ニコニコ超会議2022 規格外の遊び心が大集結
先ほどまで、実に3年ぶりのリアル開催となった「ニコニコ超会議」に潜入した。リアルならではのSerendipityな出会いがそこにはある。コスプレイヤーの元で広がる「写真を撮らせて下さい」。そんな声も懐かしい。そうだ、これがリアルならではの高揚感だったのだ。
ニコニコ超会議 久しぶりのリアル開催
1.ここ数年での技術の進化もここに
ブースも確かに数は減少したイメージがある。だが、リアルとネットを相互に行き来することで価値が生まれるコンテンツは健在。
3年前にはそれほど存在感のなかった「NFT」。そのブースがLINE NFTの後押しで用意されていることに時代の流れを感じる。「超NFTブース」と銘打たれ、QRコードで無料のNFTを手に入れることができる。LINEのアカウントがあれば、誰でも入手可能。まずは自分で所有することから始めようってわけだ。
それと連動して、ニコニコ生放送で、番組も放映。「せきぐちあいみ」さんの話は印象的で、2021年3月からNFTを始めているとのこと。バーチャルリアリティの空間の中を通り抜けていく。そんな彼女の作品は、1300万円だというから新しい可能性を感じずにはいられない。
2.NFTの可能性を熱っぽく語る姿に感銘
そんな彼女と共に、番組内で多くのNFT作品を見ていく。興味深かったのは「Zombie Zoo Keeper(ゾンビ飼育員)」さんの作品。手がけた作者は9歳である。iPadを使って自由にイラストを描き、NFT化させて販売したもの。目に映るもの全てをゾンビにしていく。図鑑を見て描きたいものを決めたら、パッと見てそのあとは想像しながら描く。天才肌で、軽く数万円単位で売られている。
3.アートの正解は一つではない
「子供の下手くそなドット絵だと思う人がいるかもしれない。けれど、味のある自由な曲線とかを大人が描こうとしたら、決して描けるものでは無い」とせきぐちさん。なるほどなあ。わかる人にはわかるのだろう。
NFTそのものよりも注目すべきは、そこで売り買いが生まれる環境である。価値があると認識した人がすぐに価値あると思って、行動を起こせる世の中だから、それで救われるアーティストがいる。だから、皆、そこで発信して、考えもしなかったような才能に光が当たる。
NFTはまさに、クリエイティブの民主化である。それを「ニコニコ超会議」を通して伝えることの意義は大きい。我こそは!そう思う人がいていいじゃないかってわけだ。
企業やコンテンツの価値を新しく見出す
1.JRAの要素を取り入れた遊び心のあるゲーム
会場内を見渡せば、一言で言うとカオス。融合することの楽しさである。だから、「え?」と思うような企業がちらほら存在するのがこのイベントならではだ。
例えば、「超JRA ニコニコ賞(春)」では、競馬場を彷彿とさせる「ターフビジョン」を模した巨大なモニターを用意。参加者が馬さながらにゲートからポンと頭から飛び出してもらうゲームを実施。それをそのビジョンで捉えて、皆で楽しむのである。競馬の楽しみを違った角度で堪能する体験型のゲームだ。
2.素材の魅力を伝える三井化学
かとおもえば、大真面目に、こういう場にはいないような会社もいたりする。三井化学という会社。
皆、白衣を着て何をしている会社なのだろう。一言で言えば、素材の会社。例えば、iPhoneの写真を撮るためのレンズをこの会社は作っている。ええ?凄いじゃないですか!僕らがあまり耳にすることのないその会社が、身の回りの多くの商品で関わっているんだ。
「iPhoneのレンズ以外にはどんな物を手がけているのですか?」そう尋ねると紹介されたのが、人間の模型。
え?「病院では手術をしますよね?でも、心臓や眼の手術って、ぶっつけ本番でやるわけにはいかないですよね(笑)。だから学校では豚の臓器などで練習したりするのです。でも、それだと微妙に違う。それでは練習にならないと、リアルな触感にこだわって、プラスチックで作ったのです」と。
