受賞の裏には挑戦あり 戦いの裏側 楽天 Shop Of The Year 2021

毎年、楽天市場の数多くの出店店舗の中から“売上や成長率、注文件数、顧客対応”などを総合的に評価し、年間ベストを選ぶ「ショップ・オブ・ザ・イヤー(SOY)」。晴れ舞台に立つ店舗を目にすると「すごいな」と感嘆する一方、その裏側では日々試行錯誤し、変化に対応するための地道な戦いが続いている。
1. “不可能を可能にする”準備を怠らない — 1位「Joshin web」の物流戦略

● 18年で売上4600倍、でもまだ終わりではない
家電とPCの大型専門店として総合賞1位に輝いた「Joshin web」は、彼らは2003年に楽天市場に出店。楽天市場への出店当初から現在までで約4600倍もの売上拡大を成し遂げたそう。しかし、そこで彼らが強調したのは「さらなる挑戦」だった。
● 3万5000坪の新物流センターで未来を見据える
Joshin webは昨年、新たに大規模物流センターを開設。楽天市場が今後「流通総額を10兆円に」と掲げる中、「私たちはその倍を達成してみせる」という自らへの宣言を語っている。

学びのポイント
- • ネット通販の市場拡大はまだまだ可能性がある
- • 物流を整備し、需要増を先取りすることで勝ち筋を作る
- • 大胆な設備投資や仕組み改革は「勝算があるうちに動く」ことが大切
ネット通販がもたらす奇跡は歩みを止めない軌跡の中で生まれる。
2 転機をチャンスに変える — 2位「XPRICE」新ブランドへの想い

● A-price から XPRICE へ
総合賞2位の「XPRICE楽天市場店」は、これまで「A-price」として運営してきたが、2021年に屋号を変更。「エクストリーム(極限)のサービスを信頼できる価格で提供」。そんな新理念のもと、さらなる成長を目指している。
学びのポイント
- • 市場やニーズが変化する中、既存ブランドに固執せず再スタートを切る決断
- • ブランドの再定義は、社内体制や顧客対応レベルを一気に見直すチャンス
- • 「ネット通販だからこそ、サービスの質をどこまで引き上げられるか」が鍵
そして、先ほどの「甲羅組」ではないけど、サービスの質を意識していることに注目したい。もうネット通販は、ネット上で買えるというだけではダメなのだ。どんなサービスがあり、それでどんな付加価値を提供できるか。そこまで徹底して初めて、成果が出る。そういうフェーズに来ていることがわかる。
3. そのほかの受賞店舗に見る“日々の格闘”

● 3位 アルペン楽天市場店
リアル店舗とECの連動を強化し、“配送リードタイム”の改善にも注力。オムニチャネル戦略を着実に推進。
● 4位 タマちゃんショップ
健康食品を中心に独自商材を展開しつつ、顧客とのコミュニケーションを重視した運営が高評価に。
● 5位 越前かに職人「甲羅組」
原材料費の高騰など既存のコスト削減策では乗り越えづらい壁を実感していると田辺 晃司店長。そのうえで「新しい付加価値のあるサービスや商品の提案、業務改革が必要」と強く訴えている。
● 6位 シードコムス(サプリ専門SHOP)
サプリ市場は競合が激しいため、商品開発やブランド訴求力が問われる。こんなお茶目な姿で現れた。

・現状を疑い従来の枠を飛び越える
改めて、共通して上位店舗が口にしていたのは、、、
- • 既存のやり方で生産性を上げるのには限界がある
- • 新しい提案や業務改革を生み出すには、あえて現状を疑い、従来の枠を飛び越える工夫が大事
そして、努力の証であるとともに、新しいチャレンジのスタート地点。今の実績には素直に喜び、また感謝の意を述べながらも、変わりゆく世の中に対応して、成長していくことの難しさ。それを口にする店舗が多かったのが妙に僕の心に残ったのである。
5.ネット通販は“挑戦”と“変化”の連続
どんなに市場規模が広がろうとも、そこに立ちはだかることは山積み。昨今でいえば、原材料や物流コストの高騰、新規参入の増加など。だからこそ、どれだけ速く変化をキャッチし、自社の強みに変えられるかがカギである。そして、全体を通して、数々の部門賞などで、そのメッセージから感じられたのは、下記である。
- • (1) コスト削減の限界はすぐ来る
- → 付加価値のあるサービス・商品の開発が必要
- • (2) 物流や在庫の整備で需要増を先取り
- → 売上拡大は予測を超える速度で来る可能性がある
- • (3) ブランドや社名も含めて、変化を厭わない
- → 転機を迎えたときこそ、新たなコンセプトや体制づくりの好機
- • (4) サービスの質に対する意識
- → オリジナル企画や顧客対応で、「この店から買いたい」と思わせる
- これらはネット通販に限らず、あらゆるビジネスで生きる示唆と言えるでしょう。
そして、受賞店舗のコメントには、いずれも「ここがゴールではなく、さらなる挑戦の始まり」という決意が共通していた。ネット通販が主流化する今こそ、新しい価値づくりを意識しつつ、それぞれのショップが再スタートを切る好機かもしれない。
今日はこの辺で。