BASE 10年の歩み “長い物には巻かれない” 個々のオーナーを光らせ 誰もが自由に買える世界へ
人の才能は無限大で、それを活かす為に固定概念を打ち崩せ。オーナー兼デザイナーで一点物を扱う「ACKERMAN」、そして家業である老舗煎餅工場で、弟が煎餅を焼き兄が商品企画をして販売する「Senbei Brothers」。この2店舗が出てきたことが全てを物語っている。BASEが開催した「BASEカンファレンス」で思った事だ。
BASE の歩み 小さな可能性を見逃さない
1.10万円の売上がある10万社とお付き合いを
二つの店が具現化した世界、それこそがずっとBASE 代表取締役 鶴岡裕太さんが思い描いてきたそのものだ。冒頭、壇上に立った鶴岡さんの言葉が全てを象徴している。「100億円の売り上げがある一社を支えるのではなく、10万円の売上がある10万社とお付き合いをしたい」そう彼は語る。
今、商品を販売したことがない人もその才能を活かして、BASEがあれば、誰でもネット上、すぐにお店を作れて、販売していくことができる、そう言って今から会社を立ち上げたのは、10年前。
一つの節目として、この日の「BASEカンファレンス」があるわけだ。
2.ネットに不慣れな“オーナー”をネットで開花させた
10年を振り返ると、彼が思い描いたその世界は確実に世の中を変えた。今や170万に及ぶそのオーナーの数が何よりの証拠。また、最初に触れた「ACKERMAN」や「Senbei Brothers」をはじめとする、オーナーたちの言葉は、それをリアリティを持って受け止めるに相応しいものであった。
「Senbei Brothers」は、2014年にブランドを立ち上げた後、一年ほど、駅の催事などで、オンラインとは無縁の生活だった。ただ、そうやって知名度が上がるとともに、遠方の人からその商品を欲しいと言われた事で2015年にBASEを使って、立ち上げるに至る。
職人気質なところもあって、煎餅を作る時間を大切にしたいと話す彼ら。BASEであれば運営に時間を割かれることなく、お店をバージョンアップさせることできて、自分達の世界が広がったと語る。
3.趣味から本業へ 「ACKERMAN」素敵な歩み
「ACKERMAN」はオーナーのあみさんが趣味でやっていたアクセサリーショップが本業になったとかで、その経緯もまたBASEらしくて素敵だ。誰にもチャンスがある。
彼女自身、語るように「お店を始めた際には、ネット知識はゼロ」。だから初期費用を抑えられたのがありがたかったようだし、それでいて店のデザインにはこだわれるので、あとは結果を出すだけ。のめり込むようにしてBASEにハマり、身の丈に合わせて、自分も店も成長できた。そして、9年間やり続けて自分としての確固たる地位を手に入れた。
4.小さいところから大きく育てられる
ちなみにBASEに馴染みのない人もいるだろうから言っておくとBASEは月額0円。その売上に対して手数料3.6%+40円とサービス利用料3.0%を課金する形式。要は「成果報酬」で、彼らが小さいところから始めて、大きく育てられるといっているのはこういう意味である。
僕は、幸いにしてクリエイターさんと話す機会が多いから、一個でも売れたらその喜びがいかに大きいかは知っている。儲かればいいのではなく、そういう人たちが喜べる社会を意図した鶴岡さんの思いにはとても共感するし、大きな意味を持った10年だったと思う。
10年の節目 BASE自身のアップデート
1.10年経って見えてきた新しい世界
さて、そんな風にして、鶴岡さんは10年という区切りを迎えて様々なことが見えてきたのだろう。彼自身、BASE自体もアップデートの必要性を感じているようで、それが今回のカンファレンスを開催する一つの理由でもあるようだ。決意表明としての意味合いもあるだろう。
当初は「10万円でもいい」から始めよう!そう言って、数々のオーナーの背中を後押ししたが、それらのお店の月間平均売上を数字にすると「17万円」を超えるまでに成長して、中には「月商1億円」を超えるお店も出てきているというのだ。
だからこそ、必ずしも彼がこだわり続けた初期投資無料のやり方がベストとは言えないショップが出てきたということなのだ。鶴岡さんはそれが歯痒かったはずだ。なぜなら、成果報酬は初期投資がゼロである分、手数料に反映しており、伸びるほどに、その額は大きくなる。また、スモールビジネスを意図したが故に、規模の大きな企業などがまだそれほど、使っていない現状も見られる。
特に、昨今、自社ECの重要性が叫ばれて、それらの多くは大抵、Shopifyの名前などをあげて、大抵、ある一定の売上規模を超えると、定額制の「Shopify」の方が安くなるという現実も加味すれば、BASEは少しそれらの企業に遅れをとっていたのは事実だろう。
2.初の定額制へのチャレンジ
