あなたの店舗のレビュー高評価、実は品質管理のおかげなの? 楽天市場 安心安全な売り場の舞台裏
昨今、店舗から、レビューが以前よりも向上したという話をよく耳にしていて、こういう要素もあるのかと思った。それは、ネットが以前よりも安心、安全な売り場になっていて、それが高評価を後押ししているという現実。地味ではあるけど、裏側でルールなり、働きかけで環境を浄化する動きがあって、それを楽天グループから聞かされた。僕はその意義を昨今、聞かれるレビュー評価の向上との兼ね合いで、実感したのである。
今こそ安心安全を考えるべき時
それ自体、地味な要素で店にとってどんな利点があるのだろうと思った(失礼!)。だが、時を同じくして、昨今、紅麹の商品に伴う健康被害の話題が取り沙汰される中で、ある意味、こういう風に顕在化してからでは遅い。その前の段階で、プラットフォーマーとして何をしているのか。そこが大事だ。
思えば、今から15年ほど前などは、ネットには“胡散臭い”と言われるような商材が当たり前に存在していて、混沌としていた。それこそ、百貨店などと肩を並べて、戦う土壌とは考えられなかった。その頃から、すでに出店している店舗においては、ガラリと変わった今一度、ネットの立場の変化を理解するべきだと考え、記事にしようと考えるに至るわけである。
繰り返すが、大事なのは事前にそういうチェック機能を持たせて、いかに未然に防げるかという話。いざ聞いてみると細かいところまでチェック機能が働いている。大きく4つに分けられて、まず、一番大事なのは、事業者の部分である。要するに誰(どういう店)が販売するかの部分である。
常にお客様に迅速で適切な対応ができる準備を
至極、当然な話だが、出店する際に、楽天が審査を行う。ただ、大事なのは、出店してからのそのチェックを怠っていないこと。具体的には、金融機関と連携して、クレジットカードの加盟店審査、銀行の口座の開設状況などの確認を行なっている。そこに会社の今の状況が現れやすいからである。
出店料などを銀行口座を通して、自動引き落としにしているが、それが有効に機能しているのかどうか。仮に、口座で凍結が起きていた場合、それが、警察によって差し止められていたりすることもある。お金の支払いにとどまらず、それが示すことは多岐に及ぶわけである。
また、万が一の場合でも迅速に動けるように、サポート体制を整え、お客様の不安を最小限にとどめる。例えば、国民生活センターとの連携も密に取れており、彼らからの情報を検知する。例えば、出店店舗が販売するステロイド入りの健康茶に、健康被害の可能性があることをお店に指摘した。その際、販売をした過去5000件にのぼる商品に関するユーザー対応を行いつつ、返金を行ったのだ。
また、対象となるお客様はどれだけの人数とするのが適切なのか。突如発生したそれらの細かな対応を楽天側でケアすることで、店側の負担を軽減するわけである。そして、彼らのチェックにより売り場の信用が保たれ、結果、同じく出店する他の店舗も恩恵を受けることになる。売り場自体の信用は、確実に購買を後押しするからである。
見えづらいところも問題を可視化し、不安を取り除く
そして、二つ目の要素は「商品、サービス」である。わかりやすいのは、法律上、禁止されているもの。それだけではなく、楽天が独自に審査を必要としているものがあるのが、みそだ。それは、一見すると販売してもいいように思われる。けれど、売り場の信用に直結する上では、きちんとした対応が必要とされるものだからだ。
例えば、中古品がそうだ。販売する為には「古物商」という資格があって、それ自体は取りやすい。ただ、取りやすい故、ここで問題が起きやすい。中古品は特にブランドなどにおいて、買取の段階が大事。その理由は、その真贋の見極めができなければ、偽物が出回るからだ。だから、業歴にして一年以上の経験を持つものと制限。その他、諸々審査基準によりNGになることもある。
また、健康機能食品系の商材においては、成分審査の内容をアップデートしている。最近では、「大麻グミ」を摂取した人に、行動に異変が起きたという事案がある。
問題なのは、中に入っている大麻由来の成分。これに関して、世間では「CBD」という成分は合法であり、よく使用される成分。
