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物流を融合して考えどう付加価値に変えるか?デジタルと人間の折り合いを模索する 2024年

 すごく壮大な話だけど、元々、産業革命以来、時代は変わってきた。蒸気機関車が生まれた時代と、今は異なる。その時とも当然に事業の中身は異なっていて、既存の事業はいずれ廃れる。そりゃAIや5Gは直近では必要ないけど、でも、少し自分たちの視野を広げようと。目の前にある技術をどう使えば、自分たちは、未来にこういうことができるのではないか。そう思い描くことこそ、今、一番大事なことなのだ。そこが今までの日本に欠けていた部分。リンクス代表取締役小橋重信さんとの恒例の年始トークの始まり、始まり。

商物融合が他との差をつける

1.変えていく視点が企業にあるか

 面白い視点だなと思って聞いていた。彼は、物流のプロフェッショナルでコンサルタントをやっている。けれど、この間、とある会社の社長に迫ったという。「僕を雇う理由は組織マネージメントですか?プロジェクトマネージメントですか?」と。

 この話が最初の話に直結する。だから、ここに記した。『組織マネージメント』というのは、従来の営業や施策に基づき、これまで通りの予算を立てながら、ルーチンの中でそれを検証していくことを意味する。一方、『プロジェクトマネージメント』は、それとは大きく異なる。

 プロジェクトを立ち上げ、タスクフォース的に集まって、期間を設定し、その中で成果が決められる。外部の知見を取り入れながら、大きく変えていくのも、期間を決めて目標があればこそ、機能すること。彼はそうやって現場を変えてきた。世の中の動向を汲み取って、企業の未来を、今の技術に準えて見通す。それでこそ、自分は活かされると信じているからだ。

 だから、冒頭話した、とある会社はその覚悟はなくて、コンサルタントには至らなかった。そう言って、苦笑いする正直な彼。だから、話すことで、ノイズのない必要な未来が見えてきそうだし、対談を続けている。長い目で見て、企業が今必要なこととは何だろうか?

2.かつてとはまるで変わって

 それでいうと、日本の多くの企業は縦割り思考から未だ抜け出せない。「今こそ『商物融合』が大事」。あらためて、そう説くのが小橋さんの考えだ。『商物融合』とは、商流と物流を融合させる発想。実は、昨今の躍進企業は皆、そこに着目して、チャンスを引き寄せた。

 昔からそうだったんじゃないの?

 そう言われそうだが、むしろ逆。分けて考えることで、生産性を高めることができたのは、扱う数が多いからだ。これまでのように、その発信源が少なく、情報が集中した場合においてこそ、活きるのが分業。数が多いからそれぞれに専門性を持たせて、打ち込むことが成果が出やすい。

 そこで、長らく日本は高度経済成長を生み出してきた。だから、日本の多くの企業は他が見えない。

3.分けて打ち込むのが当然な時代の弊害

 それを象徴する悪しき習慣が、「店着価格制」。ご存知ですか?と小橋さん。要するに、店舗での納品価格を物流費用込みで「全国一律で」考える発想である。

 お分かりだろう。最初から物流コストを考える余地などない。分業だからこそ、これが当たり前になる。ただ、数が多く捌けるから成立する。万能ではなく、ここが冒頭の話と直結するところ。事業の仕組みに、絶対はない。だから廃れて、次なる視点を今から備えていなければならない理由となる。

 だから、彼は本気でプロジェクトマネージメントすることの意味を語るわけだ。企業において、自ら変わる視点を持つべきだと。そうでなければ、今はいいけど、生き残れない。衰退した日本企業が何よりの証拠だ。それでいうと、今は融合した時に、どう付加価値を生み出せるか。各々の企業で考えることが大事だという。

 視点が逆。だからこそ、このコロナ禍明けで企業が増収しても、その根本が変わっていなければ厳しい。そう指摘する。これは大きな企業に限らず、中小企業も言える。物流をコストと見ている企業が多いことからも、分かる。

 体質的には変わっておらず、大小問わず、全く同じこと。ただ、事業はいずれ廃れる。それは、まさに2024年問題でより一層、差がつき、その動きに拍車がかかる。

時代を捉えて何に付加価値を見出すか?

