精工パッキングなど、コロナ禍 でも明るさもたらす 逸品達 町工場 の素敵さも
日本には優れた「ものづくり」の価値があると思っている。東京ビッグサイトで9月2日から4日まで開催された「第15回 ライフスタイルWeek 夏」でも、そういう「ものづくり」の価値を示す職人魂が溢れる逸品が集っていた。 コロナ禍 で沈んだ世の中ではあるけど、それらに対して、明るさをもたらすキラリひかる、職人技の 逸品 たち。 町工場 の人たちの熱意も僕は感じて、そこに、スポットを当てて記事を書いてみた。
コロナ禍 で 脚光を浴びた逸品
輪ゴムで個性光る 精工パッキング魂
昨今、コロナ禍の中で、必需品であるマスクだが、そこでも少し他とは違う差別化に、職人技が一役買っている。写真を見るとわかるのだが、このマスク、ゴムが見えない。
それもそのはず、横についている輪ゴムの細さは0.2mmほどであり、これは有限会社 精工パッキングが自ら手掛けたオリジナルの輪ゴムである。多くの輪ゴムが1mmなので、その細さは5分の一だというのだから、いかに細いかお分かりいただけるだろう。
「強くて優しい」という設計で、伸縮性もあるけど、切ろうと思えば楽に切れやすいので、利便性と安全性を兼ねているのだ。使う用途も多様性に満ちていて、ガーゼやティッシュなどを用意すれば、それを折り畳んで、この輪ゴムを挟んで使えば、そのまますぐに防災用などのマスクとして利用できる。
非接触に貢献した真鍮の魅力 富士産業
続いて、昨今、非接触が叫ばれている中で、例えば、スマホをはじめ、様々なタッチパネルに触るのに抵抗がある人がいる。そこで、街工場の技術がまた貢献している。それが株式会社富士産業の「キャプテンフック」であり、この商品はスマホに反応するので、手で直接触らずとも操作ができるというものである。
「人間の手じゃなくても反応するんですか?」そういうと、誇らしげに「その秘密は、真鍮製だからです」と話してくれた。実は、真鍮は通電する力を持っているので、このようなことも可能にする。
ここにも、富士産業なりの素材に対する愛情が感じられる。この会社はずっと真鍮に向き合い続けてきた。どんな素材にも様々な個性と活かし方があって、僕も、真鍮にそんな魅力があるのは知らなかった。いわば、この商品はこの会社の真鍮愛が為せる技。いうまでもなく、今の人たちのニーズに応えている。
布物が彩る 心躍る 「irodo」
その他では株式会社扶桑 の「irodo」という名の商品である。ファブリックステッカーという言い方でその使い道を表現する。シールのようなのだが、布地に簡単に貼り付けられ、特殊な「のり」の技術がこれを可能にした。
例えば、写真のように、可愛らしいイラストが描かれたシール状のものを布の上に置いて、擦るだけで良い。すると、布地にそのイラストが貼りついて、これは洗濯をしても剥がれないという優れものである。
見慣れた日用品でも、これひとつで全く印象が変わる。家での生活が増えている昨今、こういう創作系の楽しみ方は、あらゆるものを彩豊かにして、人の気持ちを明るくさせるのではないかと思う。
落書きがデザインになる楽しさ らくがきマーカー
何気ないものが生まれ変わるという意味で、株式会社エポックケミカルの商品も町工場ではないけど、紹介したい。彼らは文房具を扱う会社と言いつつ、バラエティ雑貨のような大手にはない独自の発想で楽しませてくれる。
らくがきマーカーは、食器やグラスなどにペンで描くことができるのだが、それをオーブンで熱すると、そのまま描いた柄がその食器やグラスの柄として定着し、以後、洗っても落ちない。
これは、ペンのインクの成分にこだわることで、文房具でお馴染みのペンが彼らなりの「遊び心」を演出する材料へと変わったわけだ。すでに見慣れた家にあるもので、世界に一つだけのインテリアに早変わりする、その感覚は人を好奇心へと駆り立てるのである。
このようにして、何気ない材料でも、その価値を信じて、職人魂を込められた先には、そのものの価値に気づかせてくれる。時代は変化しようとも、それに合わせた全く違った価値を引き出すのは、その素材への愛、お客さんへの思いじゃないかと思う。世の中の既成概念を打破し、彼らの取り組みは、どんなものにも可能性があることを示し、僕らを勇気付けてくれるのである。日本に、誇りある物づくりを。
今日はこの辺で。
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