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楽天市場 選べる範囲広がる SKU対応がお店の実績を一変させる理由

 実は、ネット上の商品の見せ方はどこか不恰好で、まだその価値を生かし切れる土壌になかったのかもしれない。では、商品が秘めるその可能性は、いかにして引き出せるのか。答えは商品登録という実にシンプルなものにあった。楽天グループに取材を行い「SKU対応」についての詳細を聞くほど、この事を痛感したのである。

SKU対応という転換期をプラスにできるか

1.SKU対応が生まれる背景

 この施策については、先日、「楽天EXPO」で代表取締役会長兼社長、三木谷浩史さんがその講演の中で、披露したもので、下記の通り。それが店の有り様すら変えてしまうほどの影響はもたらしそうである。

 とはいえ、何がどのように影響して、それだけのことができるように変わっていくのか。本質的な理解には至らなかったから、そこを紐解くために、取材を行ったのである。

 単純な話をしてしまえば、この施策は楽天市場の商品が、今や3.5億個もの商品を抱えるに至ったことから、スタートしている。お客様の買いたい商品が見つからないと言ったときに、過去であれば、商品そのものがなかったのである。しかし、今においては数が多すぎて、自分が意図する商品にリーチできないのである。

 だから、商品の登録の単位を細分化させて、商品自体の見せ方を変えてしまおう。それが、今回のSKU対応のそもそものスタート地点である。

2.一つの商品も多くに派生する

 たかが商品登録の話である。それを細分化させるだけ。なのに、それが店の運営の方向性や在庫など、経営に絡むところまで、影響を及ぼすのはなぜなのか。その辺を含めて、説明したいと思う。 

 そもそも「SKU」とは「Stock Keeping Unit」の略だ。例えば、Tシャツ一つの商品で考えても、色柄で赤、青、白、サイズでS・M・Lと様々なバリエーションがある。そういう細かな単位で商品を管理していく事を意味しているわけだ。

 だから、「SKU施策」は「楽天市場」の商品登録を、そこに準じた細かな単位で行う。それで「楽天市場」内の検索の精度を高めようということになるわけだ。具体的には下記の通りになる。テキストベースであった登録データの中身をSKUごとで管理。そこで、データの活用に幅を持たせるようにしたわけである。

3.商品の表示はどう変わるのか?

 先ほどのTシャツの例のように、アパレルなどでは既に取り入れられていたが、今回の話の核心は、それを他のジャンルに取り入れる事にある。すると、バリエーションの表示ができて、欲しい商品が絞り込まれ、検索で欲しいものまで辿り着く精度が高くなるわけである。

 極論であるけど、カレーであれば、「甘口」「中辛」「辛口」が用意される。お客様は単純に「○×カレー」という一つの商品を軸にで好みの辛さを選び、それを必要な数量、購入すればいいだけのことである。今までであれば、一個一個、辛さごと登録している。だから、その画面上、どんな辛さがあるのか他のページに飛ばないとわからない。

 それに加え、それらバリエーションを活かす工夫も見られる。例えば、一品あたりの単価が安い商品は何本セットという形で売る事が多い。そこで、バリエーションを見せつつ、一品あたりの単価も表示するわけである。そうすれば、バリエーションを見せることの効果が倍化する。どれがどれだけお得なのかが一目瞭然だからだ。

4.分けた商品単位ごと価格差を見せられる

 こういう様々な前提があって、下記のような商品の見せ方が可能となる。一つの商品でも、細かな単位ごと、価格を設定して、その中から自分の用途に合わせて、検討するわけである。PCを買う事には違いない。けれど、容量は予算に合わせて判断ができるわけだから、機会損失が生まれにくい。

 ただ、僕が注目しているのは、右のワンピースのような売り方である。従来であれば、一律で同じ商品だからと言って、売られがちであった。しかし、敢えて価格を変えて売りやすくなる。S・M・Lで商品登録が細分化されているので、それぞれに価格設定が可能。だから、その受注状況や、在庫の状況を鑑みて、サイズごと、価格差をつけることができる。つまり、店側も今まで以上に売り方に幅を持たせて提案できるわけである。

 これが、店の有り様すら変えて、生産性を高める事にも寄与すると書いた所以である。これはアパレルに限った話ではない。バリエーションを豊富に用意しても、そのそれぞれ全部が同じ数量売れるはずがない。各サイズや柄によって需要と供給の関係が異なるのは当然。一律にするほど、在庫を生んでしまう可能性がある。

 だから、担当者はこの「SKU対応」の仕様を味方につければ、いい。売上に加えて、在庫数と消化ペースのバランスを見ながら、売り方に幅を持たせて提案すれば、店全体の利益率の向上にも寄与できるからである。