1.活かし方は様々

 本当によく耳にする『SHEIN』も、『TEMU』も、『商物融合』を味方につけた企業。

 彼らもデジタル企業であり、近年、拡大した中国の製造工場に着目して、そのネットワークと配送を紐付け、お客様とダイレクトに繋がる手段を見出した。ネットを活用すれば、中国を起点としても、表向き、海外のユーザーは、その国のブランドと遜色なく感じる。

 顧客起点で、必要な商品のみを、生産から物流を全体で商品を製作すれば、コストを抑えて提供できる。しかも、その安さは、各国の免税制度すら味方につけて、「中国以外」の“国内”競合企業を相手に世界を席巻した。

 思えば、世界を席巻したZARAも『商物融合』なのだ。

 通常なら、船を使い1ヶ月かけて資材を送り込み、中国の工場で大量生産した上で、商品が店に並ぶ。

2.物流コストを込みで価格を維持しセールを控える

 ところが、「ZARA」は受注予測に基づいて、最初の型こそは2ヶ月ほどかける。けれど、それ以降はそのデザインをベースにマーケティングを徹底して行い、微調整して4週間のサイクルで次のデザインを生産してしまう。マーケティングに基づきわかった消費者のニーズのその熱が冷めないうちに、そのまま空輸でスペインの本社から直接、世界中に送っているのである。

 ZARAは『SHEIN』とは違い、安さというよりは、適正価格を維持し続けるという視点。結果的に、粗利を高めることで、物流コストをそこに盛り込める。それゆえ、割高な航空便などを使って、一律、同じ拠点から世界中に発送できたわけである。

 だから、小橋さんの主張が実は、ここ数年で大きく変わってきていることがわかる。彼は物流の専門家でありながら、生産に言及する機会が増えた。生産面と一体で考えることで、物流の価値が発揮されるからである。

3.いつも社がアリババ系と連携してその動きを模索

 「こういう議論を踏まえて、国内の動きも変わってきた」と小橋さん。

 いつも社が大小問わず、これらの『商物融合』の視点でやれる環境を作ろうとしていて、時代は変わりつつあると痛感したという。これまでで言えば、いかに海外で安い工場を見つけて提供するか。そこで完結していた。けれど、それは商流のみを追いかけたもの。でも、その国内の動きは、それが時代遅れになりつつあるということを示しているわけだ。

 そのビジネススキームは、まず、アリババ関連の「1688」という会社を活用する。同社は中国の製造工場の事情に精通していて、その上で、SNIFFという会社を間に入れる。SNIFFは輸入代行の専門家である。だから、生産されたものを、日本に送り届ける物流を確保。それらの窓口を日本の「いつも社」が整備することで日本の中小企業でも、『商物融合』に手が届きやすくするわけである。

 つまり、中小企業も、物流的な思考から生産面を考えることが必要。全体でコスト計算をして、最適な環境を中国の専門家と組むことで実現させようというのだから。

 これが、今の小売業のあるべき姿を言い当てていて、小橋さんの主張も自ずと、生産を込みで物流を考えるのが当然となるのもわかる気がする。商流・物流一体で考えることで、顧客満足度を高めることができ、そこへとシフトしていて、加速中。それはデジタルの浸透と一致している。

プロジェクト単位で企業に革命を起こす覚悟で

1.従来型の売り方と切り分けてみては?

 しかし、事業者は日本の習慣の上にビジネスが成り立っている。だから、それを無視して、変えることは不可能に近い。では、日本企業はどうする?そこで小橋さんとの話で、一つの提案を見出した。

 しかし、事業者がどんな強みを持つかによる。物流費を込みで、どんな付加価値を提供できるかを1から構築するべきなのだ。彼はアシックスにおける「オニツカタイガー」の取り組みを挙げた。なるほど。強みを背景に新たなラインを構築するわけだ。

 従来のアシックスはあくまで運動靴という括りだった。そこで、彼らは、オニツカタイガーを従来とは全く違う価格帯で出してきた。その時に何をやったか。オニツカタイガーをアシックスと何もかも切り離したわけだ。

 その上で、当時の海外の代理店を買収して、彼らのいうことに左右されない環境を作った。こういう商品でないと『売れない』。そんな風に彼らの言うことを聞くと、過去のアシックスのやり方で売られてしまう。

