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Groobeeと越境ECでエンタメが世界へ羽ばたく キャラクターグッズも今変貌の時

 ネット通販は エンタメの DX 推進 にも寄与できるのか。一見、異なる事業に見えるライセンスビジネスに新しい風を送り込む。そして、コンテンツの価値を活かし、購買シーンがエンターテイメント化していく。BEENOS Entertainment玉谷芳和さんとマインドワークス・エンタテインメント近藤健祐さんとの対話でそれが見えてきたのである。

エンタメ DX にネット通販が関係する理由

1.ありそうでなかったエンタメ特化の自社EC

 ことの発端はマインドワークス・エンタテインメント代表取締役 近藤健祐さんから言われた言葉にある。

 「キャラクターグッズで越境ECをやろうと思うんです」。

 マインドワークスはキャラクターライセンスに携わる企業。コンテンツホルダーからそのキャラクターを預かり、仕掛けのプロデュースに始まり、メーカーへの商品化の窓口などを請け負っている。また、その自らがライセンス窓口を担っている関係で、そのライセンシーの商品を、メーカーから仕入れる。そうすることで、自社で通販サイトを運営しているのである。

2.キャラグッズを世界へ

 そして、今、それを越境ECにしようという。越境EC自体自体は珍しいことではない。けれど、近藤さんに連れられて、BEENOS Entertainment取締役 玉谷芳和さんも話を聞くうち、その意図が見えてきた。確かに、近藤さんの熱量の意味がわかった。

 それを語る上で欠かせないのが、BEENOS Entertainmentの提供するGroobee』。

 つまり、自社ECを運営するためのプラットフォーム。「Shopify」などが競合となるだろう。『Groobee』がそれらと明らかに違っているのは、何だろう。ずばり、それはエンタメに特化している点にある。

3.エンタメ特化の自社ECで見えてくる可能性

 実は、『Groobee』では、ファンクラブとの会員連携をスムーズに行えるようにしている。その他、まだ準備中ではあるようだが、ガチャやくじなどの遊び的な要素が既に実装されるようにしていく予定。

 「ネット通販でありながら、エンタメコンテンツの価値を最大化できます。この点が強みになっています。」そう玉谷さんはニッコリ。自社ECではありそうでなかった要素で、必要かもしれない。

 残念ながら、通販サイトを強みに売り上げを伸ばしている企業はキャラクター業界においては、多いとはいえない。だからこそ、BEENOS Entertainmentが『Groobee』を通して、エンタメ業界のDXを推進すると意気込むのもわかる気がする。

 それに向けた使用を提供することで、これを契機に風向きが変わるかもしれない。

海外展開がライセンスビジネスに風穴を開ける理由

1.Buyeeなどで培ったインフラは「Groobee」での強みになる

BEENOS Entertainment取締役 玉谷芳和氏

 そして、玉谷さんは「もう一つの強みは海外対応にあります」と続けた。

 「海外対応に関しては、BEENOSグループが越境ECのジャンルで存在感があります。海外でネット通販をする際に、BEENOSグループの社名を真っ先にあげてくれる方が増えています」。

 念の為触れておくと、BEENOSグループは「転送コム」と「Buyee」というサービスを提供している。

 「転送コム」は海外にいる人が日本の通販サイトでショッピングする際に役にたつ。具体的には、日本の住所を支給してもらうことで商品購入ができるようにする仕組みである。その商品は同社の倉庫に入れて、そこから海外の現地に「転送」してくれる。

 また、「Buyee」は一言で言えば「代理購入」。日本の通販サイトと海外にいる人の間に「Buyee」という通販サイトを挟む。「Buyee」は海外にいながらそこで現地の言語に合わせて、欲しい商品を購入できる環境ができている。だから、それで商品を購入すればその「Buyee」が日本の通販サイトから代理で購入する。あとは、現地のお客様に送ってくれるので、手間がいらないというわけである。

2.越境ECの土台を活かしてエンタメを世界へ

 つまり、「Groobee」にはこのインフラが土台にあるわけだ。特に、物流面でそれがそのまま、海外展開における強みになっていく。

 日本のキャラクターは世界で評価されている。そのことからすれば、この強みもエンタメ系コンテンツのネット通販としてプラスに働く。日本発祥のコンテンツが真にグローバルに向けて発揮される土壌を彼らは最初から備えているわけである。

 さて、前置きが長くなったが、マインドワークス・エンタテインメント代表取締役 近藤健祐さんは、ここに着目をした。

マインドワークス・エンタテインメント代表取締役 近藤健祐氏

3.日本のクリエイターが世界に羽ばたく契機に

 近藤さんはこう語る。

 「弊社では既に「iine tokyo(イイネ トウキョウ)」という通販サイトを運営していて、クリエイターのグッズを多く取り扱っています。だから、その海外展開において『Groobee』を活用すれば、いい。そうかんがえたのです。つまり、単純に「海外で売る」だけではない価値を『Groobee』に見出した。その上、その運用も非常に楽なので、やりやすい。」

 日本のクリエイターの価値を効率よく、世界のマーケットに知らしめることができる。そう考え抜いた中での選択だったわけである。

クリエイター想いの設計に惹かれた近藤氏

1.運用が楽とは?