真面目な顔して、結構なアブノーマルなことを語り始める。笑。
3.意外なところで活躍するプラスチック
実はプラスチックは医療分野でも活躍している。触感や質感研究を彼らが行い、それでプラスチックを応用していく。それを眼球、心臓、フルデンチャー(歯)などに取り入れて、リアルを追求。かくして、プラスチックは命を救っている。そう言って、彼らは胸を張るのである。拍手。
会社云々は抜きに、裏方である素材にも目を向けてもらおう。そう考えて「MOL」というラボを作って、リアルなイベントなどでその価値を訴求しているのである。
サプライズがあります。関係者から言われ駆けつけた「超information」付近。待っていると、そのモニターにはこの人。なるほど。
岸田文雄内閣総理大臣。総理は新型コロナウイルス感染症に絡んで、ワクチン接種の理解を求めた。そういえば、以前のリアル開催時には色々な政治政党も出していたなあ。今回はコロナ禍に配慮して出ていないけど、政治家が出てくるのも、今や風物詩である。今年もその期待に応える。
もとの素材を楽しくアレンジ
1.伝統芸能「歌舞伎」と「初音ミク」の遭遇
「超歌舞伎」は、今回も期待を裏切らない内容。タイトルを「永遠花誉攻」という。偶然ながら僕自身が普段から「ニコニコ動画」のプレミアム会員で、会場内の2階席からそれを見ることができた。
初音ミクというと、ボーカロイドを通して、歌に新たな価値をもたらし、多くの人のポテンシャルを引き出した張本人。だけど、それが歌舞伎でもその本来の価値を決して崩すことはない。全く新しいエンターテイメントに昇華して、彼女自身も進化している。素晴らしい。
2.抑えるところはしっかり抑えた脚本
やっぱり脚本の力に唸った。多くは書かないが、初音ミクの魅力は何かを考えると、「存在しないのに、皆の心の中にいる」ことなのだ。そんな要素を上手に歌舞伎の物語の中に落とし込む。そして、古風に気品がある形がその美しさを際立たせる。
劇中曲もcosMo@暴走Pの「初音ミクの消失」。かつ、シンプルでわかりやすいストーリーのなかに、古き良さと新しき良さが織り混ざって、舞台上の歌舞伎では自然に調和。こりゃ、引き込まれるわけだ。
これがまた演者の一人一人の演技が心に染み入る要因となる。それが不思議と歌舞伎そのものへの関心を深める形になっていて、互いに通い合う愛こそ「超歌舞伎」の価値だと思う。
3.ニコニコのフィルターを通した世界が面白い
あ、そうそう。最後になったけど、冒頭の写真は「超SSCシェアハピラジオ」というブースに立ち寄る際に、ポーズを決めてくれた女子で「アイオケ」というユニット。会いにいけるオーケストラ、らしい。へぇと思ってカメラを向けたら、、というわけ。
このサービス精神こそ、このニコ超の真骨頂だよな。そう思ってトップの画面にした。Serendipityなリアルの人との遭遇で、人々の気持ちが弾む。
で、この方は杏里唯さんと言う。(←追記:お恥ずかしい話、記事作成後、Twitterでファンの方から教えてもらった。名前を添えて書いてバンドを讃えたかったので、「アイオケ」ファンの方々にはこの場を借りて感謝)
改めて、物事をただ正面から見えるように見ているだけでは、面白くない。ニコニコ動画というフィルターを通して見ると、違って見える。先ほどのJRAの競馬然りだが、競馬単体の面白さからどう派生させるかのサービス精神。それが人を幸せにして、その企業、そのコンテンツの裾野を広げていく。
遊び心とサービス精神は人々の幸せにとって不可欠。それは個性の最大化にある。心を通わせ、超楽しんでしまおう。来年はコロナの影響も減少して、もっと違う企業の違った姿を見てみたい。
今日はこの辺で。