1. HOME
  2. News
  3. キャラ談(IP)
  4. クリエイタービジネス
  5. デザイナー・作家
  6. トーフ親子 25周年 長寿の秘訣 キタイシンイチロウ氏 直撃

トーフ親子 25周年 長寿の秘訣 キタイシンイチロウ氏 直撃

to-fuoyako

「キャラクターは絵柄じゃない。生き物のようにして命を吹き込むことで、ずっと人の心に残ると思います」。親愛なるクリエイター、キタイシンイチロウ さん(DEVILROBOTS)の言葉。彼が手掛けた「トーフ親子」は言葉通り、今年で 25周年 、つまり四半世紀生きた事になる。何がそこまで長きにわたり愛される土壌を作ってきたのか。その舞台裏に迫った。

今や DEVILROBOTS の代表作トーフ親子

 DEVILROBOTSはグラフィック、キャラクター、イラスト、映像、WEB、音楽、グッズのクリエイティブを行う。これまでもDisney、NHK、Sanrio、ガチャピン&ムック、タツノコプロ、円谷プロ等のリデザイン、ミュージシャンやアパレルブランドとのコラボも手がけ、実績は豊富。キタイシンイチロウさんは、その DEVILROBOTS の代表である。

 一方、「 トーフ親子 」はトーフの妖精。こけるとペチャとくずれる。だから、ドキドキの困り顔をしている。お祝いするときは「OMEDETO-FU(おめでトーフ!)」。御礼を言う時は「ARIGATO-FU(ありがトーフ!)」。礼儀正しく、和の精神を持ち合わせるキャラクターだ。

 それが今年25周年を迎えた。キタイさんの人生の一部と言って良い。どうしてここまで続けられたのか。

大人にも受け入れられるキャラがあるべき

トーフ親子25周年

 僕が出会ったのは、15年前、社会人になりたてて初々しい時代のことだ。放っておけない、哀愁漂い、ぺちゃ!とくずれてしまう、ブラックユーモアもある。そんな雰囲気は僕の目に止まったのだ。

 「キャラクターは、子供向け」。そんなイメージはキャラクター業界にはなくはない。しかし僕は思っていたのだ。「買うのは子供ばかりではない」と。大人にも受け入れられるキャラクターがあって然るべきだ。それで「トーフ親子」に光を当てた。大人にこそ分かる“センス”。それについて、主張していたのが懐かしい。

 キタイさんはこう述べる。「ここ10年くらいでキャラクターの印象はまるで変わりました。大人の人たちが当たり前に、グッズを買うようになりました。今、『トーフ親子』を支えてくれているのは、大人も含めた幅広い層のファンの方たちです」。確かに世の中は変わったのだ。

トーフ親子 25周年 キタイシンイチロウ さんの最近

トーフ親子の25周年

 『トーフ親子』が今、拠点としているのは海外。毎年、香港、台湾、タイ、シンガポールなど。世界を駆け巡り、トイ・イベントなどでフュギュアを販売。サインを書いて、世界のファンとコミュニケーションを取っている。ここ10年くらいは香港のエージェントが積極的に動いてくれていて、世界中のファンとの橋渡しをしてくれている。

 ひとたび、彼がトイ・イベントに参加するといえば、ファンが集まる。それらのファンは熱意を持って、その魅力をまわりの人たちに伝播してくれる。自然発生的に広がっているのが特徴だ。

ただ可愛いだけではなく、スパイスの効いたコンセプト

 とはいえ、海外に受け入れられる、というのは並大抵のことではない。

 「今思えば、食べ物の豆腐がモチーフになっているのが大きかったです。ヨーロッパやアジアなどで「豆腐」はヘルシーフードとして浸透している。だから、世界的に見ても身近なもの。だからこそ、このキャラの意図するイメージが伝わりやすかった」。そうキタイさんの話を聞いて納得。コンセプトの勝利である。

 キタイさんは、そうやって『トーフ親子』を、いつしか「おもちゃ」という枠組みを超えた。「デザイナーズトイ」という洗練された“大人のコレクターズアイテム”へと進化させていたのである。これぞ、僕も、本来、キャラクターのあるべき姿だと思う。

トーフ親子 の 25周年 は人とチャンスの積み重ね

MY FIRSTO-FU

 今、メインで活動している海外においても、最初の頃オファーを受けたのは、デザイン雑誌での漫画連載であった。「漫画を描くわけですから、自然とトーフ親子の世界が増えて行きますよね」。そう語り、まわりの人たちの後押しによって、トーフ親子が広がっていく実感を得たという。

 そして「ファンの方は、ずっとファンでいてくれる。だから、僕らも海外で開催されるトイ・イベントの度に新たなデザイン、フィギュアを作っていく。その過程では、どうアイデアを盛り込んで、ファンを喜ばせるようかと知恵を振り絞ります。そのおかげで僕らは前進できている。まわりの人が育ててくれているという実感もあります」とも。

