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あてなきNYへの旅立ちがもたらした創作の飛躍〜作家・松本セイジの「ねずみのANDY」誕生秘話とライセンス展開〜

 デザイナーとしてキャリアをスタートしながら、もっと大きく羽ばたきたいという思いで当てもなく飛び込んだニューヨーク。当時の松本セイジさんは右も左も分からないまま、異国の街での生活をスタートした。「地下鉄の駅で暗がりを走るネズミの姿が、まるで“どこにも属さない自分”のように思えたんです。そこから“ねずみのANDY”が生まれました。」

 そう語る松本さんは、後にニューヨークのグランドセントラル駅構内のカフェで初めての個展を開催。その際に発表したキャラクターが、しっぽのない男の子のネズミ「ねずみのANDY」である。ANDYは「食いしん坊で、いつもチーズのことを考えている」というユーモラスな設定ながら、そのモチーフの根底には、カルチャーや言語の壁に戸惑いつつも懸命に生きる“自分自身”が重なっているのだ。

・しっぽのない理由と“違い”を尊重する物語

 ANDYに関してよく聞かれる質問のひとつが、「なぜ、しっぽがないの?」というもの。実際には“しっぽのないネズミ”という違和感が、作品そのもののアイデンティティとなっている。

 松本さんが当時住んでいたのは、マンハッタンのお隣・ジャクソンハイツという地域。外見だけでなく、国籍、宗教、慣習が異なる人々が当たり前に混在する多文化エリアである。どんなバックグラウンドでも共に生きていける多様性を目の当たりにした。その経験が、「皆が同じである必要はない」という強いメッセージをANDYに込めるきっかけとなったのだ。

「しっぽがなくても、ネズミでいいじゃないか。“違い”を受け入れるってこういうことだよね。」

 そうした想いが物語に息づいている。だからこそ、ANDYの存在は単に“可愛いキャラクター”にとどまらず、多様性の大切さをさりげなく教えてくれるのだ。

・名前の由来は“飼い犬に似た表情”と親しみ

 ANDYという名前は、松本さんがかつて飼っていたマルチーズ犬の表情を思い出しながら名付けられた。

 地下鉄のネズミから着想を得つつ、身近な存在との記憶が合わさる。そうすることで、キャラクターとしての愛嬌がさらに増しているのである。

 さらにANDYには幼馴染のねこのLITTLEがいる。共に育った幼馴染のねこが親友という設定。それは、犬と猫の「種族を超えた友情」を重ね合わせるかのように、違う存在でも共存できる世界観をさりげなく体現しているのである。

・子どもたちを中心に広がる人気の理由

 2017年の個展で初めて登場したANDYは、愛らしい見た目とユーモラスなキャラクター設定で瞬く間に注目を集めた。特に「チーズ命!」とばかりにチーズのことを常に考えている。その姿は、子どもたちのハートをわしづかみにすることとなった。

・SNSでも盛り上がるファンコミュニティ

 ANDYには公式Instagramアカウントもある。ここでは、アート作品の新作やイベント情報、さらには制作の舞台裏などが発信。SNSを通じてファンとのコミュニケーションを深めているのがわかる。

 子どもから大人まで幅広い世代のファンが「ANDYと一緒に写真を撮った」「新作グッズを手に入れた」などの投稿をシェアしているのだから。そうやって密な関係が生まれることで、コミュニティがどんどん拡大しているのである。

・作家としての力が生み出すストーリーとライセンス展開

 おわかりだろうか。松本さんが表現する世界には、単なるキャラクターデザインを超えた物語性がある。自らの体験や想いを核にしている。だからこそ、人々を引き込む“ストーリー”が自然と生まれているのだ。

 そして、そのストーリーがある。だからこそ、ライセンス展開への可能性が広がっていく。

 キャラクターをただ「かわいい」「面白い」だけで終わらせるのではない。深い背景とメッセージをもたせることで、さまざまな企業やブランドがコラボレーションに興味を抱く。

 ファンの心をつかむ物語がしっかりしていると、キャラクターグッズはもちろん、映像作品やイベント、社会貢献活動との連携など、多彩な広がりが見えてくるのである。

「ANDYを通じて、僕がNYで感じた多様性の大切さや、ちょっとした勇気を持つことで人生が変わるかもしれない、というメッセージを届けたいんです。」

— 松本セイジ

・ANDYが紡ぐ物語は、僕らの日常にもそっと寄り添う

 何の当てもなくNYに飛び込み、そこで味わったカルチャーショックや孤独感、そして多様性との出会い。そうしたリアルな体験が松本セイジさんのクリエイションを支え、その延長線上で誕生したのが「ねずみのANDY」です。

  • • しっぽがない違和感すら受け入れてくれる、多文化共存の物語
  • • マルチーズ犬に通じる愛嬌を持つ親しみやすさ
  • • 子どもたちを魅了する食いしん坊キャラというわかりやすさ
  • • 作家自身の人生観を背景にもつ、奥深いストーリー

 これらが組み合わさることで、ANDYは大人も子どもも引きつけるキャラクターとして育っていく。そして、ライセンス展開や商品化を通じて、そのメッセージが多くの人の日常へとゆっくり広がっているのである。

 今後、ANDYとどんな出会いがあるかは、あなた次第。「ねずみのANDY」が届ける物語は、いつでも僕らの近くで続いているのである。

 今日はこの辺で。

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