サンリオ 役者が揃う SANRIO EXPO 2020 潜入
「うぉぉ、可愛い」冒頭の写真は サンリオ が開催した SANRIO EXPO 2020 での光景で、ハローキティのモナカ。コップにちょこんと乗る設計で、伝統の逸品がキャラクターの個性によって引き立つ。キャラクターはそんな風にして様々な形で受け手の気持ちを高揚させる。これは、 サンリオ では、こうした新作発表の機会を年に、何度か設けている。
SANRIO EXPO 2020 でプッシュする商品の数々 アイドルグッズも サンリオ テイストに
サンリオ は、幾つかの事業で構成されていて、「Sanrio Gift Gate」などの直営店の運営などの物販事業と卸事業、キャラクターライセンス事業などがあり、それらの売り場や制作に関わる企業が、このイベントには多く詰めかける。
サンリオは自ら直営店を持っているがゆえ、自由な発想でチャレンジできる環境がプラスに作用し、ユニークな商品が多い。特に面白かったのは「エンジョイアイドルシリーズ」。
アイドルのコンサートで定番のグッズに着目して生まれたもの。アイドルのライブで「ウチワ」を持っているファンを見かけることが多いと思うが、サンリオは、この「ウチワ」に目をつけ、「この「ウチワ」はファンにとっては汚せない宝物であるから、その「ウチワ」につける為のカバーをサンリオのキャラクターで作った」と同社。このウチワカバーを筆頭に、スマホケースなどが売れているのだ。
役者揃いのオールスターで攻勢をかける
また、最近のサンリオで言えば、10月〜12月期においては日本の売上高338億円、営業利益が20億円とある(決算資料に基づく)。昨年、ハローキティが45周年を迎えたことで、そのプロモーションを積極的に行い、順調に推移した一方で、最近、直営店ではハローキティ以外のキャラクター比率が上昇傾向にあることを示すデータが出始めているという。
それを踏まえこの「SANRIO EXPO 2020」では、キャラクターごとに焦点を当てた案内をしている。これは、メーカーなど来場企業がそうした直営店の動きに倣って、ライセンス商品でもキャラクターの性格などを見てもらい、自らの商品作りに役立ててほしいという狙いがある。
「SANRIO EXPO 2020」での表現を取り上げながら、簡単ではあるが、各キャラクターの魅力を触れてみたので、その是非、そのキャラクターがもたらすワクワクとその臨場感を味わってもらえたらと思う。
シンプルにオシャレに「シナモロール」
「シナモロール」は長い耳で大空を羽ばたく白いワンちゃんキャラ。昨年までのテイストでは可愛子ぶりっ子を前面に押し出していた。しかし、現場から、そのテイストだと「持つ人を選ぶ」という声が寄せられ、シンプルなテイストにイメージチェンジしている。さりげなくオシャレに持てるような可愛い小物などが印象的だ。
従順な「ポムポムプリン」に愛着が湧く
「ポムポムプリン」はプリンの形をしたワンチャン。何をしても尻尾を振って、ついてくるような従順なイメージなのだ。サンリオでは、SNSを活用した動きにも力を入れ始めていて、ポムポムプリンを応援している人を「ポムバサダー」と呼んでいる。彼ら向けのイベントを実施して、SNSを起点に、そのキャラクター愛をさらに深掘りできるよう、プロモーションを組んでいる。
お姉さん的な「マイメロディ」に和む
「マイメロディ」は相談に乗ってくれるお姉さんのような立ち位置。そこで「マイメロディ」が相談に乗ってくれる「マイメロセラピー」というラジオ番組などを開始し、リアルに多くのファンのよりどころになっている。なお、2020年においてはこの『マイメロディ』と『リトルツインスターズ』が45周年を迎えることで、それを打ち出した施策を行い、今年ならではのオリンピックを見据えたスポーツ関連の商品化も考えているという。
サンリオのキャラは長年愛されるのが特徴
周年キャラが多いのがサンリオの魅力の一つで、冒頭で触れたように「ハローキティ」は、昨年45周年。調べてみると生まれた年は、長嶋茂雄氏が現役引退した年。それだけの時を経過しながらも、ふるめかしさを感じさせないのは、常にリフレッシュして時代に対応させてきたサンリオのデザイン力の功績によるところが大きい。
だからこそ、今も海外ブランドからの評価も高く、今も世界的にも知られる「バレンシアガ」とバッグでコラボを果たした。バッグ中央に、つぶらな瞳、サイドについた紐はハローキティの髭を見立てたデザインになっており、ハローキティとわかるものの、大人びたデザインであり、ファンの裾野を広げている。
世代を超えて愛される魅力を生かして
息が長いからこそ、母親世代も巻き込めるのが、この会社の強みで、「サンリオベビー」シリーズはそれに当たり、最近の傾向では子供向けとは言えども、母親を意識したデザイン。洗練された北欧風のタッチが支持を集めている。
「ぐでたま」のようなシュールなキャラも
とがったキャラもこのサンリオ には健在で「ぐでたま」は、グダグダした、だらけた「たまご」のキャラクター。日清食品から昨年末「ぐでたま」の愛らしい顔が描かれた「食べられるデコシール」入りの「チキンラーメン」を発売し、売り切れが続出した。最近では好評さに応え、「日清焼そば」「出前一丁」にも 「食べられるデコシール」を封入した限定パッケージが登場したほど。ダラダラしているのに“働き者”である。
キャラクターの持つ可能性はいかに
分かる通り、キャラクターへの想いなどは業界随一で、それを商品に落とし込む力も長けているが、海外では伸び悩んでいて、サンリオといえど、ここに課題はある。
でも、悲観するつもりはなくて、ヒントとなるのは、最近、脚光を浴びているテーマパーク事業のような気がしている。「サンリオピューロランド」は入園者数が10〜12月期で113万人と実に、前年同期比46000人増加(決算に基づく)している。
これは、若い女性向けにSNSを使い情報発信を実施したことによる効果が現れている証拠。コンテンツをいかにして今の時代にふさわしい形で発信して、キャラクターをこだわりのある商品並みに日常に定着させるかにかかっているように思う。
先日、とあるキャラクター業界の方とこんな話していた。「例えば、今は10万円程度で買えるiPhone11にしても、もし20年前に出したら買うのに何億円もしただろう。けれど、サンリオのぬいぐるみはどうだろう」と。
むしろ20年前よりも価格は上がっているのである。
こういうことではないか。人々の心の中にある「可愛い」は色あせないし、付加価値を失わないだけのポテンシャルを持っている。それがまたサンリオだ。その価値を発揮できる部分はその時代時代にあって、そこにはチャレンジがともなう。だから、新しいワクワクに期待したい。“Gift Gate”と謳うだけあって、人と人の間に様々な愛をもたらしてきたのだから、それはきっとある。
今日はこの辺で。
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