常識を覆して新しい魅力を掘り当てた 「文具女子博」
「きっと好きだと思うので、言ってみたほうがいい」そう勧められたのが「文具女子博」というイベントである。僕は女子ではないのだけど。思いながらも文具を眺めるうち、満面の笑みを浮かべていた。何が楽しいって良い意味で裏切ってくれるから。「商品ってエンタメなんだな」改めてそれに気付かされたのである。
文具ってエンタメだったんだ
1.凛としたアートな折り紙
折り紙と聞いて、当たり前に紙の折り紙を連想してしまうだろう。しかし、冒頭の写真を見ていただくとわかるがその透明感とツヤが折り紙のイメージを覆す。「オリエステル折り紙」という。製造元の東洋紡は、独自の技術を用いて、折れ曲げ性のあるポリエステルフィルムを開発していて、折り紙に応用したもの。
紙と比べても破れにくく、水にも強い。しかもここに印刷をすると、繊細なアートに変わっていく。透明であることを生かして、分度器模様など、柄はユニーク。
なかでも、薩摩切子模様 弟子丸は、秀逸。美の匠 ガラス工房弟子丸とコラボレーションし、器のテイストをこの柄に取り入れた。格式高くて、折り紙とは思えぬ仕上がりで、アクセにも使える。些細な工夫で、ここまで見違えるものなのだな。
2.ノリの良さが売り?「フエキくん」等、思わず笑顔の商品群
長く愛されるだけの人気がある。昔懐かしい澱粉のり「フエキくん」をご存知だろうか。1975年の発売以来、園児や学童の集合教育に適した安全な品質設計の楽しくてかわいい見た目で、今もお馴染みのロングセラー商品である。そのキャラクターは、今や一人歩きして、もはや澱粉のり枠を越えて、さまざまな商品が出ている。
目に止まったのは、陶器でできたフエキくんの貯金箱。こちらは貯金箱で、後ろに穴があるのだが、500円玉が入らない。これは発売当時、まだ500円玉がまだ存在していなかった名残を残そうと、わざとそのような設計にしているのだという。貯金箱は限定品だが、メモ帳やクリアフォルダー、ボールペンなどはオンラインストアなどで買えるので是非見て欲しい。
3.シャチハタと見せかけて、、リップ??
いい意味で裏切られるというのは気持ちのいいものだ。こちらは一見するとシャチハタのように見えるが、違う。実はリップである。よくよく考えれば、シャチハタの形状はリップのそれに近い。だから、いっそ、シャチハタにリップを入れたわけで、これがヒットした。
ただ、メーカーに話を聞くと、元々はこちらが先で、と見せてくれたのが、なんとチークである。なるほど。人って面白いもので固定概念があるから、この色合いでこの形状であれば、シャチハタと思い込んでしまう心理を逆手にとってのアイデア合戦。楽しい。
何気ない楽しみは、何気ない固定概念の裏側に実は潜んでいるのかも知れない。身の回りのものを今一度、見直し、商品のアイデアにつなげてみてはいかがだろうか。
今日はこの辺で。