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駅で出会う“こだわり”の人たち-エキュート秋葉原・店舗取材──7つの物語ににじむ情熱と哲学

 SuicaやGPSなどテックを駆使した戦略的な施設設計も魅力だが、それだけでは終わらない。エキュート秋葉原に集った店舗の中には、単に商品を売る以上に、「伝えたい想い」が強くにじみ出る人たちがいる。“食”を通じて自分の人生を語る人。“スイーツ”というメディアで価値を発信する人。“フルーツ”に夢を託し、街を渡るブランド。だから、実にさまざまな物語が潜んでいる。

THE STAND by KOBEYA──冷凍パンの革命が、日常に“彩り”をもたらす

「裏でパンを焼かないからこそ、自由が広がるんです。」

 冷凍技術を駆使したスタイルで注目を集めているのが、THE STAND by KOBEYA

 なるほど。それだけ、今、冷凍の技術が向上しているのである。だから、神戸屋のような老舗でも元の礎を尊重しつつも、それらの技術を取り入れ可能性を模索している。

 つまり、製造をバックヤードで行わず、冷凍状態のパンを解凍・提供することで、省スペースで多品種展開が可能に。エキナカという限られた空間の中で、最大限のバリエーションを実現している。

 扱うパンはどれも高品質。なかでも人気なのが、ドイツ伝統のフルーツブレッド「フッツェルブロート」。素材へのこだわりと、“日常をちょっと豊かにしたい”というブランド哲学が共存している。

サラダデリ MARGO──レタスに惚れたスタッフが語る、“生”のチカラ

「このレタス、食べてみてください。ほんっとうに甘いんです。」

サラダ専門店MARGOで話を聞いたサブチーフ 佐藤有紀さんの目は、野菜愛に満ちていた。

 注目は、1日40個限定の「生」エナジーベジカップ。レタスだけでなく、豆、魚、肉をバランスよく詰め込み、“都市生活のサプリメント”として設計されている。言葉だけじゃない、リアルな生活者目線のこだわりが、サラダに詰まっていた。

 商品は透明の容器に綺麗にレイアウトされていて、それをシャシャカっと上下に振る。すると、中のタレと野菜が調和して、美味しく嗜める。この体験的側面も食を通してのエンタメになっていて楽しい。

 その猛烈なプッシュに押されて(笑)、食べたが、、、「本当に美味しい!」と叫んでしまった。

 レタスの水々しさが瞬間的に口の中で広がり、甘みがある。だから、野菜でありながら、スイーツを食べている感覚に近い。その見栄えもあって、感度の高い人にこそ響きそうな仕様である。

 これ、なんで???と呟く僕に、ニッコリ佐藤さん。

 レタスの品種、栽培方法、切り方までこだわっているから。それは野菜への愛の裏返しである。そして、その調理へと派生し、「サラダ=付け合わせ」という先入観を覆すメニューは、“メインディッシュになるサラダ”という信念から生まれていた。

eimy sandwich──“熟成”という言葉に込めた、パン職人の哲学

「パンを発酵させるだけじゃ、足りないんです。」

 そう語るのは、eimy sandwichの迎井靖弘社長。 何気なく口にするパンではあるけど、本当の美味しさには物語がある。子どもの頃から父のパン屋を手伝い、パン一筋で歩んできた人生。その中でたどり着いたのが、“熟成”の大切さだという。

 発酵だけではなく、生地をしっかり“寝かせる”ことで、小麦本来の旨味や香りを引き出す。その熟成パンを活かしたサンドイッチは、まさに看板商品。

 中でも注目は、こだわりの卵とチキンを挟んだ逸品。しかもサンドイッチにとって良いパンとは何かという部分も追求している。想いを込めて熱っぽく迎井さんは語るのである。「薄力粉を使うことで、具材と一体感のある食感が生まれる」。その表情は、自信に満ちていた。

 秋葉原では、厨房で手作りするライブ感も提供。それをやるのは言わずもがな。味だけでなく、パンづくりの哲学を“体験”として感じられる店舗にしたいからだ。それぞれにそれぞれのストーリーがある。

タイ料理研究所──官僚からシェフへ。異色の経歴が生んだスパイスの魔法

「実は、元・公務員なんです。」

 そう語るのは、タイ料理研究所の運営企業の代表取締役 川口洋さん。それまで、役人だった彼は、海外を渡り歩く中で、ここに着地した。タイ料理が好きだからという一点のみで、脱サラして、自ら修行をして、それもこの店のため。1年間だけ修行させてほしいと頼み込んで、その後、それをもとに、店を立ち上げるに至る。