 そして、「いろんな人と出会い、いただいたチャンスに対して、自分のアイデアとか、膨らませていくじゃないですか。そうやって、世界観を広げていったんです」と語り、その言葉はとても深くて強い。

 もとは、大御所イラストレーターの「スージー甘金」さんの企画展に絡んで、キャラクターコンテストが開かれ、応募したのが始まりだ。『トーフ親子』はそれでグランプリに選ばれた。その後、スージー甘金さんの事務所に行った時に彼は『トーフ親子』を覚えてくれていた。「面白いキャラなので、長く展開していった方がいい」。そう背中を後押しされて、それが25年である。人生とは本当にわからないものだ。

21世紀のクリエイター達へ

 丹精込めて『トーフ親子』を立派に“成人”させた彼は、未来のクリエイターにこう言葉を投げかける。「キャラクターは人々に“happy”をもたらすものでなければならない」と。

 トーフ親子も最初は困った顔なので口元が「へ」の字だった。でも、ファン層が子供や女の子に広がる過程で、時折、笑みを浮かべるようになったという。ファンに迎合するわけではない。彼がその必要性を感じて、優しい風貌に変化させた。“happy”を追う中での気づきなのではないか、と思う。

 月並みな言い方だが、キタイシンイチロウさんとファンの中には相通じる、共感がある。だから、ファンは次を期待する。ファンは彼を育て、彼はファンを育てるわけだ。相思相愛は、これからもずっと続いていくだろう。

 キタイシンイチロウさんが、生き物のように命を吹き込んだ「トーフ親子」はファンの人々のハートの中で素敵に、happyに、魂を宿して、生き続けている。

今日はこの辺で。

関連記事

145が自らの考えを大事に、わかりやすく想いを持ってビジネスの本質に迫るメディアです。主に小売業、ものづくりとキャラクターライセンスを追っています。
詳しくはこちら

#渋谷 【license】ウォルト・ディズニー 【license】サンリオ 【license】作家プロデュース 【license】漫画・アニメ・映画 【Product】アクセ・ジュエリー 【Product】アパレル 【Product】インテリア 【Product】コスメ・健康 【Product】スイーツ 【Product】ホーム・台所 【Product】文具 【Product】玩具・ガチャ 【Product】雑貨・小物 【Product】食品 【Product】飲料・酒 【Retail】CRM 【Retail】D2C 【Retail】OEM 【Retail】OMO 【Retail】ふるさと納税 【Retail】オンラインショッピングモール 【Retail】コンサルタント 【Retail】コールセンター 【Retail】サイト制作 【Retail】チャット 【Retail】フードテック 【Retail】マーケティングオートメーション(MA)・メール配信 【Retail】マーチャンダイジング(MD) 【Retail】リユース・フリマ 【Retail】レンタル 【Retail】受注管理 【Retail】広告・販売促進 【Retail】接客 【Retail】決済代行 【Retail】物流・バックヤード 【Retail】自社EC/ASPカート 【Retail】自社EC/フルスクラッチ 【Retail】越境EC カルチャー/新進気鋭デザイナー コンテンツ/スポーツブランド コンテンツ/歌手・タレント デジタル/AI デジタル/CX デジタル/IOT デジタル/NFT デジタル/Web3 デジタル/アプリ デジタル/フィンテック デジタル/製造業テック デジタル・トレンド トレンド/SDGs トレンド/ミュージック トレンド/ランキング トレンド/美術展 トレンド/調査・データ ファンシー/Curious George ブランド/コンテンツ モール/Amazon モール/au PAY マーケット モール/Yahoo!ショッピング モール/楽天ファッション モール/楽天市場 ユニクロ/ブランド リテール・トレンド 小売店/ウォルマート 接客/やずや 接客/ライブコマース 接客・販促/Instagram 接客・販促/LINE 接客・販促/TikTok 接客・販促/YouTube 業態/SPA 業態/コンビニ 業態/スーパーマーケット 業態/卸売 業態/専門店 業態/百貨店・商業施設 業態/飲食店 物流・バックヤード/日本郵便 玩具/バンダイ 経営・マネージメント(事業と事象) 自社EC/BASE 自社EC/GMOクラウドEC 自社EC/Shopify 自社EC/カラーミーショップ 自社EC/フューチャーショップ 自社EC/メイクショップ 解説/1推し(イチオシ) 解説/ものづくりのセオリー 解説/アーティストの感性に触れる 解説/ハロートークショー 解説/ヒーローインタビュー 解説/ボーダーレス 僕らは空間と時間をクリエイトする 解説/初心者の方、どーぞ 解説/奥深きキャラクターの背景 解説/店の声-舞台裏での奮闘記 解説/潜入イベントレポ 解説/社長の真意 解説/賢くなろう-商売の教科書

最近の記事