異例づくしで母とベビーを触発「シナぷしゅ」
「おもちゃショー」で数々のおもちゃに触れながら(参考)、あれ?これは??そう言って足を止めたのが、今話題のコンテンツ。僕が惹かれたのが「シナぷしゅ」である。ご存知だろうか。
・罪悪感なくテレビをベビーに見せたい
「 シナぷしゅ」は、主にベビーを対象としたもので、元々はテレビ番組である。
きっかけは、テレビ東京のプロデューサー飯田佳奈子さんが自らの育休中に着想したことにある。自らの子供に対して罪悪感を感じずに見せることができる番組を作れないだろうかと考えたことに端を発する。興味深そうに話してくれたバンダイの商品担当者もまた、母でリアリティが増す。その担当者は最近、子供を連れて、映画も見に行ったくらいである。
ちなみに、番組名の由来となっている「シナプス」は脳の神経細胞と神経細胞の間にあるつなぎ目のことを言う。つまり、脳の神経細胞は、成長にしたがって「増える」のではない。シナプスによって「つながる」ことで発達するのである。だから、適切な刺激でシナプスを増やしていこうというわけだ。脳の発達につながるだけではなく、赤ちゃんを育てるすべての人の肩の力が「ぷしゅー」と抜ける。
そんな意味合いがあって、作られたと言う。
・映画化でも異例の中身で脚光を集める
先ほど書いた通り、2023年5月には映画にもなった。バンダイの担当者も前のめりで話を続けて、その時の様子を語る。聞けば聞くほど、異例づくしだ。
金額は大人も子供も一律千円で40分程度。歌い、踊り、歩き回る0から2歳のベイビーたち。そういう動きも配慮して照明も音量もやや控えめだった。不思議と皆が親であるからこそ一体感が生まれる。映画もさることながら、子供との時間を有意義に過ごせたと言うのである。
見るだけではなく、体験し、心通わせる。映画に新しい価値を見出したのではないか。
さらに、ブレイクしている理由は、単純に番組の世界にとどまらないからでもある。どうしてもテレビ局という枠組みにとらえると、そこで囲い込もうとする。けれど、この番組はテレビ東京で放映されているものの、その放映直後にはYouTubeにアップロードされる。
テレビ番組を起点にしているのに、いつでもどこでもそれが確認できることも、画期的。いわば、発信力の強さをフックに、テレビ番組自体を販促材料にしているようにも見える。
・商品化面からもベビーへの想いあふれる
だからこそ、バンダイも昨年から強い関心を持ってこのコンテンツを見ているとか。昨年から商品化に関わるとともに、着実にその売り上げを伸ばしていることから裾野が広がっていると言う。
当然ながら、知育を意識した仕様であり、積み木のようにしてバッグの模様を埋めていく。少し成長すると、バッグなどは持てるようになることから、遊び要素を追加したわけだ。
YouTubeを見ればわかるが、音楽が印象的。そこで、「シナぷしゅ」の声を楽しめる玩具も用意しており、ボタンを押すと童謡やキャラクターが声を出すというわけである。ここでも、数字を押すと、英語で答えるなど、教育的な側面を取り入れることで、玩具は玩具で子供たちに寄り添う設計を意図している。
改めて、女性の感性が発揮されたコンテンツ。母目線で、子供にとってプラスになる価値は何かを考え、広がり、新しい場面を想像をしている要素に新しいビジネスチャンスがあると思った次第だ。
今日はこの辺で。