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楽天 東急 で OMO 始動 楽天ファッションで ポップアップストア に対しての両社の胸の内

 リアルの課題はいかにそこに集客することだけど、今までの手法では通用しなくなり、一方でデジタルはその顧客データをいかにリアルの場でも活かして、その価値を最大化させなければならないけど、リアルのリソースがない。だからこそ、 東急 と楽天 グループ( 楽天 )グループとのこのポップアップストアなど、 OMO での連携なのだろう。話を聞いていると、立場が変わると目的も違うから、同じ企画でも全く違う考え方が交錯していて、非常に興味深い。

東急 と 楽天 本気を窺わせる OMO 渋谷スクランブルスクエア への出店

 僕がこの日、来たのは渋谷駅付近の一等地、渋谷スクランブルスクエア5階であり、ここはかねてより、ポップアップストアが数多く入るスペースである。この日、両社は初めてこの地に、ポップアップストアを構え、「楽天ファッションの出店ブランド」でラインナップを構成して、テーマとして「二番手ニット」というものを掲げた。

 これは僕も知らなかったことだが、ニットはオーソドックスなスタイルは存在しつつも、エッジが効いたものが増えており、そういうものをネットで買うのが抵抗があるので、逆にリアルの地で確認することに意味があるというわけである。

 これらの商品は全て、楽天会員のデータを参考にしながら、テーマを設定して、そこに沿った形で、ブランドを横断的に陳列したものであって、つまり、ブランドごととは違った視点で提案したところに付加価値がある。

 先ほど、ニットの話をしたけれど、ここには「アンタイトル」などの数々の名だたるブランドが垣根を超えて、数多く色々なパターンで提案されている。ここがOMOと言われる所以になるが、いずれもその商品タグには、QRコードがついており、それを読み取ると、楽天ファッションのページへと飛び、そこで購入するスタイルである。

 だからブランドもここに陳列する用の商品のみを納品すればいいので、在庫の管理は煩雑にならずに済むし、最近は物流環境も整って、出荷体制もリアルで買うのと遜色なく、早く届ける事が可能である。

東急のメリットは?

ここまできて、「ん?待てよ?」と少し思った事がある。

 では、東急にとっては、一体、この場所を提供するメリットは何だろうと。実は、これに伴って開催された記者会見の席上、楽天東急プランニングの代表取締役 笠原和彦さんの話を聞きながら、気づくわけである。デジタルの施策をWEBであったり、サイネージだったりを活用して、リアルでの店舗の効果に繋げて、語るわけである。

 ああそうかと。楽天はメディアとしての側面を持っていて、東急はそこに期待しているのだと。

楽天のメディアとしての側面

 笠原さんは席上、「楽天はこれまでもオンラインで広告施策を打って、それがオンライン上で成果をもたらすというのはやってきた。この連携を通して、そこに加え、オンラインの施策からリアルでの成果にまで影響をもたらすことで、データの価値を最大化し、お互いの価値につなげたい」ことを述べていた。

 それを踏まえて東急の方々と会見後、話してわかってきた事なのだが、東急としてはまず、今回の取り組みにおいては、このリアルの拠点にいかに新しい方法で、集客するかという点に重きを置いている事がわかるわけである。

 このポップアップでの関係性で言えば、楽天が既に膨大な会員データを持ち、デジタルを通じてその顧客に対して、常時、アプローチができる環境が整っている。だから、東急としては、渋谷スクランブルスクエアに「楽天ファッション」のポップアップストアを設置することで、そこをベースにその拠点に楽天ユーザーを呼び込む事ができる。

リアルの拠点でその付加価値を感じてもらう東急

 勿論、東急にとってみれば、今までもリアルなこの拠点に呼び込む施策は数多くやってきているけれど、楽天会員の力を、その属性に合わせて、必要に応じて、自らのリアルの拠点への集客に繋げられるとすれば、このような形でポップアップストアを楽天と組んで、やることには意味がある。

 百貨店では今も昔もシャワー効果と言って、物産展などをすることで集客を行い、それに付随する形でその他の階の商品も売れていく例は見られるが、その役割をこの「ポップアップストア」が担えば、楽天との取り組みは、東急にとっては、今までにない集客につながる販促的な要素を持つわけである。

 これも東急が話していた事だが、彼らもまたカードなどを通して会員組織はあるものの、楽天とは世代も異なるがゆえ、こうした施策で楽天のデータを最大化させて、集客させる事そのものに価値があり、彼らにとって考えれば、このリアルの拠点での付加価値を通して、今度は東急のファンになってもらう事が大事だということになろう。

 勿論、このポップアップでも商品を並べるだけではなく、東急側から専門スタッフを用意して、その接客に努めてもらうことで、来店したお客様にとっての満足度は高くなる。

 それゆえ、楽天と東急のそれぞれ違う立場で、その全く異なる考え方が交錯して、このポップアップストアができている。そう冒頭、話したのは、そういう意味合いであって、それを前提に考えるとこの全貌は見えてくるし、とても興味深いことがわかるだろう。

デジタルを活用してリアルを伸ばす楽天の力

 ただ、逆に言えば、それも人が集まらなければ意味をなさない。だから、楽天においては先ほど、このポップアップストアの「編集力」が極めて大事になってきて、先ほど触れたように、会員データを徹底分析して、相応しいテーマ設定と商品選びを意識するわけだ。

 しかも、楽天ファッションの場合で言えば、そこにスタイリストの声も取り入れ、売り場の価値を高めていくわけであって、ウェブ上では、事前にこれに関連した「エントリー」に登録できるようにして、それを来店と合わせて購入に繋げれば、楽天ポイントが貯まるようにするわけである。

 かつ、昨今、スマホが行動の起点となっているから、そこに楽天IDの価値と合わせて、「楽天スーパーポイントスクリーン」というアプリをダウンロードしているユーザーに対しては、その属性に合わせて、このようなポップアップストアの告知をプッシュ通知でするわけである。

 僕が楽天にはメディア的側面があると言った意味をお分かりいただけただろうか。

楽天 と 東急 の OMO には 双方全く違った利点が絡み合う

 リアルの視点から見れば、今までのやり方にはない集客のスタイルであり、これが新規顧客獲得の呼び水となると同時に、一方、デジタルの視点から見れば、デジタル上で完結していたそのサービスがリアルにもまたがって、よりデータの有効性をアピールすることになって、東急、楽天それぞれにとって利点をもたらす、というわけなのである。 

 勿論、ここに出品するブランドにおいても、今回の「二番手ニット」というテーマの象徴されるように、ネットだけでは訴求しづらい要素を伝えられるとともに、ブランド横断型でテーマを掲げることで、ブランド単体では興味を抱かれなかった商材が手に取られる可能性を秘めている。だから、新規顧客獲得としての意味合いも持って、メリットになるわけである。

 とかく、今までOMOというと、ブランド単位でリアルとネットの垣根をこえて、お客様との接点を作り、満足度を高めて親密な関係値を構築していく文脈で語られる事が多かった。では、OMOをモールがやるとしたら、どうなるかと言えば、このような形でデータを活用し、その経済圏が持つユーザーをリアルへと呼び込むメディア的な役目があるのだと思ったわけである。

 すると、ネットのモール、リアル、メーカー全ての価値を活用することとなって、これはこれで、OMOとしてそれぞれが持たないユーザーを発掘できるという意味で、全く違うその価値の発揮の仕方があることがわかる。その意味で、この取り組みには気づきが多いと考えた。

 リアルとデジタルの融合にはまだまだ可能性が秘められていると言って良いだろう。

今日はこの辺で。

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