を重んじる企業ほど革新への取り組みを繰り返している。先日、奈良にある創業170年の老舗で「池利」という三輪そうめんのショップに取材を試みた。その際に、そこに最先端ファッションをひた走る BEAMS 、そして楽天グループ(以下 楽天 )にも同席してもらった。異色とも思えるこの“顔合わせ”で伝統の重み、革新へのチャレンジを皆、一様に語ってもらったのだ。

楽天 BEAMS により 池利の伝統が今に羽ばたく

 背景には、最近、Rakuten meets BEAMS DESIGNというページが立ち上がったことがある。これは楽天市場に出店している店舗の企画や開発を BEAMSのライセンスブランドである ビームス デザインのディレクターが監修するものである。

 僕は元々ものづくりへの想いもあり池利の歴史に敬意を評しつつも、そこに BEAMS の息吹が吹き込まれてどんな化学反応を起こすのか気になった。そして「彼ら自身の気持ちにどんな変化をもたらしたのか」も。

 そもそも池利の話をすると、創業は嘉永3年(1850年)。171年が経過し、彼らの地元奈良県三輪は1300年前から語り継がれる「そうめん」発祥の地とも言われる。池利のネット販売促進部 松岡直樹さんの話によれば「100年以上、そうめんに携わる中で、その時代にどう合わせていくかは常にありました。消費者が求めているものは何かと、パッケージもその仕様も作り変えてここまでやってきたのです」と語る。

 伝統がありながらも、革新への意欲は常々この会社の魂に刻み込まれていた。例えば「これまでは真っ白なそうめんが当たり前。そこに色付きのそうめんを作ったのが池利だと言われています」と松岡さん。

 お茶を使って緑にし、卵を使い黄色にしたそうめんに加えて、真っ白をつけて「3色そうめん」を展開したのは画期的であった。今やそうめんは七色まで増えて、虹のように人々に幻想的な夢を与えている。

伝統と革新のバランス

 ただ革新の裏には守られている伝統があるのも忘れてはならない。代々伝わるのは「手延べ製法」というやり方で、一つ一つ手で丁寧に伸ばしていく。その過程を経て、彼らは常に「美味しさ」「技術」と「品質」の三つは頑固に守り抜いてきた。

 挑戦はものづくりだけではなく、売り先もだ。元々百貨店がメインであったが、量販店などにも広がり、今から13年前、楽天市場への出店を決意したのが、先ほど話してくれた池利の松岡さんなのである。

 「当時は反対する声も少なくありませんでした」と振り返る松岡さん。ただ、商品は良くともお年寄りの購入が多くを占めていたからこそ、若い世代へその魅力を伝えようとその意思を貫き、今に至る。

 実は仕様も変えている。百貨店では木箱にそうめんを入れギフト仕様にするのが定番であったが、「楽天市場」では自宅用として低コスト食べられるようなものを意識し、紙箱に入れた。伝統は守られているから、味は折り紙付きで、その提案により、彼らの認知は全国に広がったのである。

 まさに伝統を守るために「革新あり」。それが、今回のビームスデザイン のプロデュース による「そうめん」の提案という斬新な切り口にも繋がるわけだが、そこには池利なりの意図があった。

 彼らが守り続ける「三輪そうめん」はそれ自体が日本の伝統的な食文化。一方で、ビームス デザインを擁するBEAMSは様々なライフスタイルに合わせて、様々な商品を違った形で魅せてきた。いわば時代の流れを読み取るセンスで人々に新たな価値観をもたらしてきたわけだから、その伝統は今にどう革新を遂げるか関心があったわけである。

ビームス デザインは池利に何をもたらしたのか

 BEAMSはライフスタイルを提案するプロフェッショナルだからこそ、三輪そうめんを「生活の一部」として果たして、どう表現するのだろうか。池利の松岡さんも固唾を飲んでその成り行きを見守った。

 「例えば、色つきそうめんを、新たなライフスタイルに持ち込めば、これまでにないお客様を惹きつけ、人々の食卓に華やかさをもたらす事ができる」といった具合で夢は膨らむ。そのビームス デザインの取り組みに、松岡さんは二人三脚で取り組んだ。奈良から車で東京まで飛ばして、会議に臨んだほどだ。

 ビームス デザインもまた、それをすることで、自分たちの存在意義を確認するわけだ。ビジネスプロデュース部の日高正幸さんは言う。「最近では、ネット通販で商いができるようになって、販路を拡大できるようになりました。その一方、ユーザビリティや、利益を追求することに忙殺されて、自分たちの本来の良さをまだまだ伝えきれていない企業もあるのではないでしょうか」と。

 何よりBEAMS自身も自社でECを展開して、そういうお客様に必要な情報というのは何かを自問自答して、ここまでやってきたからこそ、池利さんの気持ちも、そこに力になりたい楽天の気持ちも理解できると振り返った。

