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HARIKEN 海外に活路を見出した キャラクター 愛

 「うわー久しぶりですね!」針生謙一さん通称「 HARIKEN 」さんはそうやって人懐っこい笑顔を見せて、語りかけてくれた。彼とは10年以上の付き合いで、とはいえ最近会う機会もなかった。けれど、SNSなどで多くのファンに囲まれながら、サインを書いたりするその姿で、その活躍ぶりは知っていた。自ら手がけた キャラクター を胸に自分にしかできない活動をしていたのだ。

活動拠点は海外へ

 大活躍じゃないですか!とそう話すと、「いやいや、まだまだですよ。最近は活動拠点を日本から海外に移していて、それが今のメインになりつつあります」ととびっきりの笑顔で答えてくれた。

 「海外拠点ですか?」言われてみれば、あのサインを求めるファンたちは確かに、海外の人であったと思い出した。ただ、それも元を辿ればHARIKENさん自らがメーカーに持ち込んでは営業を行い、企画提案をして採用待ちを繰り返す日々もあった。だがある時、そういう売り込みを一切やめたことで、彼の活動拠点として、海外が舞い込んできたのだ。

工場のやりとりも自分で

 ある程度、ものづくりの知見を備えていた彼は商品を自ら手がけつつ、工場とのやり取りも行った。それまでやっていたように、メーカーに任せるのではなく、自分で直接やりとりして製造販売しようという発想に辿り着いたわけだ。そこでの拠点でふと思いついたのが海外であったのだ。

 自らがそうやってメーカーに近い立場となって、その商品を持って、世界中の展示会などに申し込む。そして、現地でファンと交流を図りながら販売を行うわけだ。すると、そこでの認知は広がり、彼に関心を示す海外のアーティストも出てきた。それがきっかけで、アーティスト同士の横の繋がりができ、新しい活動拠点を手に入れ、これまでとは違った展望が開けたのである。

メーカーとなって自ら販売する

 「アイアムハリケン、、、と片言の英語ですけどね」と照れながら、話していたが、そうやって自らが商品を紹介するうちその熱意はしっかり伝わり、彼の人間性もあってファンに恵まれた。彼自身言っている通り「海外のそれらの拠点が居心地の良い場所となって伸び伸びとキャラクターをアピールできるようになった」と振り返る。

 ちなみに、HARIKENさんのブランドの特徴は緑を基調にしており、展示会では緑一色。彼自身も緑色の服に身を包み、髪も緑色にしていて、一度会えば忘れない。実は、このグリーンは「青二才」という意味。まだまだ青二才の自分や自ら手がけるキャラクター達だけど、世界を笑顔にするために自分らしく前へ出る、という想いがある。どことなく、垢抜けていないけど愛嬌たっぷりに自分を打ち出すキャラクター設定はそういうところから生まれているのだ。

キャラを生かすために何をすべきか

 HARIKENさんの素晴らしさはオーソドックスな手段にとらわれなかったことが大きい。「自ら描くキャラクターに光を当てる」という事を軸に据えて、では自分は何をすべきか。そこを彼は常に模索していて目的が明確だから、試行錯誤を繰り返しながらもその行動は、確固たる自分の居場所を引き寄せた。

 かつてやっていた営業をして、企画提案していくのも一つの手段で間違いではない。けれど、キャラクター業界でも有名キャラを取り入れ、費用対効果を考える当たり前の風潮もなくはない中で、チャレンジングな新進気鋭のキャラクターは小さなパイの取り合いになる部分もなくはなかったろう。

 彼は敢えてその中に固執する事なく自分にとって良い方法があるのではないかと決断して、見出した今の活路なのだと思う。

 今はコロナ禍で幸いにして日本での認知を高めるための機会と受け止め、今日もまた、集まる人と色んな話をしていた。でも、キャラクターを販売しようとするよりも、まずは人としてHARIKENさんがファンと繋がって、そこから商品を買って貰えばいい、という思いを僕は横目で見ながら感じた次第だ。

 多様化の時代であるが、人それぞれに活路はある。ブレない軸とそれに伴う行動により生まれるものである。

今日はこの辺で。

関連記事:自分の“ソフビ人形 ”が他とは違うと言える理由 ハリケンが語る 2025年のクリエイター論

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