“チャット”に見えて“チャット”でない? チャネルトーク の交流が通販の成長に繋がるワケ
一対一の対応が小売店の基本。スタッフの対応こそが店の付加価値であって、参考にすべきはかつてで言えば、コールセンターとお客様との関係となるだろう。ただ、過去のそれは広告などで大量にお客様を集めてからの話だ。そうではなく、もっと低コストで自然に出会い、かつてのコールセンターとお客様の関係までの信頼関係を築けないのか。「 チャネルトーク 」との出会いでその解決の糸口を“チャット”に見出したのである。
“チャット”のようでそれでいて仲が深まる チャネルトーク
1.チャットのようでチャットではない
「チャネルトーク」が“チャット” でありながら“チャット”らしくない。だから「面白い」。つまり、チャットを通して自然な接し方を意図しているのである。
チャットなのに自然な接し方って何?そう思う人もいるだろう。チャットというと、とかくお客様の不明点を問い合わせによって、解決する。それだけを意図して作られていることが多い。
だから、まずイメージするのは、チャットボットだろう。シナリオが用意されているからそのQAに従い進めると、応えてお客様の不安を解決してくれる優れものだ。大抵のサイトで開くとすぐに立ち上がる。
最近では、AIチャットボットも登場した。つまり、お客様自体がその悩みを直に打ち込むことで、そこから連想して内容を読み取って応えてくれる優秀なものである。
それらは確かに物事を解決するという目的に対しては優秀なツールかもしれない。でも「 チャネルトーク 」が意図しているのはそこではないのだ。「お客様とお店の関係が深める」方向に持っていくもの。それができるなら、店の付加価値を発揮できる武器となる。そう思うから、僕は面白いと思ったのである。
2.オールユアーズのお店でそっと話しかけてくれる
着眼点が違うから、スタートから違う。例えば、オールユアーズのお店ではチャネルトークを実装している。彼らのECサイトの場合、しばらく経ってからそっとチャットは現れ、こう述べるのである。
「何かお困りなことはありませんか」。これこそが「チャネルトーク」でいうところの「店側からの話しかけ」。お客様が真にそのお店に信頼感を抱くまでの第一歩として重要な意味合いを持つ。
下のチャットなどが分かりやすい。「話しかけ」で、その店の紹介をチャットから動画で紹介に繋げたりもできる。問題解決型で効率性を追いかけたそれとは全く違った印象を持ったに違いない。
3.チャット のやり取りをPDCA検証して親身な対応を効率化
「チャネルトーク」はその「話しかけ」然り、お客様との接点を大事にして関係性を深める為に、作り込まれている。つまり「チャネルトーク」が意図している最終的な目的は、チャットを通しての「1対1のお客様とスタッフ」のやりとりなのだ。その場限りではない点が大きく異なる。
いわゆる自社ECは、店の価値観に共感して、それを通してお客様と心を通わせることに意味がある。それで、ファンになり、継続顧客となって成長していくだから、僕は「1対1のお客様とスタッフ」の感覚は大事だと思う。
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最終目的が「1対1のお客様とスタッフ」だからこそ、その途中経過もまた重んじる。まるで自然な会話を意図したシナリオを店側が自由に作れるようになっているのだ。しかも、そのシナリオはお客様とのやりとりが増えるほど、常にブラッシュアップされる。それを次に活かしやすいように、全て数字で表される。どういう経路で回答がなされたかを可視化され、お客様を知ることに繋がる。
顧客満足度の視点でPDCAを繰り返す
1.相手を知って関係を深めるチャット
だから、店側はリアルの接客と変わらない顧客満足度という視点で、PDCAを繰り返す。待望の1対1のやりとりで遂には本格的なファンとなる。このPDCAのおかげで、結果的に、1対1のやりとりは本当に大事な時に絞られるからこそ、人件費も必要最小限に抑えることができる。
スタッフを使っての「1対1のチャット」に至った際も、下の通りお客様のデータを総動員できる。そのデータに基づいて親身に対応できるようになれば、顧客満足度の向上に努めることも可能だ。かつ、それらは会社の価値を活かすべく、スタッフ同士、その同じチャットを見ながら横の連携もできるようにしている。会社一体でそのお客様へのベストなケアを実現できるというのも良い。
まさに優良なコールセンターで行われている連携がここで実現するのである。
だから、顧客満足度を高めて実績を掴む企業こそ、その姿勢に理解を示す。通販サイト「RiLi(リリ)」などは自分達の価値の活かし方をやっぱりよくわかっていて、ほらこの通り、チャットに「担当者とお話ししたい」という欄を入れていて、共感や気持ちを分かち合うことに重きを置いていることを垣間見ることができる。
悩んでいる時にそっと声をかけてくれる方が嬉しく、彼らのポリシーにはそんな優しく温かな空気が流れている。
2.自社ECでの価値がわかる企業こそ、この姿勢に理解を示す
この価値観に共感しているのがワイシャツの通販サイト「Ozie」名物店長ヤンヤンこと、柳田敏正さんだ。彼は元々、バーニーズニューヨークの店員。その質の高い接客に触れるにつれ、その接客をもっと多くの人に体感させたいという志のもとで、ネットショップを立ち上げた。だから、それもうなづけるのだ。
「Ozie」は今まで電話など様々な接客を意識してきた。けれど、そういう視点があったから、このチャットとの相性が良かった。実際、それを活用して成果を上げているのだから。
まずチャットボットを設置して問い合わせ件数が1.5倍に増加。そしてマーケティング機能を活用したところ問い合わせ件数が3.6倍にまで増加。トータルで導入前の5倍増となる83件/月となったわけだ。
チャット数は増えた。けれど、それはそれで人手が足りるのだろうか。そんな声が聞こえてきそうだが、2人の接客スタッフが他業務と兼業しながらでも十分に対応できている。
リアルの場での接客の大事さをわかった上で、それをネットにどう生かすかを思案している彼ら。だからこそ、チャネルトークのタグ機能から問い合わせ内容の分析してみた。
結果、チャット全体の45%が購買直前における発生する問い合わせ。そのうちの34%が購買に至った。彼が思い描く、リアルの店舗での接客はここに実現した。自然と購買できるように導くそのシーンが今まさに具現化されようとしているのだ。
お客様と真に心で繋がれているかそこが今問われている
冒頭に、コールセンターの話をした。けれど、そのコールセンターやカタログ通販を使っての接客は学ぶべきところは多い。その核心は「接客こそ大事」というところにある。実は、その意味ではこの「チャネルトーク」だって、その本質においては全く同じである。ただ、ここで注目すべきは、そこに至るまでの流れだ。テクノロジーを活用することで、誰でも、簡単に、そしてチーム一丸で取り組めるようになった。
ある意味、この手の顧客対応は、資金を持つ一部の企業でしかできなかった。だが、こういうツールはまさに、その本質をおさえて、小さな自社ECなどでトライできる。そこに、僕は時代の流れを感じるのである。
自然な入り口で会話をする楽しみを感じさせる。そしてその会話がよりその店の価値を深掘りするわけだ。結果、お客様との仲を深めていくことに繋がれば、それは継続へと至る。問題解決するためのチャットの類とは違うことの大事さを思う。「チャネルトーク」は個性を重んじる時代だからこそ意味があるアプローチだ。とそう僕は思うのであって、だから注目したのだ。
今日はこの辺で。
人間味を感じないECがチャットによって温もりを感じるようになった「チャネルトーク」の様々なお話。