サニタリー用吸水ショーツで経血量の測定 着用だけではない“Be-A Japan”の世界初 提案
女性の生理に関しては、それだけ市民権を得てきたし、でもまだやるべきことはある。そう語るBe-A Japanはそのマーケットでは先駆者的存在。今から数年前、まだ国内には存在しない「サニタリー用吸水ショーツ」を投入。生理用品特有の不都合を華麗に解決して、女性の日常を変えた。彼らの見据える先は、女性の未来である。経血を計測できるショーツの存在で、将来の健康を守ろうというのだ。
”Be-A Japan” 吸水ショーツ あらゆる視点で女性を救う
1.吸水ショーツも少し前まで珍しかった
経血の量を計測する?「その発想自体が今はまだ女性の間ですら、ないでしょうね」と代表取締役 高橋くみさんは笑い、でも目には闘志は漲っている。ヒットというのはまさにそのような状態で生まれるものだ。実は、彼女が日本で先駆的に「サニタリー用吸水ショーツ」を手掛けたときも同じようなものであった。
今でこそ、サニタリー用吸水ショーツについては耳にする人も多いだろう。が、生理に関してはナプキン、タンポンといったものが圧倒的で、ほんの数年前までは馴染みのないもの。でも、当時、彼女は自らの社員の行動に着想を得たのだ。
Be-AJapanはそれまでも美容系の商品を扱う会社であったから社員は全て女性である。
なのにも関わらず、生理用品は、他の社員に配慮して、ゴミ箱に捨てることなく、持ち帰られていたのだ。つまり、生理に対しては男女間どころか、女性同士でもオープンになりづらいタブーとも言えるものだったのだ。その環境を痛感して、彼女は吸水ショーツに着目することになる。
2.生理用品をそれだけ使うから際立つ吸水ショーツ
なぜ吸水ショーツか。そもそも僕自身、驚いたのはその生理用品の交換回数である。多い人で1日7日〜10回。このことを聞くと、それらの嫌な要因が一気に解決される「吸水ショーツ」がいかに感謝されるかがよくわかるだろう。しかも、日本ではまだ馴染みのない段階でトライしたのだというのだから、いかに画期的なのかも、伝わってくる。生理のタイミングでも、わざわざ生理用品を持って、何度もトイレに駆け込む必要はなくなることを考えれば、当たり前の話だったと言える。
実際、彼女曰く、既にサニタリー用吸水ショーツは海外には存在していた。しかし、漏れなども起こりやすく、品質がよいとは言えない。ならばと自ら商品企画をして、万全を期してクラウドファンディングを行った。下の説明でもわかる通り、まず洗いやすく、乾きやすい設計にしている。そして、経血量が多くても耐えうる仕様なのである。その商品力の高さと必要性を合わせて、世の中に問うたわけだ。
これが受け入れられた。1億円超えという想定外のお金を集め、販売に漕ぎ着け、今の立ち位置をにぎる原点となる。結果、そこにとどまらず、今や累計で約10万枚のセールスを得るに至った。言うなれば、彼女達は女性の日常に新たな文化を築き上げるのである。
3.売りたいというより女性が過ごしやすい文化を作りたい
ただ、売れると分かった瞬間に、安易にそれらの「サニタリー用吸水ショーツ」を手掛ける企業が増えたのも事実。嘆かわしいのはそれによって「安かろう悪かろう」の商品が増加したことだ。
だから、彼女自身は逆に生理の問題を取り上げ、各地で講演することで、その裾野を広げる努力をしてきた。商品云々の次元ではなく「もっと女性にとって当たり前の幸せを」そう唱える先に、この商品があることを強く印象付けるように訴えてかけてきた。それが先ほど「文化を築き上げた」と書いた所以である。
だから、この「経血量を測る」という吸水ショーツを着想するのも自然な流れであったろう。だから、彼女はより良き商品を作るために、これまで7000人もの消費者の声に耳を傾けてきたと胸を張る。必然的に、お客さまの悩みや実態も近いところで実感できたから、次なる発想もその延長上にある。
経血量の測定は、小手先で売れるからと言って作った企業には到底、思いつかない発想だろう。先ほど、触れた通りだけど、1日、何回も生理用品を取り替える人がいるくらいで、それだけ出血しているということ。それなのに「交換するだけでその量を測っている人は皆無だった」と高橋さん。それがヒントになった。
経血量を測るデバイスに
1.吸水ショーツの先駆者だから見えるその可能性
依然として生理はオープンになっていない風潮もまだ残る。女性もその生理の処理に追われ、それ自体が教えてくれる価値にまで目はいかないわけである。
思えば、女性の四人に一人は子宮筋腫にかかると言われている。女性は若い頃から健康を継続的に意識するべきであり、そこに寄り添う存在が必要である。彼女は自ら手がけたショーツのポテンシャルを「ヘルスケア」で見出そうとしたのである。
その想いのもと、何人かを介して出会ったのがミツフジ。ミツフジは西陣織帯工場で創業。その後、着るだけで体の状態が分かるウェアラブルデバイスを開発。要は、導電性に優れた銀繊維をセンサーとすることでそれを可能にしたわけである。
2.ミツフジの技術で道が開ける
だから、この有能な銀繊維を応用する形で、ショーツに取り入れれば、それが可能であるはずだという考えに至った。その後、研究がなされた末に試行錯誤を経て、経血の量を測れるショーツの商品化が可能という判断に至り、今回の発表に至る。そこで描くイメージは下記の通りだ。
これらの技術を使い経血の量がわかれば、あとは、それをスマホアプリと連携させる。すると、多くの女性は常時、スマホ上で自らの健康管理ができるというわけである。まさにショーツの進化である。今までは「機能性インナー」であったけど、着けることで「健康診断」ができるデバイスへ。
発売は来年の予定。勿論、それが実現すれば世界初というわけである。
3.吸水ショーツにはじまり吸水ショーツに終わる
繰り返すが、彼女達はまず「吸水ショーツ」を手がけてそのマーケットに先鞭をつけた。生理に悩まされる要因をショーツを履くことで、日常生活から取り除いたわけだ。それらは高く評価されショーツが浸透するほど、彼女達は、今度はその活かし方まで考えが及んでいる。その答えとして「経血の量を測る」という機能を備えて、それがまた、再び、形を変えて多くの女性の幸せに寄与するわけである。
これらにより従来の「吸水ショーツ」の裾野が広がることも想定でき、相乗効果を図ることもあるだろう。何より大きいのは、それらをきっかけに、より高いレベルで生理に向き合う女性同士の文化が形成されることであろう。
だから、僕は書いたのだ。生理というマーケットに商品で先鞭をつけた彼女達だからできる大きな一歩だと。吸水ショーツのあるべき姿を通して、女性の笑顔を思い浮かべる。これらの商品は、まさに女性をやさしくいたわり続け、挑戦する彼女達らしい姿勢そのものなのである。
今日はこの辺で。