そこで、BASEは2022年4月、初めて「月額5980円+手数料2.9%」というグロースプランを開始させると明らかにしたのだ。
定額にすれば固定でかかる分だけ、手数料を抑えることができて、それらのニーズに対して応えることができる。これから、各々ふさわしい形で、利益を確保できる。
3.ECにとって決済は要
そして、もう一つ。「決済」である。 決済は何気に大事な要素で、当初から彼らはそこを重視してきた。本来、BASEのようなものがなければ、店側は個別に決済会社と契約を検討する必要がある。
それも小さな会社であれば与信を取るのも大変な上、案外、複雑なプラン設計である。BASE創業時、BASE以外で、オンラインストアを作ろうとした人にはわかるが(僕も体験者だから)、決済はお金が絡むことなので、大変な手間を要し、多くがその専門的知識が持たない中で、根を上げる人も少なくない。
4.後払い決済にも対応
確かにモールなどで決済は整備されつつあったが、それは企業の体裁を成している企業に限られていたわけだ。BASEがこだわったのはもっと小さな商圏なのである。このカンファレンスに出ていた「ACKERMAN」がまさにそうだ。
オーナーのあみさんは、趣味で始めたアクセサリーがBASEによって本業になったように、趣味のレベルでトライする人もいたのだ。そういう人でも難なく無料で始めてすぐに決済の環境を標準装備させることに、彼が描く10万店舗と言った考え方の礎がある。
BASEをやればわかるが、10分もあれば、店が作れて、もう販売できる。Senbei Brothersが先ほど、煎餅を作ることに打ち込む時間を大事にしたい。そんな言葉の重みもここまで話せばわかるだろう。
売る側の決済を整えれば、買う側もショッピングの幅が広がる。結果、売る側に利することになって、10万円売上られる店舗が増えることになる。そうやって一貫して決済の大事さをわかってきた彼なので、後払い決済の伸びも見逃さなかった。「後払い決済」の実装を明言したのである。そのマーケットは下記の通り広がっているから。
ただ、僕はそれとは別の理由もあるのではないかと思っていたりもする。
BASEは売り手も買い手も自由な世界を創る
1.もっと自由に買い物ができる環境
昨今、見られる「経済圏」のショッピングの存在である。経済圏ではクレジットカードが重んじらている。購入すれば、お客様にメリットが生まれつつ、自分達に利するからだ。それ自体は間違っていない。
つまり「あって当然なもの」という雰囲気が漂うけど、それだけが「買い物」なのかなと。経済圏の頑張りを認めた上で、それは僕が思うところだ。「経済圏でお得であるとか、そういう要因とは別軸で、もっとフリーに買い物をするきっかけの大事さがあって然るべき。経済圏を持たない彼らが、それこそ彼らにしかできない「ショッピングの自由化」を果たすなら、後払い決済、重要なのではないかと思うのである。
2.買い手も売り手も真に才能や価値で結びつく
BASEがこれまで、極論、あなたには商売を無理ですよと言われ続けてきた人に手を差し伸べたように、それを買う側にも今の時代の傾向に抗って、自由を手に入れよう、と呼びかけている気がする。そうすると「後払い決済」という意味も見えてきそうに思う。そこにBASEが歩んできた、一人一人が自由に才能を発揮し、受け入れようとする姿勢をその施策から僕は感じるわけである。
かなり深読みかもしれないけど、10年の節目にふさわしい変化なのだと思った。
3.香取慎吾さんもBASEで才能で発揮する
さて、この日はBASEのテレビCMでその裾野を広げてきた香取慎吾さんも駆けつけ、この10年の節目に花を添えた。BASEが彼をCMに起用したのも素直にうなづけるもので、それは自身、絵を描くなどして、表現者としての一面もあるから。先ほどから話している一人ひとりの才能を伸ばす「BASE」を表現するには、適任であると思う。
実際、彼自身、このイベントの中で、自らのアートで培った感性を活かして、コンバースとのコラボをするなどして、商品作りをすると共に、BASEで作ったお店で販売していることを明らかにした。彼もまた一オーナーであるだからこそ、その価値をもっと知らしめたいと誓ったのである。
人にはいろんな才能がある。もしかしたら、埋もれていることだってある。
彼はテレビでスターであったわけで、でも違うところの自分の可能性を求めた張本人である。
一人一人の気持ちを豊かにして、生きる実感が得られる意味のある世の中になるために、BASEはもっと一人ひとりの才能を伸ばし、また、純粋にそれをいいと思った人が何かを気にすることなく買える土壌を作るのだ。香取慎吾さんを見ていて、BASEと似ているなと思った。それは「長い物にも巻かれずにやってきた」ということ。
だから、次の10年もBASEは「長い物に巻かれない」己を貫く歩みであってほしいと僕は、この10年の節目で強く願うのだ。
今日はこの辺で。