ただ、ここでは、それと似たような、合成化合物で作られているもの。これらは、当時「非合法ではなかった」からこそ、売ることができる。けれど、異変が生まれたことで「非合法」になった。つまり、逐一、その最新の状況を把握して、適宜、審査に反映していくことも、彼らの大事な役目になっている。
販売行為は徹底したモニタリングで
三つ目が「販売行為」に関して。実は、日々、楽天側がモニタリングを行っているとか。いわゆる「景表法」「薬機法」に違反する商品説明に加え、不正なレビューもチェック。見つけ次第、連絡を行い、必要な対応を要請しつつ、店舗と共に改善の策を考える。
特に、レビューにおいては不正がなくならない。サクラのレビューも時代と共に巧妙なものになって、そこにもあの手この手で対処を工夫して、撲滅していく。
現状、露骨に店舗でやっているところはない。ただ、SNS上など、外の環境を使って、第三者にその依頼を促し、行なっている。例えば、商品を買ってもらい、五段階評価の5をつけて、レビューを書いてくれたら、その商品代金は支払う。そういう募集をSNSでかけるわけである。
だから、楽天も自らXで不正のレビュー関するアカウントを開設。X上でそれらのレビューを募集する投稿に関しては、リポストして、違反であることを認知させる。すると、自然と、その投稿はなくなっていくのだという。募集する側の行為をなくすと共に、書き込む側にも何をすることが違反なのかを開示する。
また、レビューは明らかに不正を意図したものばかりではない。例えば、レビュー上でのクレームに着目をする。商品がテレビで紹介されたことで、過受注が発生したことだと判明すれば、改善点を具体的に指し示すのである。結果、お客様の安心で安全な環境を作り出しているわけである。
不正だけではなくその問題の本質にも辿り着く
最後、4つ目の要素が「ルール」ということになる。ある一定の共通したルールに沿った形で適宜、上記のようなアプローチを建設的に進めていくことが大事だ。
ただ、昨今、多様性を持たせた売り方が増えている。だから、そのルールの設定も時代に合わせて、適宜、改善していく必要がある。例えば、サブスクリプションを取り入れる店も増えた。彼らはその説明に着目した。
継続的に商品を課金していくその中身も、ぱっと見では誤解が生まれやすい。例えば、デバイスを提供し、この代金を別途、支払う。それと共に、その後、デバイスを使ったサービスは、継続的に課金が必要といった具合に、少し複雑なものもなくはない。こうしたところにクレームは生まれやすい。
だから、料金の仕組みを細かく示すなど、例を添えて、ルールを示す。このような時に明確なルール設定があれば、助かる。店側も行動の指針が立てやすく、また楽天側もチェックに対しての対応に規則性が生まれるので、生産性が高くなる。
ネットがリアルの品質に追いつく
これらの4つの要素を土台にしながら、外部連携を密にしていく。より社会全体で、ネットの売り場を健全なものにしていくためだ。大手175ブランドと連携して、真贋の精度を高め、また税関との繋がりも重んじている。
というのも、昨今、海外で扱った商品を販売することが増加しており、偽物も少なくないから。仮に楽天市場を退店させられたとしても、その業者が他で売っては意味がない。その店舗情報は税関に伝えて、広くそれらが流通しないように心がける。
語弊を恐れず言えば、ペナルティを課すためだけに、品質部署があるのだと思い込んでいた。しかし寧ろ、パトロールといったほうがよさそうだ。お客様が売り場で不安に思われる環境を逆算して考える。そして、それを未然に防ぐ為に、どう動けばいいのか。その観点から色々と施策を打ち、ルール化されている。
その高品質の中で商売が具現化できれば、売り場自体の信用が向上する。一方で、ふさわしくないものは適切に指摘して、店舗との間で是正して、共に成長していけるわけだ。結果、相対的にレビューの高評価につながっていると説明した理由がわかっただろうか。
売り場全体の問題であるから、個々の店舗もその恩恵を受けることになる。各店のレビューの評価が上昇傾向にあることは、品質管理を紐づけて説明することで見えてくる。それは、今のネットの置かれる立場を顕著に示すものでもある。
今日はこの辺で。