 一つひとつに人生の厚みがある。

 秋葉原ではじめての出店となる今回は、“本当に好きで始めた”タイ料理の魅力を、気取らず熱量高く伝えてくれる。溌剌とした“海外の”店員さんが笑顔で届けてくれる。ある意味、世界は一つだと実感させてくれる。

 厨房では、たっぷりの香辛料と情熱が鍋の中で踊っていた。実直で、ちょっとやんちゃで、でも心底真面目──そんな人柄が、料理の味そのものに染みていた。

とんかつ まい泉──老舗が挑む、新しい駅ナカのかたち

「厨房で“焼きたて”を出すって、実はすごく勇気がいるんです。」

 そう話すのはとんかつ まい泉。これまで駅ナカではあまり見なかった「ライブ感のある提供」に挑戦している。

 東京・上野・秋葉原の3拠点を結ぶ“駅間戦略”のなかで、秋葉原ではオープニング限定で“厨房仕込み”の特製サンドを展開。ここでしか食べられない「手仕事の味」に、老舗の新たな一面が見えた。

 そして何より印象的なのは、「厨房に集中できる環境づくりができたこと」。販売スタッフを置かず、調理に専念できる仕組みは、集中レジ+キャッシュレスという施設設計が支えていた。まさに、エキュート秋葉原だからこそできたチャレンジなのである。

ufu. 焼き菓子博──「本当においしい」を選び抜く、“スイーツの目利き”たち

「この焼き菓子には、“物語”があります。」

 スイーツメディアufu.がプロデュースする期間限定イベントには、編集長・坂井勇太朗さんの視点が詰まっている。

 全国から「本当においしい」と思った焼き菓子だけをセレクトし、エキュート秋葉原のオープニング企画として展開。特に話題なのは、「揚げ胡麻団子×クッキー」という斬新な発想の限定商品「MOG団子チャンク」。その奇抜さの裏には、“おいしさに驚きを添えたい”という想いがある。

 AKIBA LINKというエンタメ要素の強いエリアに、スイーツで“旬”と“物語”を持ち込んだufu.。焼き菓子を超えて、「編集された食体験」がここにあった。

ARROW TREE──“いちご”を通して、夢は関西から関東へ

 関西では“いちごの名店”として知られるARROW TREEが、ついに秋葉原でその味を届ける。

 ただフルーツを売るのではなく、“季節の恵み”をまるごと味わう体験を届ける。関東は立川などに続く、三店舗目。輸送の難しさや品質管理の壁を乗り越えて、関東進出を実現させたのは、その夢と覚悟だった。

 最近では、いちごも「どこでも買える」時代になった。だからこそ、ARROW TREEは商品そのものだけでなく、“魅せ方”や“世界観”をアップデートしているという。

「ちょっと上品に、でもワクワクする感じで。」

変化を恐れず、時代に寄り添いながらも、果実本来の輝きを追い続けるその姿勢が印象的だった。

アートも街も“捨てない”という思想──マグマが魅せるアップサイクルの可能性

 最後に、店ではないけど、アーティストについても紹介しておく。

 廃材が、ただの“ゴミ”では終わらない場所がある。エキュート秋葉原では、アーティストユニット「magma(マグマ)」とタッグを組み、地域で回収されたジャンク品や廃材を素材に、新たなアート作品として命を吹き込んでいる。

 magmaは、杉山純さんと宮澤謙一さんによるクリエイティブユニット。多様な素材を縦横無尽に組み合わせ、どこか懐かしさを感じさせるアナログ感と、独特な色彩のセンスで、国内外の多くのプロジェクトを手がけてきた。

 今回は彼らの手により、セルフレジの案内サイン、ベルトパーテーション、荷物まとめ台といった施設の“器”が、美しく機能的なアートに変貌している。

「日常の中に、ちょっとした遊び心と再発見を」──それが、magmaがもたらす空間の魔法だ。

秋葉原の街で見つけた“余白”に、新たな価値を見出すこの取り組みは、まさにエキュート秋葉原が目指す“未来と遊ぶ場”としての象徴とも言えるだろう

結び

 店舗をめぐるたびに思うのは、ここに集まる人たちの「届けたい」というエネルギーの強さだ。パンにも、スイーツにも、果物にも。一つひとつの“味”の背景には、それぞれの人生が宿っている。それらはいずれも、想いを持って、それぞれに物語があるからこそ、できるのである。その部分に大いなる敬意を評したい。

 そして、そんな物語に出会えるからこそ、エキュート秋葉原は特別だと言われるように、駅を変革してほしい。

今日はこの辺で。

参考:エキュート秋葉原が示す“駅の未来”──Beyond Stations構想の全貌とは?

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