普通のOLが絵描きに?河野ルル メキシコでの驚きの行動で人生を切り拓く
「事実は小説よりも奇なり」僕はアーティストの河野ルルさんに会って、それを痛感した。「このイラスト、いつから描き始めたのですか」という僕の問いに「実は、最初、OLをやっていて、2014年くらいからですかね、大人になってからです」と言われて、さぞかし一念発起のチャレンジだと思っていたら、全然違っていたのだ。
河野ルル さんの嘘のような人生
1.絵と接点はまるでなかった
一念発起のレベルが違う。僕は勝手に「子供の頃から絵が好きでそれが諦めきれなくて」とでも言うのかと思って話を聞いていたら「それまで、絵との接点は全くありませんでした」と言われて、ズッコケた。「じゃあどうして?」と聞く僕。
「旅行です」とルルさんは笑う。
実は、彼女は根っからの旅行好きで、世界を旅しようと考えた彼女は、まさにそこで一念発起してOLを辞めてしまった。全くそのエピソードに絵が出てこないものだから、痺れを切らして、「どこで絵が?」と聞いた僕に、照れた顔で、「お金が底をつきまして」と。
2.宿代代わりに絵を描いた
泊まったホテルで壁画を描くので、泊め続けてほしいとお願いをしたのだそうだ。しかも、驚きなのはそれまでの人生で彼女は全く絵を描いたことがないという事実だ。「み、未経験で!?」と叫ぶ僕。そんなことがあるのだろうか?と思ったわけだが、それがメキシコの町だと聞いて、ピンときた。
お金がなくなったのがメキシコだったのが運のツキだったのだ。実は、メキシコというのは壁画が盛んで、それは過去、壁画革命という運動が存在していたからだ。
3.実はメキシコは壁画で有名
例えば、渋谷駅にある岡本太郎さんの「明日の神話」はまさに、それに感銘を受けた彼が、メキシコのホテルに向けて手がけた作品なのをご存知だろうか。まさに、そのくらいメキシコでは、壁画が当たり前に浸透しているからこそ、彼は敢えて題材に原子爆弾を選んで、ホテルのフロアに飾ったのだということをふと思い出したのである。手前味噌ですが、こちらの記事を見てもらえれば。
少し話が逸れたが、つまり、そのくらいメキシコでは壁画という文化が人々に浸透していたから、ホテルは彼女の要望を快く受け入れ、難を逃れた。
4.以来、絵を描き続ける人生
さらに驚きなのは、そのホテルだけではなく、何個かのホテルを転々として、いずれも壁画を描き続ける代わりにタダで泊まっていって、そこから彼女が絵にのめり込んでいったというのである。
その後も、嘘のような本当の話は続き、絵を描き続けていたら、大阪のとあるコンペで最優秀に選ばれるなどして、本格的に河野ルルさんが本格的に、絵を生業にしていくことになっていくわけで、2018年には「絵を描くことに恋をして」という本まで出版されたのだという。
昨今は、国内に拠点を移してはいるが、横浜のショッピングモールなどで“壁画”を描き続ける日々なのである。まさに、今や単なる旅行好きなOLは、今やアーティストとして張り切る毎日である。なにがその人を輝かせるかわからないものだ。
今日はこの辺で。