GUCCIからオファーを受けた「ばなにゃ」 日本のキャラの底力?「コンテンツ東京 2022」巡り
「GUCCIってあのGUCCIですか?」日本ではまだ馴染みが薄い(と言っては失礼だが)「ばなにゃ」。そのキャラがコラボした相手が、GUCCI。つい叫んでしまった。コンテンツ東京というイベントで遭遇した、最初のコンテンツの衝撃がそれである。
コンテンツ東京 2022 でGUCCIに遭遇?
1.その正体はばなにゃとのコラボ
え?なぜ?「ばなにゃ」というキャラはバナナの中に潜む不思議なニャンコ。本物のバナナに紛れて暮らしている。これこそがコンテンツ力の力の大きさなのではないかと僕は思うのである。
その奇跡のコラボのきっかけはアニメ配信のプラットフォーム。全世界に同時配信されたのである。世界の人が目に触れる機会が以前より圧倒的に増えたことで、日本のコンテンツが思いがけず力を発揮する機会が増えているように思うのだ。
「GUCCI」のデザイナーはそれを見るなりオファーが寄越した。嘘のような真実。
2021年5月からTシャツ、パーカー、靴やアクセサリーが展開され、今も全国のGUCCIショップやオンラインストアで販売中。2022年版も第二弾の新商品に関して、現在企画が進行中である。
以前、実は、僕がこの版権元であるクーリアと接触したことがある。その時は、「しずくちゃん」というキャラで、絵本などその世界観を重んじる姿勢は今も印象に残っている。その職人肌が報われた側面もあるのではないかと思う。価値を育てることの大事さである。
2.Barbieに見る時代への順応
それ以外では、伊藤忠商事がエージェントを務める「Barbie」に目が止まった。古くからあるコンテンツでも時代への適応が必要であるということを感じたからだ。
「Barbie」は元々、世界的に有名なファッションドール。ただ、ドールといいながら、洗練された大人の女性が闊歩する姿が特徴。その洗練された容姿は、大人を魅了するもので、おもちゃの新しい可能性を築いたと言って良い。ただ、さすがと思わせたのは、今という時代を思わせる要素を盛り込んでいる点である。
実は、よく見ると、義足のドールや、車椅子で移動するドールの姿が見られるのだ。ファッションで最先端をいく世界において、それは健常者だけのものではない、と商品を通して、そのメッセージを伝える。全ての人の価値を受け入れ、対等に楽しむ世界を、このブランドは表現しようとしているのだ。
ドールハウスの素材ですら、海洋プラスチックなど環境に配慮するものを取り入れて、企業としてあるべき姿を提示しているのが、色々な意味で先進的である。
3.文具での知見を活かした練られた世界観
また、そのほか、従来は違ったところで存在感を持つ企業がライセンスにトライして、伸びているキャラも見逃せない。本来、ファンシー系文具企業のカミオジャパンも、最近は、もっぱら、ライセンサーとしての活躍ぶりが目立つ。
「いーすとけん」がそうで、パンの形をしたワンコ。酵母菌なのか犬なのか、パンに混じって生息している。笑。
「しばこっぺ」「ホットダックス」「カップパグ」という具合にバラエティーに飛んだキャラクター設定はコレクティブ要素もあって、飽きさせない。
結局、5年の長きに渡り、ライセンスを続けることになっている。自らはメーカーでありながら、直接、商品化していない。つまり、ライセンシーだけでまわっているという現実がそこにある。
やはり、日頃、文具で培っているデザイン性は、ここで生かされているのだと思う。世界観の活かし方もわかっているから、コラボカフェなどのイベントも奏功。
確かに「しばコッペ」をモチーフにした「コッペパン」などが注文できるなど、ファンならずとも、惹きつけられる世界観に溢れている。下手な広告を打つよりは、世界観を重んじて、体験型のイベントを実施することの方が意味があることを象徴している。
4.よりボーダレスで何がきっかけになるかわからない
仕掛ける側の視点も変わってきていることが分かる。また、ユーザーが発信しやすい環境があることで、商品やコンテンツの中で、積極的に自分たちのメッセージを意図的に入れていることがわかる。まさにユーザー起点で人気は拡大していく今の現象を映し出した格好である。
SNSなどでボーダレスになっているだけに、その受け入れられ方は、多様化しているけど、いずれもその世界観へのこだわりが、実っている形である。
昨今のキャラの傾向を見ているだけでも、多種多様である。しかし、いずれも、世界観へのこだわりが強く、それがプラスに働いている事を忘れてはならない。可愛らしい世界観と想いある姿勢は、人を惹きつける要素があるのだ。
今日はこの辺で。