「シルバニアファミリー」 変わらぬ魅力と進化の舞台裏
本来、女児にとって馴染み深いはずの「シルバニアファミリー」。しかし、昨今、大人の女性にも受け入れられている。そう、エポック社の担当者から聞かされて驚いた。実に、誕生したのが1985年で、当時はまだ馴染みの薄かったドールハウスを動物の家族で表現したのが始まりである。息の長いキャラであって、どこで化けるかわからないものだ。新しい商品の傾向に絡めて「シルバニアファミリー」の進化について記事にしてみた。
可愛いものは世代を超えて可愛い
1.大人にも浸透するシルバニアファミリー
昨今、大人にも注目されるに至った理由は、消費者自身が様々な発信する側の立場になったから。女児玩具であった「シルバニアファミリー」は今やSNSでの発信の素材になり、その裾野が広がっていった。本質的には変わらないものの、取り巻く環境と装いが少し変わってきたのである。
商品の発売元のエポック社も、SNSでの発信は試行錯誤を続けている。「そのこだわりは商品開発並み」というほどで、徐々にではあるけど成果は出てきたと話す。そのフォロワー数はInstagramで17.6万人、Twitterで14.5万人。地道だけど、着実に伸ばしてきた。
話を聞いていて、今、女性の間ではスイーツなどのミニチュア素材をSNSに挙げる傾向があるので、それに近しい傾向なのかなと推測できる。
2.今に調和するその世界観
そもそも女児は今も昔も、大人の女性をよく見ていて、実は感度が高く、ポテンシャルはあった。
だから、女児といいながら洗練されていて、この通り。昨年の話で恐縮だが、こちらはパリのパティスリー「ラデュレ」とのコラボレーション。違和感なくマッチしているのがお分かりいただけるだろう。ただ、敢えていうなら、大人の感性を取り込みながら、このブランド自体のその装いがより、感度の高いものへと進化している、というわけである。本当に何が“化ける”かわからない。
いい意味でそれがいいサイクルを作り出し女児の感性も豊かにする。最近では、新しくポニーが登場しており、そのデザインは大人びている。「可愛い」というより「綺麗」なキャラクター像が実に今時である。それも、ポニーちゃんがヘアサロンを経営しているという設定。髪の毛を上手に結ったポニーテールが印象的だが、それをフルに生かすヘアサロンというわけだ。
髪の演出は子供が喜び、その多彩なアレンジは大人の女性を喜ばせる。
3.赤ちゃんがブーム?
この辺は、子供は大人の鏡である、と気付かされる次第だ。最近は何を推しているのですか?と同社に尋ねると、赤ちゃんと答えた。「赤ちゃん?」
思わず、首を傾げると、昨今、SNSなどでドールの赤ちゃんをアップロードしたり、一緒に映るなどして、ブレイクしていることもあって、彼らもしろうさぎ、パンダの赤ちゃんセットを新たに投入しているのだそうだ。
だから、子供向けなどと決して決めつけること勿れ。
本来、女児にとって馴染み深いはずの「シルバニアファミリー」は大人の感性を取り入れながら、幅広い女性にも受け入れられて、需要が拡大している。それはある種、子供向けと決めつけることなく、可愛いものは誰にとっても可愛らしいと、多様性を受け入れる世の中になっていることを示しているのだ。
今日はこの辺で。