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やずや 矢頭 徹 社長 「受け入れられ方」を知る事で「仕掛け方」の費用対効果がよくなる

 先日、GMOメイクショップからのお誘いで、やずやの代表取締役社長 矢頭徹さんに話を聞く機会を得た。そこでの話を聞いて、改めて矢頭徹さんが得意とするのはその「仕掛け方」の部分。ただ、踏み込んで、商品の「受け入れられ方」を研究することで、実は「仕掛け方」の費用対効果がよくなる。そんな気づきを得た次第で、それをここに書き記そうと思う。

・チラシに代わる仕掛け方を考慮

 「ご存知ですか?やずやの起源?」そう言って話を切り出した彼。実は、結婚相談事務所なんです。その話を聞いて、「彼らの事業がなぜ今に至ったのか」。その合点がいきました。

 そもそも、最初はお金がない。だからマイク一本で結婚披露宴の演出をしたという。司会進行で、盛り上げることを生業としていく。その中で、この会社は心のこもった向き合い方を身につけていくわけである。

 ゆえに、おもてなしを軸にした継続的な顧客関係を築く知見をそこに得たわけだ。彼らが手がける健康食品の多くはそこに支えられて、生きながらえてきた。そういう要素を、通販の手段として置き換え、継続につながるメカニズムになった。そこの読み解き方が、かつての大番頭 西野博道さんの話でもわかる。時代に左右されない人間的な部分での気づきである。( 参考

・新規顧客獲得の重要性と難しさ

 さて、矢頭さんは創業家で、20代の時に専務として入社。継続の土台を背景にして、いかに新しいマーケットで新しい顧客を獲得してくるか。時代の推移を見据えながら向き合ってきたことがわかる。

 少し、先ほどの話に戻ると、祖業である結婚相談所。この仕事は、想像に難くないが、土日しか稼働できない。「平日にできる業務は何だろう」。そう言って始めたのが通販だったという。どうせなら、福岡だけではなく全国にやるべきだ。そんな助言を受けて、創業者が折り込みチラシに電話番号を入れ始めたのが起源である。

 ただ、その当時はそのような手法はまだ珍しかった。当時のチラシの影響力は1万部の配布に対して100通の受注が得られるという具合。費用対効果の高い手法だったのである。

 ただ、矢頭徹さんが入社後、徐々にそのチラシの影響力が低下する実感は得ていた。彼が新しい仕掛けのあり方を模索するのは自然な流れであったたわけである。ゆえに、その知見に長けていて、矢頭徹さんがまず取り組んだのがテレビ広告だったと振り返る。

 とは言え成功とはいかず、「徹子の部屋」に出稿して、わずか数十件であった。

・チラシを軸にそのレスポンスを上げる仕掛けとは?

 そこで彼が考えたのは、チラシという軸はそのままにすること。つまり、メディア広告を通して下がりつつあるチラシのレスポンスを上げていこうと考えたのである。テレビなどへの出稿は、チラシのレスポンスが倍になるくらいにとどめて、顧客の数を増やしていったのである。

 先ほど、触れた通りだが、やずやの場合、結婚相談所からチラシ通販への流れで、継続につながる手立ては確立されていた。だからこそ、それを活かすための彼は新規顧客の必要性を説いて、チラシを活かしてアプローチを変えた。よくやずやの手法はロケットで例えられるのだが、それは「一気に数を多く取る」ということ。

 何が言いたいかというと、そこから先の継続率は保証されているので、いかに最初に数をとるか。そこをを高めることで業績を伸ばしてきたわけである。新規顧客の獲得手法が極めて大事。

・テレビの力でチラシを伸ばす

 繰り返すが、テレビの露出量は、ちょうどチラシのレスポンスが倍になるくらいにとどめる。テレビCM自体で顧客を獲得するのではない。テレビ広告は、チラシのアシスト。利用者が増えた分だけのお金を払っているに過ぎないと位置付けた。

 要するに、金額の大きなテレビ広告であれ、費用対効果を考える中で、強みを活かして成長したわけである。増えた分の利益を広告費に使うのであれば、やずやのブランド価値の向上は残る。こういう形で、着実に、あらゆるメディアミックスを実現させました。フルメディア展開で、現状では5分程度のインフォマーシャルが、最もCPOが最も高い。かくして、チラシに依存しない体制を手に入れ、その中でECにも着手している。

 そこで彼はさらに踏み込む。そもそもの提案の仕方の費用対効果を考えるようになるわけだ。集まることを前提に、あとは継続につながる手法に丸投げするのではない。集まる時点での生産性を高めようというわけです。

 彼が着目したのはその「仕掛け方」と同様に「受け入れられる商品とは何か」を検証すること。商品を作り続けなければ、その仕掛けは奏功しない。だからその精度を上げるために、彼が先頭に立ってテストを重視する文化を定着させていったと振り返る。

・テストが真実を明らかにする

 改めて彼らの商品には特徴があって、それは大きく二つ。食品系が強いということと「効き目」があるというよりは習慣づけを促す商品であるということ。これは以前、書いてきた通りだ(参考)。

 そ彼らとしてはそこの精度を高めるために「テスト」を盛んに行なっているというわけであり、ここでハッとした。つまり「受け入れられ方」の研究をすることで、「仕掛け方」の費用対効果がとれるということになるわけである。彼らは年間380種、テストを行っていて、「全てはお客様に答えがある」と述べる。作り手の想定を覆す結果が多く見られるのがテストの特徴であり、「そこが通販の面白いところ」と彼は強調する。

 例えば「十六雑穀 一緒にカルシウム」という商品で見てみよう。商品それぞれ、パッケージが違う。どれが一番、お客様に響いただろうか。考えてみてください。

 結果はこの通り。

 パッケージだけでも1.5倍ほどの差が出てしまうのである。左上がメインパッケージだったことから、この結果を受け、左下に変えてしまったという。不思議なのは、何度やってもこの数字になったとか。

 販売価格についてもテストをおこなってみる。さて、どっちでしょう。

 結果は下記の通り。

 同じく何度やっても3985円になった。人間の心理を反映している。

・受け入れられ方を知ると仕掛け方の生産性が高くなる

 続いて、その商品の紹介の仕方である。どういう商品の見せ方が一番、お客様からの反響が大きかったのか。

 実は、正解は右上。左上を100とすると、右上は138。下は127である。中身は全く同じなのに、その見せ方次第で、これだけ歴然とした差が出るのだという。

 面白いのはこのパッケージそのものが違ってそれが購入動機になっているのに、詰め替え容器としてこちらの入れ物が必要ですかと問うと、いらないというお客様もいるのだそう。

 その攻めと守りの両面が機能して、古くからある通販王国の手法は今にも順応して、売上を続けていることがわかる。お分かりいただけただろうか。こうやって受け入れられ方を知ることで「仕掛け方」の費用対効果を抑える事ができる。やずやの特徴であるロケットダッシュはこのようにして最大化されたと言って良い。

 今日はこの辺で。

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