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NFT でコンテンツの未来は変貌するのか

 経済活動の拠点がリアルからデジタルに移りつつある。コンテンツ事情に詳しい、マインドワークス・エンタテインメント 代表取締役 近藤健祐さんがそう語る。特に、NFTやメタバースの浸透は、それを後押しするだろう。コンテンツを取り扱う専門家として、デジタルとの関係性と可能性について、彼なりの意見を聞いてみたのである。

コンテンツ にもたらす影響

1.NFTとは?

 NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)」の略。例えば、アートや音楽でもなんでもいい。唯一無二のデジタル上での資産があるとして、それに固有の価値を持たせるものである。

 そこには、ブロックチェーン技術を活用して、その価値は代替え不可なものにする。だからそれ自体に値段をつけることも可能。例えば、世界で一つしかないリアル絵画のようなもの。それが、デジタル上にも唯一無二のものとして、存在するということである。

 もう少し詳しくいうなら、こんな感じ。Twitterの創業者であるジャック・ドーシーさんは、彼自身が初めてTwitterで投稿した内容をNFT化して販売した。実際、オークションサイトValuableで291万5835ドル(約3億1640万円)で落札された。それはこの投稿がNFT化されることで唯一無二になったから、リアルの絵と同様に価値を持って対価が支払われるわけである。

2.デジタル上のものが固有の資産に

 こうやってデジタル上に存在する固有の資産が価値になること自体が新しい動きである。

 富裕層がこのマーケットに可能性を感じている理由は、何か。つまり、今買ったそのデジタルの価値が数年後、今より高く売れる可能性を秘めているから。それこそ、有名画家の絵画と発想的には同じである。

 投資家たちが本腰を入れ始めていること自体、もう経済の拠点はリアルだけではなくなっている。冒頭話した通り、経済活動がリアルではなく、デジタルにも移ってきている。その事実がわかるわけである。

デジタル上にも生活拠点が生まれる?

1.メタバースとは?

 時を同じくしてFacebook社がメタ社へと社名を改め、メタバースの企業へと変容しようとしている。これも経済の拠点がデジタルへと変わる予兆である。リアルと変わらぬ生活をデジタルで再現する。そういう世界で、マイクロソフトなども「Minecraft」というソフトで、それを具現化しようとしている。

 メタバースを表す概念として、我々が一番、イメージしやすいのは、任天堂の「どうぶつの森」だろう。その中で皆が生活をして、そこで消費をするなどして、人生を送る。

 そこで、近藤さんが口にしたのは、仮想通貨が新たな経済圏を生むということ。なぜなら、デジタルの中で生活し、デジタルの中で価値を見つけて、その中でお金を支払う。そこでは仮想通貨が流通するわけだ。

2.メタバースとNFTをセットで考える

 つまり、デジタル上で生活すればそこでの表現としてデジタル上の資産「NFT」も、消費行動の対象となる。だから、デジタルで生活する中での消費行動の着地点がNFTだと考えれば、セットで考えるべきなのだ。

 例えば、NFTで購入したものが、その自分のデジタル上の家で飾られている。それが自分の付加価値を高めるとしたら、買うだろう。また、先ほどの話に直結するけど、購入したものがもっと高値で売れるとその本人が思えば、売りに出す、ということもありえる。

 生活の拠点がデジタルである確率が高くなるほど、デジタル上の資産の価値は上がりやすくなる。簡単なところで言えば、アバターなどを売り出すのも、そこに近い。人の承認欲求を刺激して、デジタル上での自分の付加価値を上げる要素になるからだ。

関連記事:BEAMS メタバースの戦略に想う 仮想空間でありつつリアルに近い本質的世界である理由

3.キャラクターコンテンツも変わらざるを得ない

 だから、近藤さんも、従来の売り方に危機感を感じるわけだ。

 それを、キャラクターライセンスに関わる仕事に置き換えるとどうなるかと。少なからず、近い将来、キャラクターなどのコンテンツに関しても、そういうデジタル上で価値がつくということがありえる。

 例えば、今までキャラクター関連の消費に3万円を費やしていたとする。そのうち、リアルに費やすのは極めて限られたキャラクターのみになっていく。そのようなこともありえると。

 だから、そこでのマネタイズの動きも含めて、ライセンスに携わる人間は、そこを理解していないと時代についていけない。逆に言えばそこを抑えてこそ、作家の価値を伸ばせる。自分達もまた、それを知らずにいたら、その存在意義を失いかねないと語るわけである。

 だから、価値の本質は変わらないけど、その価値の「流通」場所が変化しているということを踏まえて、どんな仕掛けをしていくか。これからのライセンスビジネスはそこまで配慮しない解けないのかもしれない。もう「どうぶつの森」でみなさんが遊んでいるように、時代は刻々と変わってきている。だから、遠い話ではない。経済活動の拠点にデジタルの存在感が増してくる日を見越して、あなたは何をするだろうか。

 今日はこの辺で。

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