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追い続けていたのは「デザインの使い道」 デザインをテコにJSAの着眼点は今にも生きる

 世の中は変化しているのだけど、人の心は変わらない。デザインはその意味で、時代と近しい関係性にある。大事なのはその素材を変えつつ、その時代に生きる人の気持ちにどれだけ寄り添えるかではないか。ジャパンシステムアート(JSA)代表取締役 辻富士雄さんの話は、その意味でとても興味深い。

ジャパンシステムアートに想う「 デザインの使い道 」

1.キャラクターの会社だけではなかったのか

 僕は、失礼ながらJSAについてずっとキャラクターの「エージェント企業」というイメージで受け止めていた。けれど、辻さんと再会してみると、今になってそうではなかったんだなと気付かされる。彼は何を追い続けていたのか。それを一言で言うなら「デザインの使い道」だと僕は思った。

 古くからキャラクター業界など、デザインに深く関わりを持ちながらも、話を聞くほど、実は視点が新しい。その度、今までにない活路を見出しているのは「デザインの使い道」が原点にあるからではないか。その着眼点は人の本質を捉えている。言い換えれば、普遍的なものだから今にも応用が可能。だから創業から30年以上、彼はこうして会社を経営しているのだと痛感した。

2.キャラはデザインを活かしたメッセージ手段

 そもそも辻さんは広告のデザインなどを手掛けていた。しかし、そこに活字が増えてきて、もっと「絵を通して簡単にメッセージを伝える」ものはないかと考えた先に、キャラクターがあったのだ。

 だから、自らオリジナルでキャラクターを開発。それを商品の中で利用してもらおうと考えた。言うなれば、彼らはキャラクターに様々な意味合いとメッセージを込めた。それはデザインができる企業の真骨頂である。それらのキャラは人の心を動かす大事なコンテンツとして、様々なところで起用されるに至るのである。

 ただ、だからといって、キャラクターのビジネスにこだわっていたわけではない。自分達がやろうとしていることの手段として、それが適切であっただけ。それは、彼のやってきたことの中身を聞くとより理解できる。

3.ずっと追い続けていたのは「デザインの使い道」

 実は、JSAの起業当初、彼は大手の文具会社に、レターセットの提案を持ち込んだ事があった。便箋と封筒、それは何気ない手紙のツールではある。しかし、ここに可愛らしいデザインを装飾することで、その手紙に付加価値が生まれると考えたのだ。

 この発想は、提案した文具会社に限らず、多くの企業が取り入れることになる。今や、レターセットを見るのは当たり前にすらなっている。でも、その多くはそれが売れるからと言って皆が真似しただけのことであり、見るべきは、手紙に付加価値をつけようとしたその経緯の方にある。

 これも、結局、「デザインの使い道」なのだ。この発想が、今に通じると説明したのは、レターセットが今も続いている事然り、LINEなどのやりとりにも装飾が使われている事然り、人が心を躍らせる心理に何ら変化がないことに気付かされるからである。

今はプリふれで「デザイン」の真価を発揮

1.ブラザーとの共同事業でデザインが活性化を生む

 さて、そんなJSAであるけど、ここ3〜4年でまた違った動きを始めている。依然として他社キャラクターのグッズデザインなどのオファーは受けているけど、オリジナルでキャラクターを手掛けることはしていない。もう、キャラクターという観点で彼らがやるべき役割は変わったのだと見ている。すると、彼らはまた次の視点で「使い道」を探そうとする。それは何か。

 彼らが取り組むのは「プリふれ」である。ペーパークラフトのようなものだ。

 「プリふれ」には、例えば「まちの消防署キット」というデータがweb上にある。これをダウンロードして、ブラザーのプリンターで印刷するのだ。印刷したものは組み立てられる仕様になっていて、その消防署の仕事内容に自然に目がいくようにするわけである。

 作れるものはバリエーション豊富で「カラーリングベースボール」と言って野球場を組み立てられるものもあって、多種多様。このデザインを請け負っているのが、JSAということになる。ミソなのは自らただダウンロードできるデータだけをデザインしているわけではない。それを最大化させるために、ブラザーと組んでいることにある。

2.街単位での繋がりでもっとその世界が広がる

 これをやる背景には何があるのか。それは今企業は消費者と自分達との接点を重んじようとしているからだ。つまり、企業がダイレクトに一般の消費者と繋がるために、この企画があると辻さんは言う。

 デザインがあるから、消費者とダイレクトに繋がる。また、ブラザーのプリンターの利用を自然に促すことができる。ブラザーもまた、利用機会を増やしたいから、その取り組みを熱心に、デバイスとセットで案内する。何より、先ほどの消防署のように企業などが使うほど、その認知が高まる。だからこの企画の企業からのオファーも増えるということなのである。

 まさに「デザインの使い道」ではないか。辻さんは、例えば、消防署もそうだけど、その視点を街中の、、、としてみる。すると、街を巻き込める。だから、そういう街やその専門家とのその距離を縮めているのだ。時間はかかるかもしれないけど、地道にこの裾野を広げようとしている。

 僕は先ほども書いたけれど、キャラクターの運営の会社とばかり思っていたけど、それも彼にとっては「デザインの使い道」の一つに過ぎなかった。デザインを通して、どんな未来を築くかに価値があるから、その時はそれが正解だったのだ。でもデザインに愛があるからキャラにも愛を感じたわけである。

 世の中は変化しているのだけど、やっぱり人の心は変わらない。デザインはその意味で、時代と近しい関係性にある。大事なのはデザインを用いる場面と素材を変えつつ、その時代に生きる人の気持ちにどれだけ寄り添えるかではないか。

 今日はこの辺で。

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