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ガチャガチャ協会 ガチャ に魂を人々に笑顔を

 皆さんは「ガチャガチャ」をやったことがあるだろうか。そんな“ガチャ”を愛する人で形成される組織「日本 ガチャガチャ協会 」が、2021年3月26日、「渋谷ガチャガチャナイト」を開催した。ガチャの発想を支えるクリエイターの他、多くのファンが集まったが、かく言う僕もチケットを買って潜入した次第である(笑)。

“ガチャ”の歴史に学ぶ ガチャガチャナイト

 以前、僕がファンシー雑貨の業界紙でライターをやっていた時、よく取材させてもらったのが、協会で会長を務める小野尾勝彦さん。これまで常にガチャの第一線にいて、何から何まで知っている生き字引みたいな存在。ガチャをやるときには皆、彼に相談しにいくというほど、マーケットの主要人物である。

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 小野尾さんによれば「当初は数社しかなかったメーカー数も今は30社。マーケット規模が400億円」と話して、イベントの席上、その経緯についても語ってくれて、下の写真を見ていただくとわかるが、実はその歴史は古い。

 LOハードマンさんがアメリカでガチャの元となる事業を始めたのが始まりで、ガチャの中身のミニフュギュアを作っていたのが、日本のメーカーである。その後、同氏は日本に来て、重田龍三さん、今野明久さんと共に、1965年から10円でガチャを広めて、1977年には玩具大手バンダイが参入して100円の「ガシャポン」市場を開拓。

 大きな転機となったのは、このバンダイのキン肉マン「キン消し」である。小野尾さんによれば「キン消し」は実に累計1億5000個とも言われる金字塔で、ここでガチャも市民権を得ることになる。その後、1995年くらいから200円ガチャが登場し大人も楽しむ商品群が出始めて、活況に湧く。

コップのふち子さんのブレイク で女性からも支持

 ただ、多くの人にとって記憶に新しいのは「コップのふち子」だろう。2012年7月にキタンクラブと漫画家タナカカツキさんが共同開発したもので、大ブレイク。ここで大きかったのは女性もガチャを身近に感じてもらえるようになったことだ。

 これは僕の個人的意見だが、コップのふちに乗せるというアイデアもまた、ガチャという決められた範囲の中で、楽しめる遊びをと追求した結果、生まれてきたものだと思う。正真正銘、限られた範囲で、クリエイティブを勝負しているわけで、だから、人々にとって斬新であり、これだけのヒットが生まれたのだ、きっと。

 なお、この場にはキタンクラブの主宰である古屋大貴さんも登場。

「この『コップのふち子』は累計2000万個を超え、そこからスピンアウトした「PUTITTO series」も1000万個。OEMもあるので、全て足すと5000万個を超えるヒットになりました」と振り返ると、小野尾さんも「何かのキャラを使って実績を出したのではなく、ガチャガチャを起点に2000万個突破したことが素晴らしい」と讃えた。

 2019年前後もガチャにとって転機であり、数多くのメーカーが産声をあげて、定期的にいろんなアイデアが出てくる土壌ができており、その裾野が広がっている。例えば、ブシロードクリエイティブにより「TAMA-KYU」というブランドも後発ながら思い切った企画で存在感を発揮。ガチャの中に「石」を入れるなど、大胆発想が続く。

皆が「ガチャ」を素材に面白がるようになってきた!?

 この頃になると、ザリガニワークス武笠さんが話していたが、かつてであればNGであったものでも一度トライしてみましょうか、という企業が増えてきたという。それまで、雑貨で「コレジャナイロボ」などを手がけて、新進気鋭ぶりを発揮していた彼らも、その頭脳をガチャにコンスタントに発揮するようになっており、ガチャは感度の高いものへと進化しているように思う。

 おばかと言われそうなことを大真面目にやる。そんな切り口の違う斬新な発想を貪欲に追う姿勢が、僕がガチャを最初に取材していた頃よりさらに進化した気がする。

 なお、イベントにおいては、最後に、ザリガニワークス、現代美術二等兵、乙幡啓子さんらが渋谷を題材にガチャ商品を作ったら、というお題で商品を考える企画もあって、独特な「ガチャ」の世界観が皆を楽しませた。結果的には皆が「ハチ公」を取り上げ、切り口がまでもが皆揃うという奇跡的な展開もあり、最後の最後まで飽きさせない内容であった。終わってみれば「ハチ公ガチャガチャナイト」である。

クリエイターの斬新な発想はこれからもガチャから生まれる

 元々、今回のイベントは、ザリガニワークスの二人がこの小野尾さんにせっかく協会があるのだから、と背中を後押しして、実現したものであったそうだが、会場に来て、その理由が分かったような気がした。

 カプセルという小さな限られた素材の中で、いかにして自分の頭の中にあるものを形にできるか、というクリエイター魂を唆らせる何かがガチャガチャにはあると思うのだ。それゆえ、クリエイターすらも虜にして、またそこで生まれる製品もまた、ユーザーの心に胸打つのである。そして、小野尾さんがガチャを通して実現させたい「世界を笑顔に」にたどり着く。

 思うに、ガチャは、各々のクリエイターが思い思いの発想でぶつけ合う“天下一武道会”のような舞台であって、過去も、今も、これからも、奇想天外なアイデアがカプセルに込められて続けていくのであろう。そして、僕らもまた、そこに魅了され続けていくのである。

 今日はこの辺で。

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