SDGs の時代で商材の見直す 必要性 三木谷氏の考え Rakuten conference 2022
店舗を前に、そう話すこの人はやっぱり今年も「先導役」であった。楽天グループ代表取締役社長兼会長 三木谷浩史 さんでの話である。彼は、この日「 楽天 新春カンファレンス 」で店舗に向かって、その未来展望を語りつつ、まずはSDGsの話題から始めて店舗に発破をかけた。
楽天 新春カンファレンス 三木谷浩史 さん の真意
1.大局的に捉え必要なこと
店舗は売上を上げるプロ。一方で、そのプラットフォームを提供する楽天市場は、各々の店舗に照らし合わせて、どう売上を上げるかのヒントを提示する。そのヒントの中には未来への提言も含まれる。
彼の言葉に込められた意図はSDGs、サスティナブルに相当する意味合いだ。昨今、Z世代の間などでは、意識が高い。
人々の価値観が変容していることを示すのは、店舗にその売り方を変えなければいけないことを提示するためだ。これから、店舗さんが共通して意識すべきこと。そう三木谷さんは強調する。
2.皆にとって関係があるサスティナブル
彼自身も率先して取り組んでいる。実は、環境、社会などに配慮した持続可能的な商品に特化して「EARTH MALL with Rakuten」というサイトを立ち上げた。既に12.7万点を掲載。
実際、それに対する数字も示して、この中での流通総額は、前年同期比290%増、サイトアクセス数も約4.5倍に相当していることで、その高まる必要性を示したのである。
正直、SDGsと言われてピンとこない人も多いだろう。
寧ろそういう時に備えておくべきでもある。この講演中、彼自身も触れていたけど、「モバイルでの利用が7割を超える時代が来る」。そう言った時も、2007年くらいで、当時は多くの店舗がポカーンとしていた。
だから、この提言も未来への先導役として、何年か先、当たり前の世界を意味しているのかもしれない。
未来に対して投資 これまでもこれからも
1.モバイル時代にも楽天は備えてきた
店舗の方々は言うなれば、売上のプロ。
ただ、流石に俯瞰して世の中がどう動いているかまでは追いきれない。だから、三木谷さんの話などを参考にしている。大局的な動きを咀嚼して理解し、自らの成長へと繋げてきたのも事実だ。今年は、何をしようか。その答えとヒントを得るための「新春カンファレンス」なのである。
当然、今店舗が関心を寄せるところで言えば、積極的に投資をしている「楽天モバイル」。そしてそれが「楽天市場」とどれだけ親和性をもっているのかである。
この点、彼は、まず楽天モバイル経由で「楽天市場」の新規ユーザーが増加していることを示した。契約者中の新規ユーザー割合は19.5%にも伸びている、と。
また、「楽天モバイル」ユーザー一人における年間流通総額も、モバイル契約の前後で74%も増えている。結果的に、モバイルは生活に密接に結びつくインフラ部分。
継続的な利用を伴う部分であるから、毎月、使うほど、固定でポイントが発生しやすい。結果、モバイル利用者ほど、楽天に寄せてポイントが貯まりやすくする傾向が強くなる。それゆえ、楽天市場でその結果が出やすいことがよくうなづける。
2.モバイルユーザーの伸びが経済圏を磐石に
そもそもの「楽天モバイル」の利用者はどうか。それについては、今や経済圏の土台となっている楽天カードの顧客獲得スピードが3倍以上だと強調する。利用者増となるほど、上記に示したメカニズムが機能する。
確かに、モールが持つフェーズが変わっているのだろう。単純に「楽天市場」だけを売り込むのではなく、経済圏を武器に集客していくわけである。互いの親和性をより高くしていく。その上で、購入をポイントで力強く後押しして、それらを相互に活性化に導く。
それは楽天グループという企業価値を高めると同時に、それぞれにとっての顧客の呼び水となる。勿論、その中で最も力が発揮されるのが、「楽天市場」だと。
3.スマホと決済がリアルとネットを近づけた
