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一歩先ゆく視点で光る個性 尊重するユーザー「NEW ENERGY 2023 秋」新機軸、新たな視点

 どんな商品も挑戦から始まる。その意味で関心を持っている。「NEW ENERGY」という催しは、既存とは少し違った視点でアプローチする企業や個人が多く集うから。半歩先を見たチャレンジャーたちによる「ものづくり」や「デジタル」は、僕らに気づきをくれる。

スケッチ感覚でECする?

 思えば、ECはもはや市民権を得るに至ったが、まだリアルのように、アーティスティックで直感的とは言えない状況もある。そんな中で、こんな切り口もあるのだな。そう僕が足を止めたのはSCSKプレッシェンドという会社のチャレンジである。

 オーダーメイドのECプラットフォームと言った方が良さそうにも思える。何が違うのだろう。少しわかりづらいかも知れないが、写真で見てもらえるだろうか。

 これがそのプラットフォームの画面で、タブレットを使うのである。画面上、右側に絵柄が書かれているのが、犬と猫の顔のアイコンである。それに対して空白の商品が左側にあって、この写真ではバッグのようである。これをタブレット上、右から左へと、そのアイコンを指でドラックしてその空白を埋めるのである。

 何が直感的かというと、指と指の間を広げたり狭めたりすると、その絵が膨らんだり縮めたり。つまり、アイコンは大小変化して、それをこの空白に落とし込むことになるが、その感覚が心地よい。今までであれば、AdobeのIllustratorで納品するだろう。あるいは、枠の中に沿って画一的にアイコンを貼り付ける仕様が殆どである。

デザインを楽しみ購入する時代へ

 例えば、スティーブ・ジョブズがデバイスからボタンを取り去ったよう。このプラットフォームは指先がアートを表現するその道具となるわけである。

 上の写真の通り、赤丸で示したイラストのように、そのまま入れてもいい。でも、青丸で示したイラストのように、ややはみ出して、一部欠けた状態でもいい。いずれもちゃんと製品になるように、設計されているそうだ。

 ライブペインティングのような感覚でTシャツやマグカップ、バッグなどを手掛けられれば、購入シーンが楽しくなる。より出来上がりも、イレギュラーなものが生まれますし、アートな才能を最大化させる試みとして、実験的にやっている。

 確かに需要はありそう。美術館のアートに絡めたり、あるいは、推し活グッズの一環として取り組めば、ブレイクする可能性を秘めているだろう。

 それに加え、その猫や犬もアーティストに書いてもらっても面白いかもしれない。以前、 記事で、動物をモチーフとした雑貨でブレイクしている作家がいることを書いたのを覚えているだろうか。デジタルデバイスを持って、アートを素材にスケッチする感覚でショッピングする時代。それもそう遠くないだろう。

進化した原点回帰。

 続いては、プロダクトでのチャレンジである。時代をうまく逆手に取った面白い視点だなと思ったのが「PaperShoot」。一言で言えば、進化した原点回帰。台湾で産声をあげ、ブレイク。その波が日本にもジワリと押し寄せ、ブームが起きそうである。

 語弊を恐れず言えば「デジタル版“写ルンです”」だ。でも技術の進歩が垣間見えるのは、フィルムを使わなくなった分、カード並みに薄い。ここがみそで、ポケットの中に入る。

 その薄さなのに、高品質な撮影が可能。フィルムに代わってその薄さに貢献した一つはSDカードなのだ。つまり撮影したデータはここで記録してiPhoneなどに入れて、保管するわけである。

アナログを楽しみ文化を見直す

 スマホがあれば撮影できてしまうだが、撮影という行為自体をエンタメしているから価値となる。そう思うと、「商品だけで完結させる」という考え方自体が古いのかもしれない。

 (左上の写真)スイッチでモードを白黒など切り替えられる。また、表面にありとあらゆるデザインを施すことができる。だから、それがインテリアとなり、持ち歩けるアクセサリーにる。感度の高い企業こそ、関心を示して(写真右)縦に並んだカメラの上から二番目は、スターバックスである。なんでもデジタルで済まされる時代に、アナログが何を提供できるのかに気づきをもたらしてくれる商品なのだ。

畳の縁で財布を作る

 新しい動きというとやっぱりここでも聞かれた「SDGs」。改めて、なぜデザイナー関連でSDGsが流行るのか。それは不要とされるものの方向転換は、直球では訴求しきれないからである。ひと工夫が必要なのだ。

 だから、デザインと発想を組み合わせて、違う使い道を編み出す。使いたい気持ちにさせるのは、いわば、デザインがもたらす功績。皆がこぞってチャレンジするわけである。

 だから、こちらは畳の縁を使った財布で「ha ve re」というそう。ファスナーがなく、自然に優しい設計にして、折り込み部分も小銭を入れるようにしている。随所にデザイン性が発揮され、利便性に直結している。

価値観をシェアして互いのフィールドでアピール

 また、これを紹介してくれたのは、広島のビーズメーカー「トーホービーズ」。この動きも昨今見られる動きだが、彼らは代理店なのだ。なぜ、本業でビーズを売っているのに、こういうものの代理店をやっているのだろう。

 実は、長崎の障害者就労支援事業所から彼らのInstagramで問い合わせが来たそうなのです。そのご縁で彼らは希望のビーズを提供し、障害者が自らデザイン、制作までを行い、同社が営業販売するなどした。それらは、ブランドとなり、これが逆に、ビーズ会社としてのプロモーションとなる。
 
 ちなみに、その障害者就労支援事業所と同じ代表が経営しているのが、この財布を手がけている会社。だからこの財布以外にも障害者がデザインする花瓶などを提供。それもトーホービーズが代理店をしている。

 つまり、価値観を共にする会社と一体で動き、お互いのフィールドとお客様の間で、想いを伝えていく。「商品だけを売って終わり」と考える商売ではない。互いの価値観を受け入れ、讃えあい、シェアする中で、商品がある。その視点に、今という時代を感じた次第だ。

どの個性に共鳴するか

 だから、新しい風を起こすこの展示会では個性を謳い、価値観を尊重する。それ以外にもフランスのオーガニックティーがあって、それは野生の植物を乾燥させて、一本一本、お湯に浸して、ティーとして楽しむ「ル・ベネフィック」。

 これらもそうですけど、花屋が代理店をやっています。そこで、お茶を扱うのは、少し異例だし、それらは花からすれば、割高かもしれないけど、でも購入者がいるのは価値観に共鳴しているから。

 この時代、皆が富裕層とは限らない。でも、その中で購入者はどの価値観であれば共鳴し、お金を少し割高でもかけていいか、それを取捨選択して、人生の充実感を手に入れようとしている。いわば、フルゴージャスは無理でも、部分的に、プチゴージャスを楽しむ時代。そこにこういう付加価値は合致する。新しい風は、こういう考え方の中で今広がっているので、要注目なのだ。

 今日はこの辺で。

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