熱狂させる “ガチャ”の発想 それを 愛と呼ぶんだぜ 日本初 !? サンボマスター ガチャ等に感動
日本初?世界初?とも言える発想って、結構身近にあるんだなと思った。築地ファクトリーの小野尾勝彦さんと話していて思った。小野尾さんは“ガチャ”、要はカプセルトイに造詣が深く、最近のガチャ事情に詳しいから、折に触れて話を聞くわけだけど、今回も驚いた、というか感動した。 サンボマスター 然りこんな発想があるのか?と思えるカプセルトイ関連の話題は、予想を超えて楽しませる。
ガチャ の常識を超えた サンボマスター
「これはね、今までなかったんじゃないかな」そう言って、教えてくれたのがサンボマスターというアーティストのカプセルトイ。ブシロードクリエイティブが手がける、その名も「TOY MUSIC 第1弾 サンボマスター究極の9曲。」である。
「アーティストグッズですね」と言いかけたその時、「ガチャなんだけどさ、これ、歌も聴けるのよ」と。それも小野尾さんが飄々と話すものだから、てっきりそのフィギュアからほんのちょこっと音が出るといった具合なのかなと僕は思っていたわけだ。
ところが、想像を超える出来栄えだった。見た目はサンボマスターのメンバーが台座の上で演奏している姿のフィギュア。ただ、それをみて楽しむなんて、生半可なレベルではないし、音がチョロっと出て、喜ぶなんてものでもない。台座の裏にはQRコードがついていて、このQRコードをスマホで読み込むわけである。
すると、スマホで特設サイトへとアクセスするわけでそのサイトで「play」と表示されているので、タップしてみるのだ。僕はそこで「これで音が流れるのね」と思っていたのだが、そこで終わらせないのがガチャ魂。最後まで気を引き続ける。
するといくつか選択肢が出てきた。僕はこのフィギュア一体だけガチャで手に入れたので、「一体のフィギュアで音楽を楽しむ」を選択すると、もう一度、QRコードを読み込むわけで、何か起こりそうな予感。
すると画面が変わって、どうやら、スマホに表示された指定の場所に、そのフィギュアを置くようである。その指示通り、僕は先程のフィギュアを持ってきて、そのスマホの指定されたスペースに置く。ここからだ、この商品の真骨頂は。
そのフィギュアをガシッと置いた瞬間、実際のサンボマスターのライブの音源が流れ始めた。「あれ?どこから音が出てるの?」と見れば、スマホから流れているのである。底知れぬエネルギッシュな歌声と、それを盛り立てるようにスマホ自体も様々な色合いで画面が激しく表現されることで、フィギュアが熱狂に包まれる。もう、わけがわからない、このこだわり。
もう、小さなライブである。こういう仕掛けでくるとは想像しなかった。何より驚きなのは、これで五百円ということ。「すごいでしょ、これはよく考えたよね」と小野尾さんニッコリ。
非接触のカプセルトイ まわさないけどまわした感じ
「それともう一つ、面白いのがね、非接触のカプセルトイマシン。これね、ハンドルまわさなくても出てくるのよ」と小野尾さん。「ちょっちょちょっと、待って。カプセルトイはまわして取り出すものですよね」と僕。「そうそう。だから面白いでしょ?」と言われ、暫し唖然。
要は下のようにタッチパネルになってるわけである。
しかも小銭を入れる部分に相当するところを、電子マネーやQRコード決済に対応させて、キャッシュレスを取り入れているのであって、近代的ガチャとでも言おうか。
それでいてしっかりアナログ。小野尾さんは「カプセルトイである以上、みんな、ガリガリまわしたいじゃない?だから、それはできるように、ちゃんと残していて、でもそれはダミー。実際には回さなくても出てきます」。ハンドルがついているそうなのだ。この辺のわけのわからぬこだわり、さすがとしか言いようがない。
確かにこれも日本初である。よく考えたし、大真面目にこういうものを作るセンスは、カプセルトイの独特の世界観を言い表していると思う。アミューズメント施設「モーリーファンタジー」「PALO」で設置されていて、「かぷえぼ」というらしい。
中身はラバーキーホルダーやフィギュアなど、様々である。「「モーリーファンタジー」自体がオリジナルで作っていて、そこに想いを感じますよね」。ガチャガチャというのは実は、使い方がいろいろあって、汎用性があるから、逆にそれだけ色々な発想が生まれやすい土壌なのかもしれない。
思わぬ身近なところで「日本初?」「世界初?」と思えるようなことが生まれている。でも、こういうものは奇抜なものと表裏一体な気もする。こういう発想、売れることばかり考えている人には決して思い付かないと思う。でも、こういう要素がファンを惹きつけているのは間違いない。
これは小野尾さんともよく話すのだが、「マーケティングデータで売れるものを導き出してきたもの」よりも、そうやってお客様のことを考えて、うまくいくかどうかわからないけど、ひたむきにチャレンジする職人魂に溢れた企業は、遥かに発想に長けていて、おもちゃ的で面白いのだ。
結局、「いかにしてお客様を喜ばせようか」というそのサービス精神、「それが愛を呼ぶんだぜ」。サンボマスターの歌詞ではないけれどね。気付かないでいるのはあまりに勿体ない。
今日はこの辺で。