おもちゃメーカーもお客様も頭を鍛える年末商戦 クリスマス見本市(玩具見本市)
「財布の紐が固くなっている」からこそコスパの良いおもちゃが増加し「原材料費の高騰が起こっている」からこそ、メーカーの苦悩が垣間見える。僕がやってきたのは今年のクリスマスの注目商品を集めた「玩具見本市」である。特に子供向けの知育系の商材が増えているのと、戦隊モノのグッズのものづくりの変容に時代を感じたのだ。
知育系のおもちゃが増加
「こちらです!」とバンダイのスタッフに案内されて、紹介されたのが「アンパンマン」に関連する知育系商材。一見するとアンパンマンが乗っている「アンパンマン」の形状の「乗り物」。でもこの通り、機関車に変わってしまう。
案外、写真の通り、複数の過程を経て、変形する。つまり、この形を変えることに頭を使う。子供ならずとも大人でもそれなりに難しいから、作った時に感動する。アンパンマンを素材にしながらも知育的な要素を入れて、少しでも遊ぶだけではない付加価値を模索している。
こちらはキャラクターは異なり、「プリキュア」であり、それでもやっぱり土台は、知育寄りの傾向が見られる。
一見すると、絵本。だがキャラクターごと、タッチする場所が変われば、スティックから発される言葉が変わる。ここでの遊びを通して、数字や英語を覚えてもらうページもある。楽しむことをベースにしながらも、学習的な要素を盛り込んでいる。
信頼ゆえに実用性に向かう
思えば、テレビアニメのキャラクターの場合、制作に合わせて、グッズが展開される。だから、タイムリーにスティックが出てきて、内容と連動している。グッズとアニメは歩調を合わせてきた。
ただ、それらは、あくまでアニメのファンを触発する材料。なので、そこまで知育などの要素が強かったとは言えないような気がしている。ただ、変わらないのは、親からの信頼も得られることが第一であること。一方で、変わったのは親の環境なのかも。
昔ほど、余裕があるわけではない。だから、財布の事情も考えつつ、コストパフォーマンスの良いラインナップを心がけると、子供の場合、知育系が増えることになり、こういう流れになっていく。遊べるし、学べるし、アニメと連動して、子供が夢中になる。
材料費高騰でメーカーも工夫を
一方で、原材料費が高騰し、開発現場も悩んでいる。そこに対応する商品作りが必要となった時に、例えば、戦隊モノのおもちゃの担当者は、そこでの工夫を教えてくれた。音が鳴る、光るといった仕様で作られることが多く見られるが、最近、その単価が合わなくなってきていると。
だからこそ、彼らは自分達の開発能力の腕の見せ所でもあると説明する。一見すると、いつもと同じように戦隊モノのグッズが並んでいるように見えりが、変化しているというのだ。
今まであれば、光る仕様であった。けれど、それを可動式にしたと言う。そうやって視覚的なものからギミックで楽しめるものにチェンジしたのだ。
ただ単純に、価格を高くすることは可能。だが、それをしたところで、結局、お客様は喜ぶことはない。だから価格は維持して、別の視点で考えれば良い。「楽しみ方の角度を変えています」という言葉に、頼もしさすら感じたのである。
ジグソーパズルの会社が女児もの?知育系?
上記では、テレビアニメ寄りのグッズの話題が多いが、僕は、ビバリーという会社の商品を見て驚いた。この会社は元々ジグソーパズルで有名なので「女児玩具?」と。
確かに「おもちゃ」といえば、女児もテレビ向けキャラでの展開が依然として多い。ただ、玩具の中身がクラフト系の要素が好まれる傾向が出てきているのである。
そうなると、TVアニメで使われているスティックでなくてもいいわけだ。そこで、彼らが女児向けの玩具として彼らが提供したのは、自分でパウチしてアクセを作ろうというおもちゃ。
熱圧着できる機材とトッピングパーツがセットになっています。だから、思い思いにトッピングして、セロファンを圧着して、詰め込むとパウチ状のアクセができるというわけだ。
彼らとしては純粋にクラフト系の玩具を提供し、ジグソーパズルでのネットワークを活かして「すみっコぐらし」とタイアップして、それらを提供している。つまり、世の中のニーズとして、雑貨テイストの玩具が望まれるようになり、それであれば、TVキャラではなくとも、ファンシーキャラクターと親和性を持たせることができるようになったわけだ。
かつそれらは文具などで存在感を示しているコンテンツだから、彼らの売場との親和性も高いわけで、ここが彼らの新しい女児向け玩具の売り先となり、伸び代となっている。
ここでも知育系、頭脳系
女児向け然り、彼らはさらに、知育的要素(頭脳系)の商品に参入し始めて、今年の年末勝負をする。ハシゴに決まった形状の人間を乗せていく。これが案外、難しい。
ハシゴ自体が不安定なので、前と後ろのバランスを考えて、人を乗せないと倒れる。
お分かりいただけただろうか。
かつてで言えば、コンテンツの力を使い、マスメディアと共に大きく露出。そこで、大きな売り上げを作っていく。そういう戦略だった。徐々に、メディアの影響力の低下や少子化、親の財布事情に応じて、変化が見られる。
玩具業界も、様変わり。これも時代の流れなのだろう。
今日はこの辺で。