 だから、楽天から「Rakuten meets BEAMS DESIGN」について話を受けた際にも、BEAMSが常々、コメントしていたのは「伝え方の部分でビームス デザインが入ることでアップデートできることはきっとあるはず」という想いであった。

お店や伝統の伝え方をアップデートさせたビームス デザイン

 僕が「なるほど」と思ったのは日高さんが「我々にできることは、表現されている方、生産者と消費者を繋ぐという事。それを長くやってきているので、そこの中で培った経験をこの企画に活かせないか」と彼らなりの考えを述べたところだ。

 すなわち彼らは多くの商品を取り入れながら消費者に新たなライフスタイル提案をして、引き合わせてきた。彼らなら出店店舗の元々の素材を尊重しつつ引きたたせ新しい価値を見出したいと考えるのは自然である。

 彼らがディレクションしたことで例えば「そうめんとつゆ」のセット商品も生まれ変わる。池利の松岡さん曰く「通常は、そういうセットの場合、つゆの上に紙が付いている。ビームス デザインさんからその紙に関して指定された色がグレーだったんです。これには驚きました。僕らの感覚では、青か赤のイメージしかありませんでしたから」と。

 それ以上に驚いたのがこのカラーの商品が、一番売れているという現実であるという。

 監修を担当したビームス デザインの平田睦子さんは、「BEAMSでは、店頭に冷蔵庫を設置している店舗はごく一部、また倉庫の温度環境上、保管可能な食品の種類にも限りがあります。そのため、食品はやりたくてもそこまで積極的にやれるジャンルではありませんでした。その分、できなかった事ができた画期的な取り組みとして受け止められたと思うのです」と振り返る。

個性的であれ!楽天の魂を感じる店舗への想い

 そこに加えて、まさに流通の強さで力を発揮したのが、楽天市場というプラットフォームであろうと思う。ビームス デザイン単体でやろうとすれば、こうしたジャンルとの出会いもなかったかもしれないし、販売できるロケーションは限定的だったと言って良い。

 楽天の梶川 由理香さんは普段、楽天市場のファッション領域の企画を担当する中で、BEAMSとは普段、複数のレーベルで商品を出店してくれているので、気心も知れていた。特に、BEAMSに関していえば、アパレルに限らず、インテリアなど幅広いジャンルにわたり、ライフスタイル提案していることで、こういう企画でこそ力を発揮すると思ったようである。

 僕の個人的な想いであるけど、楽天は拡大していく中で、店舗には、楽天の利点を感じてもらうために共通した仕様に合わせてもらう必要が出てきたように思う。けれど梶川さんの話を聞いていると、その店舗ごとの個性をどう守っていくか、それも彼らにとっては大事な使命だと考えているのだと思った。それは楽天のイズムに相通じる。だからビームス デザインと出店店舗の引き合わせという事に繋がったのだろう。

デザインは伝統と革新をも結びつけるのか

 最後に、僕が印象的だったのは、このデザインの過程において、池利の松岡さんがビームス デザインとのやりとりで気付かされたことを語る、その言葉であった。

 「これまで私たちは、商品のパッケージ作りにおいても変更を行う際には、社内と既存でいる外注先とデザイナーとが話し合いながらやっていたけど、どうしても百貨店に合わせた商品を作っていく事が多かったように思います」と。

 そして「ただ、今回の取り組みを見ていると、もっと全体的な視野を持った話が大事であって、ページを楽天市場の方で見た時に、今までであれば、異なる商品が並んだときに、違和感が生じていたはずなのに、それが全くなかった」と。

 つまり「主となるブランドのロゴが決まっていて、そこに対してのパッケージとロゴの見せ方に対してどれも違和感がなくそれが馴染んでいたという事なんです。このことを見た時に、うちでも社内でのブランドロゴのあり方の見直しが必要あるなと気付かされました」とデザインがもたらす変革の意味を、ビームス デザインのプロデュースから学んだのである。

 まさに、この時松岡さんは「元々繋がりのない商品が“一つの線”で結ばれて大きな輪になっている感じがしています」と語っていて「これから弊社としても様々な商品を様々な時代に合わせて、一つの線で結び、大きな輪で結ぶことができないかと思いました」と話して、僕はこれこそこの取り組みの意義だと思った。

 まさに、楽天が個々の店の個性に目を配らせ、自らプラットフォーマーとして出来ることを追い、その働きかけによって、ビームス デザインのプロデュースが、個々の出店店舗の個性を生かして浮かび上がらせて、最終的には、それぞれの伝統にリスペクトをする。

 僕は日本にはまだ埋もれた可能性があって、それらをそれぞれの持ち味で生かす必要性があると思っているし、それを発揮した時、輝かしい日本の未来があると信じる。手を取り合い、今一度、お互いの価値を重んじながら、前進しようではないか。

 今日はこの辺で。

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