加えて、彼はペイメントにも言及。そのサービスを拡充させて、オフラインからの恩恵を楽天市場にもたらすとした。実際に楽天ポイントの利用額は発行している額の1.6倍まで超過している。だから、新たなジャンルからの流入も今まで以上に促していて、そこに自信を示すわけである。
もはや楽天市場の話は競合も増え、楽天市場単体ではどうにかなるものではない。
それを見越して、先導役を務めながら、自らの投資をしてきたことの価値を示すわけだ。継続的な利用を促しポイントを蓄積しやすい「モバイル」は確かにそう。加えて「ペイメント」の活用によるオンラインからの流入による相乗効果。そこには、銀行などのフィンテック系の要素も取り込む。そうやって流通総額を上げていくと、それらが更に活性化していく。先駆け投資をしてきたからこその楽天市場への「集客」なのである。
それは「楽天市場」の集客のあり方が根本的に創業時とは違っている。
一点言うなら、モバイルの投資が莫大なものであるがゆえ、その投資が会社全体に与える影響がどれだけのものかの具体的詳細を明らかにしてほしい。どれだけの価値をもたらすものなのかの指摘は詳しく説明する余地があ理想に思える。
以前に増してオンラインでの売上に自信
1.国内EC流通総額10兆円
結果的には、投資の甲斐あっての2021年の国内EC流通総額(取扱高)が二ケタ成長。遂には、流通総額の年間5兆円を達成。
近い将来、年間10兆円を達成してみせると約束したのである。以前よりもオンラインでの売上に自信を見せる部分が心なしか強くなった気がする。背景には「楽天ファッション」の好調さと「楽天西友ネットスーパー」の顕著な伸びがありそうだ。
つまり、この二つで言えば、リアルとの親和性も高い。だから、ネット単体から生み出されるわけではない従来とは違う収入源である。
そこを軸に、リアルネットを行き来して、生産性を高めるわけだ。あとは、必要に応じてネットに呼び込む。結果、またポイントを発生させることになって、「楽天市場」に還元していく。そうすれば、ネットでの購入を触発できそうで、循環するその構造に対して、以前にもより「兆し」が見えてきたからなのかもしれない。
2.EC化率上昇を担う楽天のシナジー
最後に「日本のEC化率は現在8%前後である。だが、これが20%前後まで伸びること」を示唆した。そこに貢献するのが「今や色々な生活インフラになっている楽天」とも強気に言った。
Amazonとは少し形は違えど、経済圏をフックに、最強の会員組織を作っていく。Amazonのようにサブスクリプションではなく、経済圏内のポイント活用で、継続的な利用を促すことで、そこに匹敵すると。
その会員があるから、Amazonのように、イノベーションを起こしていける。会員の絶対数が増えるほど、結果、世の中が変わるということになって先ほどの三木谷さんの発言につながる。
3.では店はその中で何をするか
楽天市場という土壌を活用すれば大丈夫だといい、そこを踏まえて冒頭の言葉である。店も時代に合わせて、“売り方”を変えていくべきだと。
だとすれば、今は「サスティナブル」。お客様にとって商品を買う時に、必ずや関心を持っていく要素にここが関わってくると。一見、取り組みにくいテーマでありそうだが、今のうちからやっておくべきだと。
確かに、最近、店舗同士のアドバイザリーパネルの会合の内容を見ると、その議論もなされているようだ。店舗同士でその勉強会などを楽天と一体で実施されていくことが既に話されている。
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「楽天市場の商品全てが、サスティナブルになるくらいの世の中ではないといけない」。その三木谷さんの言葉からすると、そこが店舗の伸び代だと言っていて、それを引き立てるのが楽天経済圏の仕組みであると。
ある意味、楽天市場は独特で、三木谷さんの予見に皆、一度は乗って、あれこれ言ってみる。
以前でいう「モバイル」もそうだが、ポカンとする部分もある。ただ、少し先の未来を見据えた必然の動きは、企業である以上、必要である。信じるも信じないのもあなた次第であるけれど。
今日はこの辺で。