Amazon Merch On Demand 商品だけでなくクリエイターの才能を発掘するインフラ 潜入!ポップアップストアへ
あらゆる才能が、Amazonの手により、リアルに可視化されていく。どういうことか。実は、それこそが、Amazon Merch On Demandである。正直、僕はまだその存在を知らなかった。だが、このほど、東京・原宿の「クレインズ6142」でポップアップストアがオープンして、その中身に触れて、納得した。Amazonの強みを抑え、今の時代を踏まえた、あらゆる才能にあふれ、多様化に応えるビジネスだったのである。
Amazon Merch On Demandとは?
そもそも、Amazon Merch On Demandは、クリエイターが描くデザインを、AmazonでTシャツなどに印刷をして、お客様に届けるものである。これまで、作家の活動は、まず自分で絵を描き、それからそのデザインをもとに、商品に落とし込む。そういう行程を経て、初めてファンの元へと届けられていた。
ところが、Amazonではそれらが一切ない。つまり、各々の作家がその作品をアップロードするだけで、商品が完成。かつ、商品がもう販売されてしまう。思うに、Amazonは販路を持っていることで、生産することの価値を最大化させている。つまり、クリエイターは初期投資や費用をかけることなく、自身のブランドを立ち上げる。そんなことが容易になったわけだ。
何より、作家にとっては在庫リスクを抱えることがない。また、少量の発注に応えられるから、身の丈に合わせて、成長できる。かつ、必要数量に限り、生産されてサステナブルになるという利点もある。
Amazonのインフラとスケールメリットがなせる技
そもそも、Amazonは、自らのアカウントを持つ、“アクティブなユーザー“がいて、日々、消費行動が起きていることが強い。だから、彼らが、生産工場との連携を行うことができるわけである。つまり、彼らがそういう臨機応変な生産環境を整えれば、クリエイターに負担なく、販売できる環境が生まれる。
それがあるから、在庫の補充も、受注予測にもつき、用意されるのだろう。Tシャツにしても、最初から、SMLだけではなく、幅広いサイズが最初から用意されている。まさに、この辺は個々のクリエイターがやるのは難しい。さらに、スマホケースなど、アイテム自体も広がりを見せていて、その辺も抜かりない。
その甲斐あって、現在、日本のサイトでは、1,800万種類ものデザインが登録されている。
その上代設定はクリエイターに任されている。つまり、クリエイターは自分のファンの財布事情を踏まえて、設定ができる。これが、自らの収入とも考えながらやる部分で、一個当たりの売り上げに対して、ロイヤリティーが払われる設計だからである。
つまり、高く売れれば、それだけクリエイターの懐事情も良くなり、Amazonも潤う。推し活を後押しする土台になりそう。ただ、既に存在するコンテンツとの絡みで、類似品などがないよう、事前の審査を行い、そこをクリアしたデザインのみが出品できるよう、模倣の反乱を事前に防ぐ。
ここから認知を広げて作家とファンとの距離を縮める
語弊を恐れず言えば、Amazonにおいて、これらの仕組みが存在することの認知がないのだろう。僕も初耳だ。だからこそ、こういうポップアップストアを、原宿のキャットストリートに立ち上げる。新しい才能やコンテンツ、既存のIPにおける違った顔を感度の高い人に、発見してもらう。
今回のポップアップストアのテーマは「好きなものを選ぶ」。そこで、500種類のグラフィックデザインと700種類の商材を用意した。ここでお客様は、実際に商品を手に取って確認してもらう。ただ、購入は、オンラインストアを用いて、楽しむ。さらに、このストア限定の多数の限定商品も用意して、付加価値をつける工夫もある。
上記の通り、あくまで、ネットでの購買体験を念頭に置いている。だから、このポップアップストアはしょールーミングの位置付け。よく見れば、商品自体にQRコードがついている。それを通して、Amazonのサイトに飛んで、そこで購入していく。OMOの側面も持たせて、リアルによる品切れなどのネガティブ要素を一切排除している。
一方で、強かなのは、リアルの地をフル活用する。彼らは、消費者だけではなく、クリエイターをもその対象としている。というのも、ポップアップストア開催中、新たにクリエイターとして登録を希望する人を対象に、プリントオンデマンドビジネスの立ち上げ方を学べるワークショップを複数回、開催する。
Amazonは商品だけでなくクリエイターの才能にまで
よくできた仕組みである。また、OMO視点でリアルを巧みにプロモーションの場として活かしている。
そもそも、Amazonは、商品さえ持っていれば、誰でも出品できる。だから、いい商品であれば人が集まり、集まることで、売れていく。その商品がさらに売れていけば、もっと、商品が販売できる。下記の記事の通りだ。
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つまり、商品の出品を起点に、販売拠点と、預ける倉庫、配送環境というインフラを握る。それで、ビジネスが成り立って商売の可能性を広げた。
その本質を辿れば、この動きは、その延長線にある。つまり、今度は商品を持たずとも、才能さえあれば、いいということ。誰でも、商品も作れるサイクルの中で、才能を最大化させることができる。商品素材をインフラとして提供する。それで、あらゆる才能が、Amazonの手により、リアルに可視化されていく。
多くの埋もれた才能が、これによって発掘され、ブレイクすることになる。また、それにより商品素材の幅も出てくれば、市場も拡大していく。それもまた、Amazonらしい。あらゆる才能もまた、Amazonの手により、リアルに可視化されていくのかもしれない。
今日はこの辺で。