 この「運用が楽」というのもこのサービスの強みの一つ。『Groobee』は運営代行も積極的に行おうとしている。なぜだろう。

 最近見られる、通販サイトを作る為のツールは管理画面を渡されて、あとは「自分で操作して作ってください」と。殆どがそういうタイプである。だから、彼らは運用も全部、請け負うこともできるようにしているのだそうだ。実は、これもアーティストなどの気持ちに即している。

 「例えばカスタマーサポートや商品登録、バナーの制作、物流などの裏方業がありますよね。本来、クリエイターがそういうことをやるべきことではない」。そう玉谷さんは強調する。確かに。

 つまり、アーティストは発信などに注力することで、その価値は倍加。いわば、適材適所でそれぞれの持ち味を最大化できるというわけである。

2.オンデマンドで商品を作ることでファンを触発

 ここまで『Groobee』のエンタメに寄せた機能が充実していることを書いた。ただ、それだけではない。その点、また近藤さんが熱っぽく、玉谷さんに語りかけるのである。

 「オンデマンドでグッズ製造ができる環境が整っているのもいいんです。これを活用するとさらにキャラの持ち味を生かすことができるんですよ。」

 すると、彼はその言葉にまた嬉しそうな表情を浮かべ、こう答えた。

 「ユーザーの方は、商品を自分でカスタマイズして一個から作ることができる。そんな仕組みも実装される予定です。」と。

 その裏側ではどう機能しているのか。実は、『Groobee』で受注が入るとそのデータがそのまま、製造メーカーにいくようになっている。だから、そこで商品を作って、出来上がり次第、出荷される。Tシャツであれば、2〜3日以内に届けることができるというのだ。商品は様々で、絵馬のような商品もある。商品にもよるが、大抵が1週間程度でそれが納品されるというのである。

3.商品企画から販売まで一気に

 確かにこの機能は良いと思う。エンタメ系のコンテンツというのは、アニメ、キャラクター、芸能人という具合にアイキャッチとなるものが存在している。だから、そのアイキャッチとなる存在を商品にすぐに落とし込めて、カスタマイズできる。それは、ファンを熱狂させるには十分と言えるだけの利点である。

 このオリジナリティがあるという要素はなぜに強いか。それは結果、ファン同士のコミュニケーションになりうるからだ。「私はこれを持っているよ」。それが、売上に直結する。SNSの拡散などを考えれば、それがさらにプラスに働くのは想像に難くない。

 こういう要素も含めて、エンタメに特化した通販サイト作りへと紐づくわけだ。

 すると、そのサイト自体がテーマパークのような楽しさを持つことがお分かりいただけるだろう。つまり、強力なコンテンツを持っているほど、このECサイトは強みとなり、差別化要因になるはず。そこに、グローバルな展開が乗る。「単なる越境ECではない」と近藤さんが述べるのも、うなづける。

ライセンスは海外の可能性を取り込んで更に羽ばたく

1.海外で売れるチャンスを見逃さずに掴んで拡大させる

 普段、ECに関連する話を耳にする僕ではある。でも、同時にキャラクター業界を知る立場として、これは、キャラクターライセンスの観点から見ても面白い。このエンタメ特化型の「Groobee」の姿勢は、ライセンスビジネスにも新しい風を送り込んでいる。

 近藤さんは以前、こんな話をしていたことを思い出す。

 海外で売れている某キャラクターを日本でライセンス展開する時のこと。近藤さんがそのキャラクターに着目した理由は、若い女性に人気の輸入雑貨も扱うショップで並行輸入品が売れていたからなのである。だから、ライセンスを実施してみたら、そのキャラクターで日本国内に大きな市場ができたというのだ。

2.海外に持ち込むことで日本の埋もれた才能が開花する

 つまり、彼が今回の取り組みで、意図しているのはこの逆のバージョンなのだ。

 例えば、今回の一件で海外で日本の商品を売ることになれば、そこで売れるという実績をもとに、現地のメーカーに交渉できる。そのライセンス商品が海外で誕生し、現地で売られることになる。すると、ライセンスビジネスが日本国内にとどまることなく、海外を視野に入れた世界的なものになる。なるほど。

 要は、アーティストの可能性を最大化することにもなる。極論、日本でそこまで売れていなくてもいいのだ。「タイで売れた」と言った具合に、日本では埋もれていた才能を発掘できるかもしれない。僕はここに意味があると思う。

3.いいねと言われるコンテンツを東京から世界へ

 「iine tokyo」という言葉にはいいねと言われるキャラを東京から発信する。そんな意味合いもあって、ゆえに「Groobee」との出会いによって、それを実現させようというのだ。

 それこそが彼にとっての悲願であって、冒頭の熱量に繋がるわけである。

 また、世の中を見渡せば、「推し活」がクローズアップされる時代。女性の多くはアイドルにせよ、アニメにせよ、キャラクターにせよ、何かしらに熱狂しているという。大事なのは、コミュニケーション。

 「Groobee」は敢えて、そのコミュニケーションとしての機能を発揮し、ネット通販の視点から触発する。だから、キャラクターライセンスの文脈で、期待がかかる。

 一方で、ライセンスビジネスの現場においては、世界的な視野で見て、可能性を見逃さない。そんな意味で、重要な役割を担っている。

 ネット通販の新しい活用の仕方はまだ見ぬキャラクターライセンスの可能性を引き出す。それとともに、これまで通販サイトでは「購入する」だけだったユーザーに楽しさを遊びを提供する多様性を持ったショッピングがもたらされようとしているのである。

 世界へ羽ばたけ!あらゆる才能よ。

 今日はこの辺で。

参考:マインドワークスエンタテイメント

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