 販売チャネルから何から何まで全て仕組みを変えてしまった。

 しかし、それは今まで例えば、10億円の売上があったとして、それが1億円になるかもしれないリスクがある。でも、それをやることで、オニツカタイガーはそれとは別に、代理店網を再構築できて、今は、それが収益の要になっている。運動靴としての高い知見は活かされつつも、それを全く別のフローに乗せて、新しい企業としての価値を見出したところに、学びがあるとした。

2.仕組みが変われば最適化も変わる

 そうやって仕組みを根本から変えれば、中身の生産性の高め方も変わってくる。そこで、活きてくるのがデジタルである。例えば、彼の取引先で、80店舗ほど、構えるショップの話が面白い。ゴールドラットという会社の「ワンビート」という仕組みを取り入れて、売上が2倍に膨れ上がった。

 何が起きていたのか。それまでは毎週、売れ筋をディストリビューターが確認して、補充していた。ところが何百というSKUがある。その中で、人間がフォローしていくのは現実的に考えれば、限界がある。

 そこで「ワンビート」を導入した。その売れ筋などを、全て洗い出してくれる仕組みなので、それを的確にフォローできると考えたのだ。つまり、数字が逆にブランドのカラーを鮮明にした。だから、それが機会損失を無くして、売上を伸ばしたというわけである。必要なものを必要なだけ売るからである。ほら、さっきのZARAの発想に近い。

 ここで注目しておきたいのは、AIの価値を述べているのではない。人がやるべきことを本当に必要なことに絞ったことで、結果、AIの役目が明確となって、その事業をプラスに導いたということなのだ。

自分の立ち位置をマーケットの中で見据えて効率化

1.モールでも徐々に見られ始めている

 その中でマーケットを見ていくわけだ。

 だから、この手の議論はモールでも言える。特に面白いのは、例えば、ZOZOにしてもそう。実は、彼らを支えてきた従来の名だたる有名ブランドは、そこまで存在感がなくなっている。すなわち、前澤さん時代にやっていた有名ブランドが名前を連ねて、そこに価値を見出したZOZOは、もう過去なのだ。

 ブランドもそこを顧客接点としてZOZOで売っていたのとは違っているのかも知れない。顔ぶれも変わってきているのだから。また、それで台頭してきているのは、EC専業のスタートアップだというから驚きだ。

 というのも、最近、ZOZOに特化させて、マーケティングする会社が出ている。今「ZOZOでは」何が売れていて、どのタイミングで何をどう表示すれば、何個売れるのか。それを徹底的に、分析している。だから逆に言えば、それを的確に取り入れて、まずは「ZOZOの中で確実に売れるもの」の可視化を徹底していく。

 それはZOZOにとっても売上を伸ばすことになる。だからZOZOもその動きを容認する形をとり、結果、スタートアップ系企業の存在感が増す。

 この動きは、SHIENでインフルエンサーを使い、トレンドを生み出し、データに基づき、商品を作る動きと一致している。だからもの起点ではなく、全体最適から考えたものづくりをして、必要性に応じて、ある特定のマーケットをとりにいくことで、覇権を握れるわけだ。

2.従来視点からの脱却が必要なわけ

 かつての事業とは大きく変わっていることをお分かりいただけただろうか。だから従来の視点は危険である。つまり、生産からお届けまで一体で捉える。その時、各々企業に求められることは何かを人間が考えるわけだ。あとは、必要最小限まで削ぎ落としたところでデジタルが機能して、企業価値を最大化させている。

 この俯瞰的視点を持つ人たちが、IT系に寄っているのは、それらのどれにも捉われていないからだろう。

 ただ、繰り返しになるが「商物融合」を軸にした俯瞰的な視点の利点は、各々の企業の特性に照らし合わせて導き出されるもの。だから、答えはそれぞれにある。これからの未来を切り開く上で、今大事なのは、この考え方から事業の組み立てを“再構築”することだ。

 それは明らかに価格訴求とは違う世界の話である。安く早く作るなら、いくらでもあるのだ。だから、全体で見たときの自分たちの価値の活かし方を考えること。それは、これからの商売を切り拓く上では欠かせない話なのである。

 今日はこの辺で。

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