5.定期購入にも自然に誘う

 「例えば、マウスウォッシュなどは気が付けば、同じ周期で買っている。であれば、定期で購入した方がお得なのだと気付けるようになる」。三木谷さんのプレゼンでそういう趣旨の発言があった。それもSKU対応による利点である理由は、お分かりいただけるだろうか。

 先ほどと同じように、商品の登録する単位が細かくなる。だから、一つの商品に対して、単品購入と定期購入を横並びで販売できるようになる。それゆえ、単発で購入していた商品をそのまま定期購入へと導くことができるのである。

 ただ、定期購入は単品購入とは性質が異なる。だから、段階を踏んで変化していくのだという。まずは定期購入の登録の仕様に関して一新する。

 従来、定期購入の商品登録がRMS上からしかできなかった。それをCSV/APIでの一括の商品登録ができるように変更。それが整った上で一つの商品から派生する形で、単品と定期を横並びできるようにするわけだ。

 すると、三木谷さんが言っているように「そういえば、この歯磨き粉は毎月、購入しているな」と思った際、自然に、定期購入に切り替えてみようという発想が生まれるわけだ。

6.物流の環境が整うことで表示も変わる

 これらの仕様と「表示」の変化は実は、彼らが強化する物流環境の価値をも引き立てる。これまで「1-3営業日以内に発送」といった表記だったものが、刷新。2023年6月以降においては「ー時までの注文で最短ー/ーお届け」という表記になって、到着日時がより明確なものとなる。

 実はこれも管理の仕方を工夫して実現させている。つまり、「出荷」「配送」の2つのリードタイムに敢えて切り分けて、曖昧な箇所をなくすわけだ。出荷に関しては荷主側の都合であり、配送に関しては配送キャリアの都合である。

 その2つは関わる人も、その性質も異なる。だから、それぞれ別で管理する。特に配送キャリアの状況はこれまで以上に、緊密に行い状況を把握する。すると、荷主側の都合がつぶさに反映され、明確な到着基準が設定できるというわけである。

 思うに、荷主である店舗も物流の状況を把握し、自動化できていれば、この「表示」で差別化し、その強みを発揮できるというわけだ。配送キャリアの状況と合わせて、より明確に日時という形で、お客様にプラスの価値を提示できる。今後は、提案の仕方に合わせて、インフラの整備も並行して進めて、総合力で顧客満足度に努めるべきであろう。

販売方法に幅を持たせることで伸び代がある

1.モール内での商品の売り方が多様化していく

 改めて実感するのは「商品の見せ方」を変えることで「商品の売り方」が変わるという事だ。ただ、その「商品の見せ方」を変える根本は、実は「商品管理」のあり方を変える事にある。いかに「SKU対応」が店にとって大きいのか分かるだろう。だから、提案の幅ももっと柔軟なものとなっていく。2023年冬以降開始としているが、購入個数に合わせて、商品価格を変更できるようになる。

2.そこへの店舗側の準備は必要

 さて、では店舗側の負担はいかほどか。基本的にはRMSに絡む「商品登録」全般が大きく変わる。ただ、楽天としては極力、従来の登録内容を活かして、必要な要素だけ追加してもらうことで、移行が完了するようにしていく事を明らかにしている。

 開始は2023年4月から。新しい登録では標準の必須事項が増えるので、登録済の旧商品でも作業が伴う。そこで、一斉とはせずに個々の店舗ごと、状況を鑑みてスタートする。その後、半年を目処に、全ての店舗が移行しているという状況にしたいと説明している。

3.商品の見せ方が変わると、売り方が変わり、店の未来も変わる

 改めて、「商品の見せ方」を変えることで、「商品の売り方が変わる」。その「商品の見せ方」を変えることは「商品管理」のあり方を変えることなのだ。そこによって生まれる柔軟性の高い表示は、結果、お店側の売り方をも変えていく。このように書いた理由をご理解いただけたと思う。

 逆に、これから楽天市場のようなモールは集客もさることながら、そのインフラへの投資がこれまで以上に、重要になってくるだろう。それは、経済圏にとって要となる会員のリピートが会社を左右するほどの重要な意味を持っているからである。

 単純に一過性で広告でパッと出て売れたとしても、それは意味をなさない。店側の想い、モール側のUIとインフラ整備によって、この店でまた買おうと思わせることが、新しいお客を獲得することと同じくらい重要な意味合いを持つわけだ。

 だから、現在の仕様では、ネット上の商品の見せ方はどこか不恰好で、まだその価値を生かし切れる土壌にないのである。では、商品が秘めるその可能性は、いかにして引き出せるのか。それは商品登録の仕方にあるのだ。それは、お店の未来に関わる。だからこそ、注目したい『SKU対応』である。たかが商品登録、されど商品登録である。

 今日はこの辺で。

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