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キャラクター作りの本質─初心者から学べる、世界観とビジネス設計の教科書

 キャラクターとは、ただ絵を描くだけでは生まれない。 世界観を持ち、人の心に寄り添い、共感を呼び起こす存在だ。 この読み物では、キャラクターを生きた存在にするための「本質的な思考法」を、教科書のようにわかりやすくひもといていく。


目次

  • 1.キャラクター作りの出発点~個別表現から商品へ
  • 2.ライセンスビジネスの基本構造~ライセンサーとライセンシー
  • 3.4つの「バース」でキャラクター戦略を立てる
  • 4.世界観を生むために必要なこと~共感、体験、ストーリー
  • 5.変わるものと変わらないもの~キャラクターに込める哲学

1. キャラクター作りの出発点~個別表現から商品へ

 ほとんどの人が初めに陥るのは、自分の「個別表現」で満足してしまうことだ。 絵を描くこと自体は素晴らしいが、商品化に至らなければ世界に派遣することはできない。

「人が欲しい」と思う、「手に取りたくなる」。 そのレベルまで到達して初めて、キャラクターは「生きた存在」になる。

 キャラクターを生かす、その計画性が出発点になる。

2. ライセンスビジネスの基本構造~ライセンサーとライセンシー

 キャラクタービジネスは、「ライセンサー(権利を持つ側)」と「ライセンシー(権利を使う側)」の二者で構成される。

 自分の作ったキャラクターを、他者に使わせるためには、権利を明確にし、計画的に運用することが必要だ。

 ただ創り出すだけでは、ブランドを保護することも、世界観を残すこともできない。 事前に計画し、ビジュアル化を意識したプロデュースを行うことが、必ず最初のプロセスになる。

3. 4つの「バース」でキャラクター戦略を立てる

 僕の編み出した用語で申し訳ないが、キャラクターは、大きく分けて次の4つのカテゴリーに分類できる:

  • ストーリーバース:映画、アニメ、漫画など。例:機動戦士ガンダム
  • Zakkaバース:ギフト用品や日常品から人気を得る。例:ハローキティ
  • バズバース:SNSで拡散され、急速にブレイク。例:あさみみちゃん
  • ゲームバース:ゲーム内で自分が操作し、関与を持つ。例:スーパーマリオ

 どのカテゴリーにフィットさせるかによって、計画も言語化も変わる。

4. 世界観を生むために必要なこと~共感、体験、ストーリー

 キャラクターが生きるのは、「可愛さ」だけではない。 その背後に、人の心に寄り添う「共感」や「体験」があるかどうかで決まる。

 その点、僕は、先ほどのカテゴリー分けをしておくことで、その理解をしやすくしたまでだ。

 例えば、ストーリーバースはアニメや漫画など、ストーリーに魅せられて、ファンが生まれる。だからその物語性が売りになって、商品が売れていく。逆に言えば、これらは映画やアニメの新作が出るたびにブレイクする反面、それ以外の時はやや売り上げも低調になりがち。

参考:鎖国を破ったのは“黒船”Netflixだった──世界へ羽ばたく日本アニメ、その現在地と未来図

 また、Zakkaバースは、雑貨についていることで、価値が生まれる。そもそも、サンリオが「ギフト」を通じて人と人を繋い、ストーリーを持たせたように。彼らは直営店を持ち、その拠点を作ることでその場所を作り、またその接点を大事に、「いちご新聞」を発行した。

参考:サンリオ “先駆け”60年の歴史 かわいいの功績

 Buzzバースは言うまでもなく、SNSなどを起点にブレイクするもの。例えば、XやInstagramで4コマ漫画を描き続けることで、結果、ストーリーバースの様な要素を得て、ファンとなる場合がある。

参考:「ありがとう」が生まれるキャラクター〜『ファントムベイビー』が描く、猫と人とのあたたかい物語〜

 あるいは、あさみみちゃんは、TikTokという動画の上で感情を抱きしめた。

参考:あさみみちゃんを応援したいのには理由がある TikTokで成功を掴むアダビトの話

5. 変わるものと変わらないもの~キャラクターに込める哲学

 つまり、「なぜ、そのキャラクターがそこにいるのか」を、自分で説明できるようにならねばならない。

 特に、時代を象徴するのは、4個目のゲームバース。ゲームをすることで愛着が湧く?そんな単純な話ではない。見るべきはそこではなく、そのプレイヤーは自分自身だということ。スーパーマリオにしてもそうだけど、マリオをプレイしているのは自分自身である。

 つまり、プレイするから思い入れが深くなる。それも、Nintendo Switchに限った話ではないということに気づけるだろうか。例えば、ピクミンという人気ゲームがある。けれど、そこから派生して、Pikumin Bloomなんてアプリがある。

 歩いた距離で、ピクミンが育つ。つまり、本質的には自分が主役で感情移入しやすい。

 カテゴリーごとにそれぞれその切り口の強みを活かす【シーン】があって、ここに生身の人間との相性が生まれるということなのである。ここに共感が生まれるのだ。

 それを踏まえた上でどうしようということになる。けれど、肩に力を入れる必要はない。確かに、時代は変わる。しかし、人の根深い感情(恋、喜び、悲しみ)は変わらないのだ。

 これを理解し、キャラクターの設計に込むことが必要だ。

 例えば、知る人ぞ知る(笑)僕がディレクションした「ラブサイン」もそう。僕はそのコンテンツに恋という普遍を持ち込んだ。ここと時代との折り合い次第では本当にブレイクする。

 SNS時代に最適化しながら、本質を失わなかった「スケータージョン」の例もそうだ。

参考:“キャラクター×NFT”で自分の道を切り拓く──「スケータージョン」作者・しばちゃんの飛躍の理由

おわりに

 いくら時代に合わせたとしても、本質を失わない。これが、本当に人の心に残るキャラクターを生み出す、最大の秘訣である。僕はそう考えていて、勿論、失敗もあるけど、それを肝に銘じてやり続ければ、ヒットに巡り会えるに違いない。

 キャラクターを作るということは、単に絵を生むことではない。 世界観を作り、人と人を繋ぐ、一緒に次の未来をそのキャラクターと見つめることなのである。

 何度も言う。

「可愛い」だけでは不十分。

 何が人の心を捧え、動かすのか。 そこまで思考を適用させ、初めて、本当の意味で「キャラクターを作る」と言える。今、ここに読んでくれた人が、その一歩を踏み出してくれることを心から願って。

 今日はこの辺で。

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