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メタバースは今 誰もが必要なデジタル上のアイデンティティ

 今、目の前にあるリアルの世界だけが、あなたのアイデンティティを示せる場所だろうか。いや、それはないだろう。第10回「FaW TOKYO」でフィナンシェ代表取締役の國光宏尚さん曰く、「未来においては、デジタル上でのアイデンティティの存在感が、価値を持つ」。下手すれば、リアルを凌駕するほど、影響力を持つポテンシャルを秘めていることを彼の話から痛感したのである。

利用する側は寧ろ、デジタルの方が気軽に交流できる

1.交流の場としてのデジタル

 デジタル上のアイデンティティ。それは、一例を挙げれば、メタバース上での自分の姿もそうである。それから、ARで表現される自分もそう。リアルとは別に存在する自分がそれであって、そこには現時点ではリアリティを伴わないように思える。「まだまだ、先のこと」。そう思っている人も少なくないのではないか。でも、國光さんは「決してそんなことはない。ここ数年で世界は変わる」と断言する。

 例えば、若い世代は、リアルよりもLINEやフォートナイトなど、当然、バーチャル上で友達と交流している。移動がない分だけ、リアルよりも出会うまでの敷居が低い。注目すべきは、リアルよりもバーチャルでやり取りする時間の方が長くなっているという現実。時間が長くなれば、当然、その世界で自分を着飾る。それこそが自分という存在を示すアイデンティティとなるからだ。

 リアルの世界でおしゃれな服に身を包むのと同じ話。それが、リアルよりも、デジタルの時間が増えれば、そこでの表現が重んじるようになる。「それは自明の事実」とした。

2.Z世代以下が欲しいものはデジタル上にある

 これは、信じられない話かもしれない。彼曰く、それを象徴することがデータとなって出始めている。特にZ世代よりも年齢が低い若い層に特にその傾向が顕著に見られる。具体的に言えば、海外で、この層に対して「プレゼントで欲しいものは何か」と問うたのだという。その調査に寄せられた「ベスト10」で、リアルの商品は何個入っていたと思うだろうか。

 答えは、わずか一つ。なんと「レゴ」のみだ。

 それ以外は、全てバーチャル上のものであった。例えば、一位は「ロバックス」。馴染みがないかもしれないが、「ロブロックス」というゲーム上の仮想通貨だ。つまり、ロバックスの方が現金よりも価値があって、リアルの商品よりも魅力的なのである。

創造する側の利点も大きい

1.クリエイターも出すほどに才能が開花する

 また、デジタルはクリエイターのエコノミーも守っていく。それは例えば、リアルの場合で言えば、創作物が一度、作者の手を離れれば、作者にとっての利点はない。最初、送り出して終わりである。しかし、デジタルであれば、ブロックチェーンの技術により、その経路を辿れる。だから、二次流通にそれが流れた時に、真価を発揮する。つまり、人から人へ譲渡されるたびに、大元のクリエイターの元にも一部、金額がフィードバックされる。

 だから、才能が発揮されるかどうかはわからない。しかし、一度、それが誰かにとって価値を持つものになれば、広がるほどに、インセンティブが入るのだから、リアルよりもそちらに力を入れていく。つまり、アナログ以上に、クリエイターにとっての恩恵が大きいので、一度、そこに人が多く存在するようになれば、そこをマーケットにして一気に、広がる可能性があるというわけである。

2.表現の幅はフィジカル以上に広い

 リアルの表現をフィジカルとすれば、造形物の素材など、物理的な要因で表現しかねる部分がある。しかし、デジタルであれば、同じシューズを作るにしても、色合いやフォルムなど、そのクリエイティブの幅はかなり広がっていく。つまり、デザインの拡張性があるという視点で考えても作り手サイドに興味関心を抱かせる要因が多いとしている。誰にもない表現を生み出せば、それが上記の通り、話題とともに一気に、跳ね返ってくる。

 それがNFTの真骨頂。NFTは概して、株式と似たような位置付けで「資産性」を持つとされる。登記目的の様相を見せつつも、アートとコミュニティとしての特性がある点で、拡散性を秘めている。それを持っていること自体が、先ほどのメタバース上、持ち主にステータスをあげていくだけでなく、それ自体が流通するからである。ステータスになるから、その主張に共感が生まれ、コミュニティも形成される。実際に、最近でもNFTをきっかけにオフ会などが行われている実態が見られている。

ナイキも着目したデジタルアイデンティティ

1.ナイキのRTFKT買収劇

 こうした動きに有名ブランドも関心を持ち始めている。いち早く目をつけたのが「ナイキ」である。彼らは、その証拠に、最近、RTFKT(アーティファクト) という会社の買収を発表した。アーティファクトは既存のブランドの世界をオールドワールドと表現し、デジタル上に必要なアイテムをNFTとして提供している。

 つまり、ナイキはこういう感度の高いアイテムをデジタル上に作れるノウハウを手に入れるために、ナイキは同社を買収したわけだ。言うまでもなく、それはナイキのシューズをNFTの世界でも浸透させようというわけである。

 注目していただきたいのは、彼らの説明である。「ナイキは靴を売っている会社ではありません」。

2.もはやデジタルは人々のライフスタイルそのもの

 ナイキは買収にあたってこう述べている。「ライフスタイルを提案している会社なのです」と。

 かつて、マイケルジョーダンにそのシューズを履いてもらったのは、そこに憧れのライフスタイルがあったから。未来を想えば、憧れの対象もそれだけではない。多様化するだろうと。例えば、eスポーツのプレーヤーなどに憧れる人が出てきた時に、ナイキはしっかりそことも連携していく。なぜなら、人々の憧れのライフスタイルを提供していく会社だからというのだ。

3.何もメタバース上だけで表現されるものではない

 かくして、デジタルの波は徐々に押し寄せようとしている。ただ、それはメタバース一択ではない。いきなりメタバースの世界に入らずとも、着実にその足音は聞こえている。その証拠にVR市場が既に活況に湧き始めている。視覚や聴覚、運動感覚に訴える人工的な空間をコンピュータによりつくりだし、人間があたかもその環境に埋没したように機械と対話できる技術である。

 そのVRのデバイス「Meta Quest 2」は世界で2000万台、普及しているとか。

 この数字が何を意味するか。國光さんはそこで「PS5」の販売台数と比較して説明しており、その数も2000万台である。つまり、それだけ一般的なインフラとして整っているという現実。そして彼はこう話した。

 「『Gorilla Tag』を知っていますか?」と。これは、VRの中でゴリラの格好をして鬼ごっこする。ただそれだけのゲームだとか。しかし、アクティブユーザーは260万人を数えている。ゆえに、それが商売にもなる。それ用のゴリラのスキンは、実に日本円にして、40億円も売れている計算になる。

 メタバースやNFTに限らず、そもそも、デジタルの中で確固たる自分のアイデンティティを確立することが大事な時代。そこに関連して企業は何ができるかを考える。それは、遠い世界の話ではないから今のうち、準備しておくことが大事なのである。

 今日はこの辺で。

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